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凡庸
今日最後の授業はみんなが嫌いなジジイの化学。
こんな私立の高校に入るあたり、みんな勉強する気なんかさらさら無い筈なのにね。
なんつーか、ねちっこい、しつこい授業をするから俺もあの先生は嫌い。
早く終わんないかな、と外を覗いたら、男か女かわかんない、黒ずくめの人が校庭の向こうに居た。
深く被られた帽子に、黒い手袋までしちゃって、いかにも怪しい感じ。
最近不審者出たらしいし、ああいう感じなのかな、と思いながらまた視線を黒板に戻して。
…げ。
「随分余裕じゃないか、高橋」
「い、いやいや、そんなこと無いっすよ…」
ジジイによそ見してたのがバレたけど、まあ適当に乗り切って。
また外を見たら、もう黒ずくめの人は居なかった。
授業潰れたらおもしろかったのになー。
重い瞼が閉じる午後。