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第5話 我が成す事は我のみぞ知る。 #1

 汽車に乗るとちとせ達は、すぐ席に向かったアーロン、シャーロット、ハリーは一つ前の広い3人席に座り、ちとせ、ルナは二人席に座った窓側に座ったルナは笑顔で窓の外を眺めている

 ルナは滅多にセレスタリア王国から出ないため今日を楽しみにしていたのだ。

 この汽車は皇族の人達を乗せる汽車なので一般は乗れない高級なものだ。

 普通の汽車とは違い黒ではなく白と金が入っているいかにも高級そうな見た目、

 10両編成で我々は5号車に乗っている。7号車の方にバーやデザートなどが食べれるイートインスペースがあったりするとても豪華な汽車。

 ちとせは周囲に気を配りながらルナの面倒を見ている

 3号車、4号車、6号車にそれぞれの王位継承者候補者が乗っている

 ここから、目的地まで4時間は掛かる


 ――30分後――


 ルナがもじもじしている、先程までは楽しく窓を見ていたのにいきなり少し俯き出した。

「どうしました?ルナお嬢様」

 ちとせが気になりきいてみると、少し恥ずかしがりつつも答えてくれた。

「いや、その...7号車に行きたい..」

 そう淡々と話すルナ、どうやらデザートを食べたいらしいのだが、7号車に行くためには6号車を通らないといけなく、命を狙われるリスクが高くなるのだ、それで気を使い我慢していそう。

「我慢せず、いつでも言って下さい。守れるので」そう言うとすぐに切り替え笑顔になった

「アーロンさん、少し7号車に行ってきます」

「私達は行かなくても?」

「ええ、一応刀持ってくんで、マリーさんもいるから大丈夫です。」

「心配するな!オイラもいるぞ!」

 フードの中からそう意気込むミル。

「承知しました」

 そうして、ちとせはルナと二人で7号車に向かったのだった

 まず、6号車に着くとちとせたちのように3人だけ人が残っていた、

 一人は片眼鏡をつけたおそらく執事であろう老人、もう二人はメイドの女だ

 こちらをじっと見つめている

 すぐに7号車にいくと

 一人の男ともう一人豪華な衣装の若い女おそらく候補者の1人だろう

 ちとせを見るやいなや一人の男が突っかかってきた

「おい!お前...見ない顔だな?」

「そりゃ、初対面だしな。」

「それもそうか、」

 ちとせの真ん前までくる男。血走った目、グレーな逆だった髪で黒いマフィアみたいな格好をしている茶色い瞳が特徴的。

「ルナお嬢様、少し下がって……」

「それ、刀か?.....随分小さいお姫様だな?」

 ちとせの持っている刀とルナの方を見てそう言う男

「エディ、辞めなさい。」

 そう止めに入る女性、名はエマ・シャルル。

 セレスタリアの隣国、アセリア王国の皇族の女性16歳で黒髪ロング、キリッとした目に黒い瞳の女だ。

 マリーがあらかじめ3人の候補者の情報を調べておいた

「エマ...さん?」

「ん?ああ、知ってるのね。名前、かわいいね。ルナちゃん?隣で話しましょう。」

「え、あ~、うん。いいけど」

 そうして、エマとルナは隣同士でバーのような席に座りルナの横にちとせが座り、何故かその横に先ほどの男が座った。

「悪いわね、あなた。その男はエディ・スミス元冒険者なの、少し気性が荒いけどいい護衛なのよ」

 そう言うが、隣でちとせを睨んでいる。本当にいい護衛なのだろうか……

「なぜ、あなたは王位が欲しいの?」

 エマがルナにそう質問する

「別に...言わないよ......」

 何かルナは隠し持っている、ちとせとエマはそう思った。

「そう、まぁ深読みはしないわ」

 ルナはケーキを食べエマは紅茶を飲んでいた

 4人とも案外くつろいでいた時、その四人の真上、猛風が吹く中車両の上に刀をもつ老人が立っていた。

 〔四人まとめてやりなさい)

 老人にそう命令が入るその時、何か音が鳴り車両が揺れた。

 6号車から7号車が切り離されたのだ。

「なんだ?」

「地震?」

 エマがそう言うとすぐさま、エディが椅子から立ち6号車の方を見てみると自分たちがいる車両が切り離されていたのだ。

「おい、どうする!」

 エディがちとせの方を見るとその後ろ、8号車に移る向かいの扉に黒い仮面を被った黒い着物を着た老人が立っていた。先ほど列車の上にいた奴だ。

「すみませんが、あなた達はここで終点です。」

 そう言って刀を振った時、ちとせたちが座っていた椅子を含む机が丸ごと斬れてしまった

 エディがエマを、ちとせがルナをすぐ抱えて距離を取る。

「おい!お前名前なんて言うんだ?」

 エディが慌ててちとせに質問する

「ちとせだ。」

「ちとせ......一旦ここは協力で行くぞ!こいつをぶっ潰す...」

 そうしてエディがナイフを何本もポケットから取り出し

 投げるが老人に全て斬られてしまった。

 次の時、老人がちとせの方へ猛スピードで突っ込んでくる。

「ルナお嬢様!エマさんを連れて8号車に移ってください!!」

「わ、わかった!」

 そうして、老人の振り下ろす力を布で包まれた鬼丸国綱で受け止めるがお互いの刀がぶつかり合った瞬間火花が散り、一気に布が破れ赤黒い鞘がみえてしまった。

「うそ!」

「なんだ!こいつ!!キモっ!」

 ミルが華麗に悪口を言う。

 慌てて、斬られた机の方に老人を投げ飛ばし、

 ちとせ達は8号車へ向かった

「あの、指輪か......ついでに姫様、候補者の命。ね....」

 そう言って老人は後を追った。

「ちとせ、大丈夫か?」

「ええ、ひとまず...」

「エマ様大丈夫ですか?」

「私は大丈夫だ」

 すぐさま四人は9号車の近くまで行き距離を取ろうとした時、

 老人が8号車に入ってきて車両の屋根を斬り空高くジャンプして何か唱え出した

「詠唱.....能力者だ!二人とも10号車まで下がれ!」

 エディがそう言った次の瞬間、8号車の前半分が丸ごと斬れてしまい猛風が吹く

 一気に車両全体が不安定になり今でも7号車から8号車が脱線しそうだ。

 車両が切り離されているのでスピードも落ちてきた。

 すぐさま、ルナと、エマは10号車に行こうとするがそれをちとせは止める。

「待って、二人とも行くな!それぞれの護衛の後ろに隠れて!!」

「はあ?そしたら、二人ともまじいだろ!」 

 エディがそう言うがちとせは考えた

「このまま、10号車まで下がったらこいつの狙い通りになる!逃げ場を少しずつ無くして、ふくろのねずみにするのがこいつの狙いだ。だからここで蹴りをつける」

 風がすごい強さで吹く中大きな声でそう宣言した「......わかった!エマ様俺の後ろに」

「ルナ!早く......」

「今だけは敬称が無いことを許可しよう......」

「.......ありがと...」

 ちとせには狙いがあった

(この上着を上手く使えばこの場を脱しできる。)


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 先日の朝、マリーと上着の能力について話している時。

「そいつの能力は糸だ。」

「糸?」

「上着の腕付近だったり、とにかくどこからでも出せるんだ。糸は強度を上げれたり太さを変えたりかなり便利だよ」

「へえ一この上着、生きてるんですか?」

 そう聞いてみるが首を横に振ってマリーが答える

「いや、生きては無い自我はあるが生きるとはまた少し違う。ただ記憶は少しあるかも。でも本人では無い本人はもうとっくに死んでる」

「どんな人なんですか?」

「第二次厄災戦争に参加して世界を救った英雄、そのうちの一人で名はコーディ・エヴァンス。」

「そうですか......」

 第二次厄災戦争とは、第一次ではアザトースというこの世界に異能力というものが生まれた発端を作った邪神、そいつを倒す事に成功したが、悪い連中が冥界からアザトースを復活させたその時起こった戦いが第二次厄災戦争だ。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 またしても、老人がこちらに向かって飛んできた刀をちとせの方へ向かって振り上げる。だが、すぐに刀で止め、エディがナイフで援護、

 老人が距離を取るために下がるがその途端、ナイフに気を取られた隙に上着の袖から糸を出し老人を拘束することに成功した。

「………!ふっ、やるな……」

 老人から微かにそう聞こえた気がした。

「ふぅーナイスだな。まぁ、俺の援護があってこそか?」

 そう上から目線でエディがイキリ散らかすがそれを無視してちとせが老人に話す

「あんた、誰だ?雇われたのか?」

「.........」

 だが黙り込む老人

「ちとせ、早くアーロンの元へ戻ろう」

 ルナがそう提案した

 そうして、老人を拘束したまま切り離された8号車に残して、糸を使い6号車へ戻った

「大丈夫ですか?」

 ちとせが聞いた

「ああ、それにしてもなんなんだろうな。」

 6号車に戻ると何やら騒がしい

「エマ様、ご無事でしたか?」

 片眼鏡の老人がそう言ってエマに近づいてきた

「アーロン!」

 そう言ってルナがなぜか6号車にいるアーロン達の方へ行って事情を聞くと

 異変を察知してルナとちとせが向かった6号車に向かったそうだ。

 一応、危なかったが事件は解決した。

 エマとエディたちとも仲良くなった。

 そう伝え、6号車にいたエマの仲間たちとルナの仲間たち全員が安堵したその時、

 いきなり、6号車の扉が開き知らない女が入って青ざめた顔でこちらを指さしている。

「あいつらよ。絶対!絶対あいつらだわ!!」

ここにいた皆何がなんだがわからない。

 その時、マリーからちとせに通話が入った

「繋がった....皆んな居るのか。よく聞け一人候補者減り、3人になった......候補者が亡くなったんだ......」

 列車内に響くマリーの焦る声。それを聞いて皆が動揺している。

 静かに山道を走る汽車、その中では騒がしく衝撃的な事が起きていた......


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