第59話 必死に生きてこそ、その生涯は光を放つ
「指輪をよこせ!」
ちとせの目の前には、怒鳴り散らかす再婚相手の父になった男の姿が見える。
ちとせは、怖さのあまりその場にうずくまってしまう。
カリンや、ミル、エリザベスなどがちとせを守り、ルナはちとせのそばを離れない。
ルナなりに、ちとせを守っているのだろう。
「………ごめんなさい、」
ちとせが声を絞り出してそう言った。
次の瞬間、カリンは烏に向かって発砲する。
「なんの音だ!?」
近くに向かっていたつむぎ達はその音を聞きつけ、ちとせの元へ向かう。
「遅い、」
烏は銃弾を止める。
烏の目の前に来た銃弾は動きが遅くなり、簡単にキャッチされてしまう。
「うそ、」
カリンは驚く。
そうして、烏は足を一歩踏み出すと周りにいたミル、カリン、エリザベスが吹き飛ばされる。
「うそ!」
エリザベスが驚く。
烏はちとせの前に来ると、ルナがその場を阻む。
「ちとせに近づくな!」
両手を広げ烏を睨む。
「……」
烏はルナを見下ろし、構うことなくちとせに触れようとしたその時、
銃弾が、烏の頬を掠める。それは、仮面に当たりひびが入った。
烏は予想していなかった、というよりその者の出現に気づかなかった。
「なんで、あいついるんだ!?」
「………まじかよ、」
つむぎとすぐるはちとせ達の元へ到着するも、予想外の人物の登場に驚きを隠せないようだ。
「そなたは、」
ルナが見上げるその先に立つ男。
黒髪が特徴的なその男は、烏を睨む。
「なに、俺の妹に手………出してんだ?」
「おまえ、ここで来るか!」
烏としぐれがお互いを見合っているなか、ちとせとルナを背後にいたしぐれの部下である、井口が抱えて距離を取らせる。
「今の射撃、お前だな?」
「え?なんのこと〜?井口だろ?アイツ、俺の次に射撃のセンスあるし……」
そう言って目を逸らすしぐれ。
どうやら、自分の撃った拳銃、井口の手柄にしようとしているらしく、まったく、自分が撃ったことを認めない。
「……其方!」
ルナが井口を見て言う。
「ルナさん、お久しぶりです。」
井口はルナとちとせを下ろす。
(顔が曇ってる………少し来るのが遅かったか……
よほどのトラウマが……)
井口は、蹲ったままのちとせを見てそう思った。
「しぐれ!お前何しに来た!?」
つむぎがしぐれに向かってそう質問した。
「あ?別に、妹のピンチにはいつでも駆けつけるのが理想のお兄ちゃんってもんだろ!
で?早く許可くれよ……」
しぐれは、つむぎの瞳を見る。
「はぁ、許可あげなくてももう撃ってるだろ、、
わかったよ、使うことを今だけ!許可する…」
「どうも、。」
そう言うと、つむぎは烏に向かって発砲をする。
烏は余裕こいていた。その瞬間までは、、
瞬きをしたその瞬間、烏の腕が一瞬で吹き飛ばされる。
そうして、すごい轟音が街に響き、街は一撃で半壊してしまう。
「「あ、これやばいやつだ……」」
周りにいた人全員がそう思った。
(やばい、しぐれさん……これ、完璧にキレてるゥゥゥ………)
井口は心の中でそう思うと同時に、自分にこの八つ当たりが飛んでくるのは嫌だと思うのだった。
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「そう来るか、」
烏はすぐに片腕を再生し,手のひらに魔力を込め丸い球体を出現させしぐれに突っ込む。
しぐれは、距離をとりつつ、弾を装填。
すぐにもう一発発砲する。
その瞬間、次は発砲しようとした瞬間、拳銃に銀色の魔法陣が一瞬出現しさっきとは違う音を響かせ、烏を襲う。
「くっ、」
避けたと思った、だが烏はその瞬間宙で止まる。
しぐれは、近づき回転蹴りをかまして烏は吹き飛ばされた。
すぐに弾を装填して、しぐれは三発連続で撃つ。
その銃の動き、それはそう簡単に身につくものではない。
いくら、元警察だからと言ってもこれほどまで正確な射撃に、威力、判断力。どれをとってもワイアットに並ぶほどの実力者。
だが、やられてばかりの烏ではない。
銃弾をできる限り避け、烏は技を発動する。
「強制撤回……」
その瞬間、拳銃から弾が出なくなる、
(やられたか……)
しぐれはそう思い、次の烏の動きに注意した。
案の定、烏は動き出したが、しぐれは持っていたナイフで、烏を襲う。
「隠してた、そういうことか……」
仮面越しでは分からないが、明らかに声色が変わり焦りが見えていた。
「まずいか、」
お互いに激しいぶつかり合いが続く。
だが、勝負は意外な結果で勝敗がついた。
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「おいおいおい、」
1人の男がセレスタリアに着く。
「おや?今のセレスタリアに何の用で?」
アーロンがセレスタリアの街の復興作業をしている最中、街の中心で1人の男が立ち尽くしていた。
予想していたよりも酷い状態。
「いや、ここで教師の仕事をやれと言われてきたものの、予想以上に酷い状態だから驚いてしまった……」
あたりには、セレスタリアの国民も復興作業に手伝っており、奥にはマリーも手伝っている姿が見える。
「教師……この辺で学校となると、あそこかと、」
アーロンが指差す先には、ボロボロになった小学校があった。
(僕の能力でもここまでは、無理か……)
「わかった、ありがとう。感謝するさ、」
そう言って男はアーロンに頭を下げる。
「ところで、お名前は?」
アーロンはふと、男のことを気になり名前を聞いてみた。
「九条利一。ただの子供に夢を持たせてあげたい教師だよ、」
男はそう言って学校に歩いて行った。




