第69話 過去にこだわるものは未来を失う
「おらよ!」
ワイアットがそう言うと、鷹は一直線に吹き飛ばされる、ワイアットに蹴り飛ばされたのだ。
「ったく、」
鷹はpove-2の方は吹き飛ばされ、被害を受ける。
「まずい、」
和泉がなにやら焦っているようだ。
「どうしたんです?」
アーロンが気になって聞いてみると、和泉は動揺しながらも答える。
「あの、pove-2には、最終手段として大量の魔素が入ったタンクを乗せてる。
魔素は時に原動力とかになるけど、吸いすぎると毒になるの、」
「なるほど、放射線のようなものですね、
それは、分かりますがそれでどうしろと?」
アーロンが気になって聞いてみると、答えてくれたのはルシファーだった、
「あの魔素でここら辺を埋め尽くす。
それで梟達を巻き込めば、かなりの大ダメージだ。」
「じゃあ、すぐ移ろう!」
そうして、それを聞いていたちとせが和泉とルシファー、ベルゼブブ、アーロンを連れてpove-2の方に行く。
そして、今この状況は各国セレスタリア含め、今戦地となっているバミューダなどなどからテレビやインターネットを通して生中継されている。
それは第三回戦王位継承戦として、国民達にみられていた。
「まずいな、」
ロイ国王はその様子を執事に見せてもらいながら、ルナ達の方へ向かう。
「君たち、もうどうやら、王位継承戦が始まっていることになっている。」
「え?!」
「うっそ、メイクしてない、」
「おばさんはなにしてもみられないから大丈夫。」
イザベラがミアを煽る。
「まだ、10代だっつうの!」
言い返すミア。
その瞳には怒りに満ち溢れている。
「そのため、今この戦いで皆の援護をしてくれ。
それに1番貢献できたものこそ王位の座を譲ろう。」
ロイは渋々そう宣言した。
本当はもう少しちゃんとした方法で決めていきたいものの、そう簡単に今の状況からは不可能。
そのため、仕方なく少し強引だがそうして王位継承戦第三回戦を始めることにした。
「よし!頑張るぞ!!」
なぜかやる気な様子のルナ。
その様子を見て自分の行動を反省するロイ国王、
(すまない、皆、、、だが、死ぬな、絶対にだ。)
ロイ国王はそうして、祈るのだった。
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ひなのが上から大量の火の玉を落とす。
「琥珀!」
レイはそう言ってなんとか皆で連携を取りながら、ひなのに近づこうとするも、なかなか進まない。
(皆んな!聞こえるか!?)
レイがそうして、思念伝達により琥珀達に連絡を取る。
「え、なんで?俺とすぐるは無能力者なのに、」
しぐれが困惑すると、琥珀が答える。
「僕が創造神の力で皆さんに思念伝達を与えました。。」
「なんでもありだな、それ、」
(そんなのいいから、とにかく俺が隙を作る。
その間になんとか近づいてくれ、数秒だからな!)
レイがそう言うと、左手にある能力で出した、透明な黄色の時計の針が逆に戻っていく。
「時間稼動領域……」
そうして、針は正常に戻るが、動きが遅くなる。
レイを含めた、しぐれ、すぐる、琥珀の4人は世界がスローモーションの中普通の速度で動ける。
ひなのの攻撃はこれでほぼ当たることはない。
そうして、しぐれが発砲し、すぐるがロケットランチャーを飛ばす。
ひなのにぶつかり吹き飛ばされ、すぐさま
「破魔斧・裂空」
琥珀がそう言って、斧を振り下ろし、ひなのの首を切断した。
時は正常に戻る。
ひなのの首が、地面に転がる。
「琥珀、」
ひなのが琥珀を見つめる。
「……まだ生きてるんですか?」
「ふ、最高か?」
「は?」
「わしを倒せたと思って最高か?」
「何言って……まさか、、」
その瞬間、首から大量の魔力弾が発射される。
「ぐ、」
そうして、ひなのの首は体と繋がり元通りになる。
「なんで!」
琥珀が困惑する。
「指輪の力、」
レイが声を漏らしてそう言う。
ひなのは微笑む。
「指輪の能力で過去を予約した。
あの光、その時のわしをセーブして体がボロボロになったその時その状態の体に戻るように予約したのだ。これで元通りだな」
ひなのは邪悪に微笑み、目をぎょろっとさせ、琥珀達を見下ろす。
「……それから、これを、、懐かしいだろ?
レイ!」
そうして、ひなのの後ろからポータルが開き、指輪の能力によってあるもの達が一斉に現れる。
「私を、、また、、ハハハ!!
いいな、再度世界を変えるとしよう……」
「なんだ、この世界、違和感が、、」
そうして、出てきたのは邪悪な黒いオーラを放ち、
辺りを腐食させていく第一、第二次厄災戦争を引き起こした張本人、最強生物アザトース。
そして、ワイアットを過去に倒すところまで追い込んだ黒服の組織の者達が一斉に押し寄せる。
「おわりだ……」
レイがそう言って膝から崩れ落ちる。
「…………」
琥珀も下を向き、黙り込む。
その時、少し離れたところから叫び声が聞こえた。
「すぐる!」
そうして、しぐれの手の中で、すぐるが腹部から血を流して倒れている。
どうやら、ひなのの首から突如出た魔力弾が腹部を貫いてしまったらしい、
「………兄ちゃん……後、頼むよ……」
「ふざけんな!死んだら、、ゆるさねぇよ、、せっかくまた全員会えたのに、」
しぐれの声が震えている、
しぐれは過去の描写と今の描写がハッキリと重なる。
「お兄ちゃん、、、ちとせ、妹…頼むよ……」
そうして、すぐるはしぐれの手の中で息を引き取る。
「また、救えなかった……」
そうして、しぐれは泣き叫ぶ。
雨が降る中、絶望する中、敵の圧倒的な量に、圧倒的な力。明らかに勝率がない。
ハイルがいなくなった今、状況は絶望的だ。
――――――――――――――――――――――
数年前、
「しぐれ!この報告書、なんだ!?これ、」
そうして、誰かが机をぶっ叩く。
(うっせぇな、)
しぐれは窓から外の様子を見て、まさに上の空状態。
しぐれの上司は、しぐれの報告書の内容にどうやら不安のようでキレている。
報告書を見てみると、そこには"妹、大好き"という文字がびっしりと書かれている。
「いや、俺さ、最初見た時まじびっくりしたよ!」
昼休み、屋上でパンを食べながら上司の篠原と今朝の報告書について話している。
篠原はしぐれのバディであり、上司。
警察署内では腕利の刑事であった。
しぐれは、射撃のセンスや冷静な判断能力などと言ったものが買われ、そんな篠原と組んでいた。
篠原はガタイがよく、30代の強面の男だった。
「……悪いっすかね、」
「悪いっていうか、面白いがな、」
そう言って篠原はしぐれの肩を叩く。
強面だが、笑顔になると良い人とすぐにわかるような人だった。
そう言って鬱になりつつある、しぐれに声をかけてくれるのは篠原だけだった。
「最近、その……兄妹亡くなったんだろ、、」
篠原は声のトーンを変え、しぐれに聞く。
「ええ、飛行機で旅行とか言って、弟と、長女を、
早く、俺が金貯めて、あんな父のところにいる母と、妹!妹を助けないと、」
頭を抱えるしぐれ。
篠原はそんなしぐれの様子を見ながら少し間を開けて話す。
「立派だな、でも自分を無くすなよ、
お前にとってその、妹は支えなのは良いことだが、そんな妹にとってお前は唯一残った頼れる兄なんだから、何かあったら言え、いつでも力になるさ」
そう言って篠原は部署に戻る。
「……頼れる兄……」
その言葉をしぐれは噛み締めるのだった。




