『偲月』に
「小、中学校のときの友達が結婚したり
結婚式で久しぶりに会う奴らは大して変わらなかったり
んなこと言っても一番変われてないのは俺だったり
先輩からもらった原付の維持費に一万貸してくれって頼んできた友達は今じゃ東京の会社で働いてるらしいし
その時貸した一万はまだ返ってきてなかったり
好きだった女の彼氏との2ショットを投稿で見かけたり
未練は無いなんて言いながらフォローを送ってみたり
それでフォローが返ってくるとなんか嬉しくなってさ
いつ死んでも構わないとか言ってた俺が明日の天気を気にしたり
風邪ひかないように傘持って出かけたり
こないだとかスーパーのポイントカード作ってさ
「奇跡」とか「偶然」「絶対」とかいう言葉が嫌いな俺が運命の出会いを感じたり
年に一回は宝くじ買ったり
志望校に落ちてこれまでの人生に意味を感じれなくてさ
友達からの連絡も無視して悪くもないのに親に当たって
受かったやつのこと考えて勝手に羨んで恨んだり
噂で何人か中退したって話聞いたり
生きてりゃ色々あるよなぁ。
雨の日のトラックに水はねられたり
口に入った水が泥臭かったり
舌打ちとかするんだけど雨に消されたりさ
お前の死因が自殺だったこと。
合格発表の日、俺も自分のことでいっぱいで
お前からの電話に出られなかったこと
その二日後に知らされたこと。
生きてりゃ色々あるよな。
まぁそれでも生きてりゃ嬉しいこともあるんだよ。
それなりにさ。
そうだ。あと三ヶ月で俺がさ、親になるんだよ。
お前にも絶対見せたいし
落ち着いたらまたくるからさ。今日はそろそろ帰るよ。
それじゃあまた『』に」




