第41話 人間は、その答えではなく、むしろ問いによって判断せよ
そうして、斉藤由依と名乗る女性について行くと、一軒の豪邸に案内された。
斉藤は、見るからにまだ若く、おそらく20は行っていないだろう。
「おい、ノア。こんなやつ信用していいのか?」
「早く済ませるために仕方なくしてんだよ………
ていうか、お前のせいな?」
「ギクリ……」
そんなことを話しながら3人と一匹は豪邸に入った。
豪邸の中は意外にも質素で普通。
少し照明が暗く雰囲気のある場所だ。
そうして、一室に案内された3人と一匹。
そこの部屋にはニュース記事が壁一面貼られている。
新聞だ。そこには、年代別にこの里について書かれた記事が壁を埋め尽くす。
「なんだこれ?気持ち悪!」
カルロがそう言って少し引いていた。
「この里には行方不明者が出ています。里の外から来た人もいれば、この里の住人からも出ている……」
新聞の記事を見てみると、2283年、2285年、2287年。全て2年おき一年開けていることがわかる。
「……?一年おきだな」
ちとせが言うと、斉藤は頷く。
「里の外の人が行方不明になり、次の年には里の中の人、、そのペースで今も続いているんです。」
「なるほど、、、そして、今年は2343年外の人か……でも、まだそういった記事は出てないな……」
カルロがそう言うと、ノアはそう聞いてハッとする。
「俺たちか……」
「おそらく、、」
「でもなんで、お前がオイラ達に協力してくれるんだ?」
ミルがそう斉藤に聞いた。
「私もこの里には何かおかしなことがあると思うんです。父の転勤がきっかけでこの里に来ましたが……この里について解明してください!協力します……」
そう言いながら斉藤の肩は震えていた。
「それが、依頼だな……カルロのクソみたいな依頼はともかく、あなたの依頼なら受けましょう。」
ノアがそう言って依頼を受理した。
何やら後ろの方でおかしいだろ!っと、文句を言うカルロの声が聞こえるが気のせいだろう。
そうして、斉藤が持っていた記事などの手掛かりで調査をしていく3人と一匹であった。
だが、その内容を窓の外から聞いていた1つの人影が、あった。
「……!誰だ!」
カルロがそう言って、窓を開けると相手は走って逃げて行く。
すぐさまカルロはその人を追って、部屋を出て行った。
その後に続き、何故かちとせとミル、そしてノアも部屋を出て行く。
部屋には斎藤だけが残った。
――――――――――――――――――――
「あんた誰だ!?」
カルロが、里の川辺にその人物を追い詰める。
そうして、よーく顔を見てみると、その人物は最初の葬儀の際にカルロとノアの隣に座っていた男であり、次期当主の氷馬と名乗る男に怒鳴っていた男だった。
「おいおい!違うんだ!話を聞け!」
「どうした?カルロ……」
そうして、後から2人も追いつく。
「何か知ってるの?」
ちとせが聞いてみると、男は黙った。
「鬼についてとかか?」
そうノアが言った瞬間、男は焦った。
「やめろ!その名を言うな………かっ、あ……」
「「!?」」
男の胸からいきなり、鬼の手のような長い爪に大きな手それが、胸を貫き男を殺した。
すると、その様子を見ていた金髪で細い目の男がやって来くる。
「おや、あなた方は朝の葬儀の人たちですな〜?」
「誰だ?アンタ……」
「嫌だな、そんな目で見んといてくださいよ……」
そうして、気づくとちとせの目の前に近づく男。
((こいつ、いつのまに?))
ノアとカルロが驚いているが、そんなことをお構なしに、男は話し続ける。
「ああ、こりゃたまげた……ホンマに入っとるわ……」
そう言ってちとせの目を凝視する男。
「私の名前は渡辺響也といいます。この里の駐在的なやつだと思ってくれてかまへんわ。」
渡辺響也、葬儀にはそんな金髪の男は居なかった。
「……何の用?」
ちとせがそう聞くと、カルロは拳銃を構える。
「そんな警戒せんでも、戦わんわ……僕は単にここに居合わせただけやって……そうそう、これ以上深追いはやめておき?
ここらで退散しときな、ほな。」
そうして、響也は手を叩く。
その瞬間、響也は姿を消した。
「どこいった?」
「消えた……」
3人が混乱している、その様子を少し離れた家の屋根から見届ける響也。
「これは、めんどいことになっとる……氷馬っちに伝えなあかんな……」
そう言って、響也はまたしても消えた。
――――――――――――――――――――
「何だったんだ?アイツ。」
「渡辺響也……」
「ちとせ。どうした?」
ミルが聞くと、ちとせは斉藤のいる豪邸に向かって走った。
「なんだ!?アイツ急に……」
カルロがそう言って、ちとせを追いかける。
(また、面倒なことになったな……)
ノアはそう思い、大きなため息をつくのだった。
豪邸に着くなり、ちとせは新聞の記事を漁る。
突然のことで、斎藤も混乱している。
すると、ちとせは何かを発見したようだ。
――渡辺響也警察官。失踪、またしてもあの里か!?
2329年。警察署に働く渡辺響也捜査官は、iトンネルの先にあるある山奥の里に駐在として向かうことになった。
だが、期間が終わったのにも関わらず、帰ってこない。心配のため見に行ってみると、里の人たちにより、2人の捜査官が死亡。
1名は重症ながらも、生存。だが、精神が不安定であり、渡辺響也捜査官を見たという、証言が挙げられている。
この里は何件もの行方不明者を出している。近づかない方がいいだろう――
記事の内容である。
「これ……」
「どう言うことだ?」
ミルと、カルロはキョトンとしているが、ちとせとノアは斉藤を見る。
「なんで、アンタはこの事を黙っていた?」
ノアが問い詰める。
「おい!どう言うことだ?」
カルロがそう言った。
「おかしいんだよ……だって、こんな記事を集めているのになんでこの駐在の事を知らなかった?」
「知らなかった……この人は、外から来た人なんだろ?」
「だから、こんだけ外の世界の新聞を集めた。
けど、里に来て駐在ぐらいは知っているはずだろ?なのに,何で怪しがらない?」
ノアがそう言う。
ノアはちとせの意見に同感なようだ。
これだけ熱心に調べたのに、なんで駐在の事、そして3人に伝えなかったのか、信頼していなかったにしても、自分から頼んだ事なのになぜここまでしておいて情報を共有しないのか不可解だった。
「なるほど、ヴォルテール曰く、人間は、その答えではなく、むしろ問いによって判断せよ。って事ね、、」
「少し違う気するし、ちょっと何言ってるかわからない。」
カルロが何か言ったのを無視するちとせ。
3人は斉藤を追い詰める。
斉藤は微笑んだ。
――――――――――――――――――――
「やっぱり、あの子の目には入っとった……
サムソンと同じやな……どうすんの?氷馬っち。工藤のおっさんも死んじゃったしね……」
「氷馬さん。私も協力……」
男の言葉を遮り、座っていた氷馬が立ち上がる。
「いや、いい。俺1人で十分だ。鬼だのなんだの……めんどくせぇな、」
そう言って、氷馬の片手から斧が出て来た。
その斧は少し青い動物のような毛で覆われている特殊な斧だった。
「部外者は里の掟どおり、徹底排除だ。」
そう言って、氷馬は出て行った。
「おお、かっこええな……ほな、僕らも行きますか……」
「え?付いていっていいんですか?」
そう言って男の首を掴んで、響也はこっそり氷馬を付けるのだった。
次回戦うと思います。




