第4話 我この柵にありて、退く者を斬る!
あれ?消えた?」
ちとせがそう言うと、アーロンが青ざめていた
「まずい、まずい、まずい。あの子のことだから
きっと何か時間に巻き込まれたり、もしかして……」
なにやらぶつぶつ話して汗をダラダラと流していた。
すると、白い髪の男が話しかけてきた。
「あの、大丈夫ですか?」
「ん?あ、えっと小さい女の子みてないですかね?金髪の子なんですけど、」
そう聞いてみると、男の人はどうやら知っていたそうで情報をくれた。
「そういえばさっき走ってきた金髪の女の子とすれ違いましたよ。街の方に走っていきましたけど、」
「ほんとですか!!ありがとうございます。
行きますよ!ちとせさん。」
そう言ってアーロンが走って行った。
「大丈夫かな?あの人たち……」
「レイ!早いよ〜!お見舞いの後すぐどっか行っちゃうんだもん!」
金髪の女の人が後から走ってきた。
どうやら、白髪の男はレイと言うらしく知り合いのようだ。
「ごめん、ごめん、早く行こうぜ。」
そう言って2人はデイビス工房に入って行った。
「よ。デイビス。」
「おう、あんたらか」
ライリー・デイビス。
先ほどの老店主の名前だ。
「何やってんの?」
デイビスが何やら箱の片付けをしており、気になって聞いてみた。
「さっき丁度鬼丸国綱が売れてな。」
「へぇ、あんな良いもの売ってよかったのか?」
「ああ、あの持ち主ならきっと刀も嬉しいだろうしな。」
そう話していると、金髪の女が少し笑みを浮かべ誰かのことを話しはじめた。
「今時刀とか、あいつみたいだね。」
「あいつの話はもういいだろ。」
呆れたようにレイがそう呟いた。
「あいつ、か……」
デイビスがあいつと言われる男の姿を思い出す。
少し赤毛で、水色の瞳の男。
その男の父親に胸ぐらを掴まれたあの日、
今となっては少し思い出。
そんな様子を思い浮かべてみると、先程の客であるちとせとその男の共通点を見つけた。
(そういえば、あの指輪って………まさかな…)
デイビスは何かに気付いたようだった。
――――――――――――――――――――
「私はあっちを探します。あなたはここを、」
「分かりましたよ。」
そうして、ちとせとアーロンは二手に分かれ探すことにした。
時は数分前に遡る。
「まだかな。ちとせとアーロンのやつ。」
椅子に座りながら足をバタバタさせ待っている
お嬢。
そんなお嬢の前に青色の蝶々が前を通った。
「わぁ、蝶々……」
そうして、蝶々を追いかけて気づいたら街に出ていた。
そして、今。
「どこ?ここ」
(あれ、さっきまで武器屋の前で椅子座って待ってたのに、どこだ?ここ。ちとせ?アーロン?
どこにも居ない。おかしいなー)
この間1.7秒
そんなきょとんとしているお嬢に男三人が話しかけてきた。
「おー君どうしたの?迷子?」
「もし〜あれだったら俺たちも協力するよ?」
「さー一緒に探しに行こう!」
「おーならば頼むぞ。」
そう言ってお嬢が路地裏に連れて行かれた。
この間2.8秒
高等テクニック。
だが、離れたところでその様子を偶然見てしまったちとせ。
「あれ?」
―――――――――――――――――――
「さぁて、と。まんまとのせられたな。」
「セレスタリアの王女だろ?」
「候補だけどな。けど金になるぜ。」
「嵌めたな!!このすっとこどっこい!!」
縄で縛られたお嬢が文句を言っている。
と、そこへちとせが到着した。
「お嬢様。何やってるんですか?」
あなたアホですか?と聞いているような目でお嬢を見ている。
「あ?お前こいつの護衛か?殺してやるよ」
「急だな。まぁいいやかかってこいよ。」
ちとせがそう言い刀を腰から抜き取った。
鞘をつけたまま刀を構えるちとせ。
「鞘から抜かねぇなのか?」
相手3人も剣を構えこちらを見ている。
「僕はよっぽどの時しか鞘を抜かない。殺さないって言うのが育った里での掟。親の教えだから。」
「今がよっぽどの時じゃ!!」
ツッコむお嬢。
「あっそ!!」
すかさず剣を振り下ろす男。
だが、ちとせがすぐにその剣を避け腕を刀で叩き吹き飛ばした。
「ちっ!力強すぎだろ!!」
「能力者か!」
「無能力者だ!」
そう言ってもう1人こっちに走ってくるが足蹴りをかまし。もう1人を平手で顎にぶつけもう1人ダウン。
あっという間に片付いてしまった。
「大丈夫ですか?お嬢様。」
「わぉー、凄いな!ちとせ!」
目を輝かせちとせを見るお嬢、
その数分後アーロンと合流して3人は城へ戻るんだった。
――――――――――――――――――――
その日の夜、夜食を食べ食器をアーロンとちとせ、そのほかの召使の人達と片付けているとずっと横でお嬢が今日のことを話していた。
「凄いんだぞ!ちとせが刀で迫ってきた相手をドーーンってやって他の奴を蹴りと手を顎にギュンってやって………」
「はいはい、お嬢様。それ、もう6回も聞きましたよ。早く風呂に入ってきてください。」
微笑みながらアーロンがお嬢にそう言っている
「分かった。ちとせも入るか?」
「え?あ〜僕は1人で大丈夫ですよ。」
「そうか、、あ、ちとせはルナお嬢様って名前で言うのを許可するぞ!」
「私は許可されてないのに?」
「アーロンは………許可しな〜〜い!」
「がビーン!!」
アーロンが塵になって散っていく、そんな風に見えたちとせだった。
お嬢様の名前はルナ・エリオットと言うらしい。
そんなルナが風呂に行った間。
「お嬢様。かわいいわね。」
「ね〜!」
召使の人たちがそんな風に話していた時、アーロンがちとせに声をかけある部屋に案内した。
その部屋で
「ちとせさん。どちらが良いですか?」
そう聞いてきたのだ。その部屋はどうやら召使の人たちの更衣室なようで、メイド服やバトラーなどの制服などいろんな服があった。
「いや、自分このパーカーとかでいいですよ?これ動きやすいし、」
そう言って今自分がきているボロボロの黒いパーカーを指さしていた。
「ですが、護衛となると、制服は必須ですし、、、なら!今日の深夜2階の書斎に行ってみてください。そこに制服を作っている人がいるのでその人に話してみてください。」
そういうことで、ちとせは深夜制服を作りに書斎に行くことになった。
深夜、ルナお嬢の部屋で寝るまで読み聞かせをした後自室に戻り、寝ようと準備していた時アーロンの言葉を思い出し、書斎に向かった。
このセレスタリア城は、街から少し離れた自然が豊かなところにあり、城というが二階建ての大きな豪邸という感じだ。
四角く、白い綺麗な壁で水色の屋根、大きなテラス、大きな窓があり中には巨大な柱がいくつも建っている。
庭は広く大きな噴水があり、100メートルリレーができたり、ランニングできるほどの大きさのある白いレンガの道などもある。
所々にベンチがあったり、少し離れたところに木でできた屋根、机、椅子があって休める所などもあり何から何まで高そうだ。
一階がアーロンや召使の部屋、ご飯を食べたりする部屋があり、2階にルナの部屋、護衛のためその近くにちとせの部屋がある。
その奥を少し進んだ先に書斎がある。
「ここかな?」
そうして、ちとせが書斎の部屋の前に着き扉を開ける為ドアノブに手を伸ばそうとしたその時、
扉が急に開き何者かに手を引っ張られてしまった。
中に入ると、少し窮屈な感じがする、原因は壁一面にある本棚だ。
「痛っ」
引っ張られ少し赤くなった手首を押さえるちとせ。
その前にはオレンジ色のポニーテールの髪色をした、黄色の瞳をもっている、女の人が立っていた。
スーツをきっちりと着こなし、スタイルのいい女性だ。
「お前が、お嬢様の新しい護衛か?」
詰め寄ってきた。
「えっと、はい、あなたは?」
「私の名前はマリー・ホーキング、一応科学者だ。ここにある本は科学や魔法に関する本、まぁ、お嬢様の読み聞かせをする為の絵本もあるがね。」
自己紹介をしてくれたこの人、その後ろには机があり、何かゲージのようなものが置かれている。
「ん?あれ?」
そのゲージには何か白い生き物がいた。
小さく白い子猫、だが尻尾が2本に別れており、小さな羽が生えている。
ミルだった。
「おお!!ちとせ!助けてくれ〜!この実験狂乱女に殺される!!」
「おい、なんだそのダサい五字熟語は?」
「おい、あんた!ミルに何した?」
「いやいや、何もしてないさ。まだ、
川辺に横たわっていたから面倒見てただけだ。言葉も喋るし少し実験しようかなとか思ってただけでまだしてない!!」
そう必死に弁明するマリー。
まぁ、理由が分かりミルも無事。
許すことにしたちとせ。
「で?ここになんようだ?」
「ああ、そうそう制服、作って欲しいんっすけど、、」
そう言うと案外簡単に了承してくれた。
「分かった。じゃあ、さっさと取り掛かろう。」
そうして作業が始まろうとしたその時、
外から話し声が聞こえ、扉が開き2人の男女が入ってきた。
「はいはい、そうかよ。って、誰?」
「新しい子?」
「ああ、買い物ご苦労さん。」
どうやら、マリーのお願いで研究などに使う道具を買ってもらっていたらしい。
「売ってた電池とか、そう言うの買い占めておきましたよ。」
「買い占め?電池?」
「ああ、街に行ったろ?そこにあった防犯カメラとか私が設置したんだ。」
どうやら、今のセレスタリアの街の機械類の半分以上は、マリーが担当しているらしい。
「一応、お前らにコイツを紹介しておこう。
日浦ちとせ、15歳身長は150センチ、瞳と襟足が赤くピンクが特徴で早くもお嬢様に名前呼びを許可された優秀な護衛、胸のサイズはAで……」
「Bは、ある!」
「しょうもないぞ。お前ら」
ミルがそうツッコンだ。
「で、この2人は?」
「まずこの男はハリー・ウィルソン。
17歳で、身長は175センチ、薄い紫色の髪と瞳が特徴ただのバカだ。」
「バカって言うな。」
ハリーがそう突っ込んだ。
「この女は同じく17歳、シャーロット・ミラー。
薄い水色の髪と瞳が特徴、カップ数はHで……」
「ちょっと、マリーさん!!」
「エイチ?H……A…B…C…え、エイチ?」
そうして、意識がだんだん遠のいたちとせであった。
目を覚まし、話を再開させるマリーとちとせ。
「服ね。じゃあ、希望のってあるか?」
「下のワイシャツとかズボンは少し生地薄めのワイシャツとかそこら辺は同じでいいけど、動きやすい方がいいかな。
上はフードが付いた上着がいい。」
そう言っていろいろ注文する。
「分かった。そういえばお前、能力者か?」
マリーがそう聞かれ、ちとせがキョトンとしている。
「ん?いや?」
「そう……なのか。一応後ろの2人は今は能力者だが前は違うぞ。私の実験のおかげで能力者になれたんだ。」
そんな衝撃的なことを言うマリー。
どうやら、2人は家系的に昔からセレスタリアの一族の人に忠誠を誓うそんな特別な家庭であり、2人は一応ここで召使をしているらしい。
能力者になったのは、マリーの実験の実験台になり、能力を獲得したらしい。
「ど、どうやって?」
恐る恐る聞いてみると、案外簡単に口を開いてくれた。
「話してやろう。お前は色々監視していて信頼できると分かったからな。能力獲得に必要なのは血液だ……」
そうして、マリーは、話し始めた。
血液には基本的にA型、B型、O型、AB型の4種類がある。それぞれの血液は、輸血の際原則としてそれぞれ同じ血液を輸血しないといけない。o型以外は
能力も同じで、例えばAの能力者の血液をBの無能力者に輸血するとBの人にそのAの能力者の能力が目覚める可能性がある。
だが、あくまで確率的な話であり絶対ではない。
また、ルールがありその能力者の血液を無能力者に輸血する場合、死んだ人の血液しか輸血できない、
なので能力者が生きていた場合、ただ単に血液を輸血しただけで、能力は目覚めない。
そして、死者から血液を取る場合五分以内でないと、能力が薄くなり消えてしまう。
ただ、五分以内に取りさえすれば保存次第でいつでも何年後かでも利用できる。
そして、同じ血液型同士でないと当たり前だが、合わず死んでしまう可能性がある。
そんな感じだがぶっちゃけ結構運要素満載である。
また、うまく能力が目覚めた場合でもその与えた人、元能力者の記憶や個性、考え方、性格。そういった事が自身に現れてしまうことがある。
事実上生きてはいない。ただ考え方によっては、その輸血された人の中で共に生き続ける、そういった事も考えることができる。
「へぇー案外色々めんどいっすね。」
「まぁな。で、そんな事はいいとしてサイズはもう調べ済みだから、、早速作っちゃうな〜」
「いや、怖えよ!」
ハリーがそう言っている中,ちとせはある事に興味を持っていた。
「思うんすけど、今から作るパーカーにその血液を入れてうまいこと利用できないっすかね。」
そう言った瞬間周りの時が止まった。
((((何言ってんの?コイツ、、、))))
そこにいるちとせ以外の皆んながそう思ったのだった。
思考、時が止まった、まるで0.2秒の無領○処を打たれたかのように、まるである吸血鬼のザ・○ールドを受けたかのように。
だが、マリーは笑った。
「ハハハ、確かにそれは、面白いな……生物意外に使った事はないし、使おうと試したこともない。」
「いや、でも、、、」
「そうですよ。危ないし、、、」
ハリーとシャーロットが止めるがマリーは止まらない。
ミルに至っては、
(相変わらずだな。コイツ、)
「いいんじゃないかな。」
そう思っていた。
「明日、取りにおいで、とっておきの能力者の物がある。素晴らしい出来にできるよう頑張るよ。
さ、君たちさっさと今日はもう寝ろ。そろそろ、あれが来るだろうし、、」
そう言って,3人はそれぞれの自室に戻って行った。
――――――――――――――――――
翌日、ちとせとミルが寝ているとベッドの横に誰かが立っていた。
「グッドモーニング!!」
「うるさっ!」
「うるさいぞ!実験狂乱女!」
「ダサいからやめろ!それ、そんでこれ!うまく行ったよ!着てもらうのが楽しみで早く来てしまった」
そうウキウキでマリーが掲げる上着の色は黒というより、少し赤が混じっていた。
どうやら、血をいえる際にどんどん変色し赤黒くなったらしい。
そうして、着てみる。
「サイズはバッチリですね。」
「ああ、サイズは変えれるし、スキルとして空中浮遊もある、それを着ていれば空を飛べるぞ。
それに、腕に巻いて殴れば高威力のパンチも打てる。君が主人だから、呼べば駆けつけてまくれる。そして、メインの能力は……」
(生きてない者にもよくいけたな)
そう思うちとせだった。
その日の昼、城の大広間に呼ばれ、そこにはアーロンとマリー、ルナにシャーロット、ハリーたちそしてちとせも集まり会議をした。
「この時期になりわかる人にはわかると思いますが、王位継承に関すること、」
そして、テーブルにアーロンがあるチケットを置いた。
それは高級汽車の列車チケットである。
毎回王位継承戦のこの時期になるとそれぞれの候補者とこの汽車に乗り、ある王国を目指す。
候補者たちはここで初めての顔合わせだ。
なぜ、その王国を,目指すのか王国の名はグリットハッタ王国、国王はロイ・アルベールその王とそれぞれの候補者が会談を行い気に入られればその国王自ら王位継承者を推薦をしてくれるのだ。
最後は半年後の国民の投票なのだが、国王が推薦となると期待度や信頼度などが上がる為必然的に気に入られれば王位を得るためには大きな一歩となるのだ。
勿論それだけで決まるわけではないけどね。
試練は他にも何個かある。
そして、この汽車での移動中になぜか絶対に1人死ぬのだ。
歴代の中では、結構何人もやられる。惨殺の舞台の一つにもなる場。護衛が必須である。
中でもルナは1番若くセレスタリアの直血だ。1番狙われやすい。
「チケットは五枚だな。私はパスだ。他の召使と一緒に残ろう。だが、行く奴誰かに小型カメラとマイクを持たせるから、いつでも情報を共有ができる。」
と言うことで行くメンバーは、ちとせ、ルナ、アーロン、シャーロット、ハリーの5人。それと、密かにちとせのフードに隠れるミルの一匹である。
マリーは小型カメラをちとせに持たせて情報を得たり、怪しい奴がいたら直ぐに伝えたりと色々できる。
明後日が乗車日時、2泊3日の旅である。
5人と一匹は無事に乗り越えることができるのか。
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「???様。無事全員にチケットを配布しました。」
「うん、どんな感じに今回の王位継承戦は転ぶのかしら、楽しみね。」
暗い部屋で2人の男女がそう不敵に何かを企んでいた。
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当日
駅のホーム。
ルナはおしゃれなドレスを着ており、ちとせは作ってもらったスーツそして、特別な上着を着ており、フードの中にはミルがいた。
首元にはお馴染みの指輪のネックレスが掛かっている。
他の3人もスーツや、ドレスを着ており、豪華である。それぞれバッグを持っている。
ちとせの手にはトランクを片手に持ちその中にはルナの他のドレスなどが綺麗に収納されている。
そして、武器である鬼丸国綱は薄い布に包まれており肩に背負っている状態で、耳にはマリーと連絡できる、マイクと、視界が共有されている小型カメラがついている。
なぜ、こんなにちとせは荷物が多いのか、それはルナの護衛だから、だ。
よって、他の人たちは一応能力者なのでいざとなれば対処できる。その為、武器などは置いてきたのである。
武装しすぎると怪しすぎたりする為、大体は護衛は1人で、あとは付き添いなどがこの王位継承では、決まっている。
「ちとせ!似合うか?」
「ええ。とっても。」
駅でそう話していると、耳元から声が聞こえた。
「画面は見える音は?」
「聞こえますよ。マリーさん。」
マリーとの連絡も大丈夫だ。
「電車が来ましたよ。」
そうして、汽車がセレスタリアに到着した。
他の候補者はすでに乗っているようだ。
「「では、いざ!グリットハッタ王国へ!!」」
そうして、5人と一匹は汽車に乗車した。
これから起こるある事件について、皆はまだ予想をしていなかった。




