第6話 1年に1回は、行ったことのない場所へ行こう。 #2
亡くなった。そうマリーから聞かされた瞬間、周りにいた皆全員が動揺している。
そして、いきなり入ってきた女、なにやらかなり焦っており、顔色も悪い。
何があったのかまず聞いてみることにした。
「私は候補者の姉…妹がさっき紅茶を飲んだ時…
その時に何か入ってたんだわ!!そして倒れてすぐ息を引き取った!!あなた達の中にいるんでしょ!!」
そう豪語する女どうやら候補者の姉なようで、
同じ候補者のエマやルナを疑っているようだ。
「わかりました。では、一回皆さんで集まりましょう。それで良いですね?エマさん」
「ええ。」
アーロンが提案し、皆3号車に集まり犯人探し及び今後どうするかを話し合うことに。
まだ、目的地まで3時間はある。
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3号車に移動した時、エマの片眼鏡を付けた老人が何かを唱え出した。
すると、その途端椅子の配置などが変わり,真ん中に丸くでかい机が現れ、それを囲むように椅子が配置され会議室のような部屋に変わってしまった。
詠唱。この人も能力者のようだ。
「ありがとう。ジャイロ…」
エマが老人に感謝する
どうやら、ジャイロという名前らしい
「いえいえ、滅相もございません。」
そうして、皆席に着いた
4人それぞれ東西南北のように四箇所に候補者が座り、護衛や付き添いの人達は候補者の後ろに立つと言う形で座っていた。
ルナの向かいに、亡くなった候補者の姉が代わりに座り、その右手側にエマがそして左手側に赤髪の少女が座っていた。
「じゃあ、まず初めての顔合わせもあると思うから自己紹介しましょう。私はエマ・シャルル、
アセリア王国出身よ。よろしく。」
まず、先手でエマがそう提案して自己紹介をしてくれた。
次に意外にもルナがそれに続いた。
「えっと、セレスタリアの…あ〜出身の!ルナ・エリオットだ……よろしく、、」
少しカタコトだが、自分なりに頑張った方なのだろう。そうちとせは思い、隣にいた3人を見てみるとハンカチで鼻を擤んだり、必死に涙を拭いている
(いや、そこまでのことか?)
そう少し引いたちとせであった。
「私は、イザベラ・メリック。カルベラ王国出身よ。」
赤髪の長い髪の女が次に自己紹介をした。
茶色の瞳で何やら少しツンデレ気質の子だ。
カルベラ王国というと、お金持ちの王国として有名で、石油がよく取れるらしい。セレスタリアから少し離れたとこにある王国だ。
護衛にはなにやら若く、白髪でルナと似た青色の瞳をしたイケメンの騎士が付いていた。
「私は、今さっき亡くなったソフィア・アレンデールの姉、ミア・アレンデールよ。ベルナナ王国出身よ!」
不機嫌でそう言うミア。
ベルナナ王国というと、物資が豊富という王国で、今成長途中の王国でもある、距離は先ほどのカルベラ王国から東に数キロ進んだ先にある。
紫色の髪色で黒い瞳。なにやら、ご機嫌斜めな様子。
双子の妹が紅茶を飲んで亡くなった。
双子なので見た目はそっくりだ。
紅茶を淹れたのは、後ろに立っているちとせより数センチほど高く、仮面を被った、革ジャンを着ている男?のような女?だ。
どうやら、護衛のようで、先ほどの老人がつけていた仮面とは違う。
ミアは怪しみ、問い詰めたらしいが、そんな事はするはずが無い。
護衛なのだから。そういうことで、まず真っ先に疑われたのはルナだ。
だが、年齢は8歳、出来るわけはない。
だが、そこで最近入ってきたちとせが次に疑われた。
「あなた。誰なの?」
ミアがそういい睨んだちとせを見ているが、そこで反論したのはまさかの、ルナだった。
「お前!妾の護衛のちとせがそんなことするわけないだじゃろ!!ちとせからすると先ずおばさん誰だ!!だぞ!!」
ルナが正論のようなちょっと違うような感じで言い返す。
8歳のルナにおばさんと言われると誰も言い返せないのだ。
ちなみに、年齢が若い順に並べるとルナは8歳、エマが16歳。イザベラが17歳で、ミアが19歳だ。
「おばっっ!!あんた!クソガキが!!こっちは身内が亡くなってんだぞ!!」
そう言って,席を立ちルナに向かってビンタを喰らわそうとした時、
「お嬢様に何をしようとお考えですか?」
ちとせが動くよりも早く、アーロンがそう言ってミアの手を片手で抑えている。
「クソ!」
そう言ってミアは席に戻った。
その時、誰かが喋り出した
「おいおい、ミア様?やり過ぎだぞ?俺が見るからにこの人達は絶対にねえな。
そもそも、その時この2人は他のお嬢さんらと突然来た刺客と戦ってたんだからな。」
そうちとせとルナを弁護してきたのは、ミアの後ろにいた、白髪の紫色のコートを着たおじさんだった。
「そうなの?、、」
そのおじさんが言った途端、すぐに信用したミア。
どうやら、昔から仕えていた人らしく信用があるようだ。
「すまねえな。俺の名前はダニエル・パーカーだ。よろしくな。」
そう笑顔でこちらを見るダニエルという男。
あの老人と戦っていたことを知っているようだ。
「そうだ、あの老人は関係ないんですか?」
ちとせが思い出したようにそう言う
「そんな、老人はこっちの車両では見かけてねえな。だよな?」
「………」
ダニエルが、ミアの後ろにいる仮面を付けた護衛にそう聞いてみるが無言で頷いている。
あの老人はどうやら、ルナとエマの命を狙っていただけのようだ。
「でもまだ、関係はないとは言い切れないわね。」
エマがそう考察する。
「馬鹿らしい、本当に死んだの?死体は?」
イザベラがそう聞くと、少し間をおいてミアが話し始めた
「死体はあるわよ…思い出させないで!
グリットハッタ王国に着いたら、どうにかするわ…」
そうして、犯人は分からず少しの交流をして皆自分がいた車両に戻っていった。
「ちとせさん。一応まだ警戒は解かずによろしくお願いします。」
「わかってますよ。」
アーロンとちとせはそう会話を交わし席に着いたのだった。
「まったく!なんだ、あのミア婆め、ちとせを疑いおって!!」
そう自席で愚痴を言っているルナを横目にちとせは辺りを見回していた。
3時間後、それ以降特に何も起こらず列車は目的地へ着いた。
その時、またしてもマリーから通話が入った
「もしもし?お嬢様は無事だな。
そしてニュースだ。ソフィアお嬢が亡くなり、姉のミアお嬢が代わりに候補者として出ることになったらしい」
それを聞いてハリーが思わず聞き返してしまった
「はぁ?マジで?候補者減ったと思ったのに、代わりに出るのかよ…」
「ああ、厄介だな」
「でも、なんでマリーさん分かったんですか?」
シャーロットが聞いてみると、
どうやら、マリーは空間に関する能力がありミアたちの会話を盗み聞きしたらしい。
「ていうことなんで、まぁ、がんばれよ。またなんかわかったらすぐ、通話を繋ぐ」
そうして、通話が切れルナ達はは2泊泊まるホテルへ向かった。
ここ、グリットハッタ王国には2泊3日滞在する。
3日あるけど、ぶっちゃけ1日目は観光、2日目から国王と会って会談、3日目国王が気に入れば少し会談して、お土産とか買って帰宅。
スケジュール的にはそのような感じ。
だが、勿論その間も命を狙われる可能性はあるので、常に警戒する必要がある
テルフノホテル
4人の王位継承候補者や貴族たちなどの位の高い者たちが泊まるホテルである
「私たちが一番乗りですか……」
どうやら、ちとせ達は駅から一直線で来たので1番最初についてしまったようだ。
「……」
辺りを見回すちとせ
「どうした?ちとせ?」
ハリーが気になり聞いてみた。
「いや、なんかこの王国についてから気配?みたいな?」
「敵か?」
「いや、わからない。何かあったらすぐ言うよ」
「分かった。」
そうして、ちとせ達はホテルに荷物を置き、
王国内の首都を観光しに向かったのだった。