第3話 業鏡高く懸げ三十七年、一槌にして打ち砕き大道坦然たり
両者とも木刀を、構え対峙する。
(ん?あの構え……)
アーロンがそう疑問に思いつつも、勝負が始まりまずは、ちとせが先に動き始めた。
ちとせが猛スピードでアーロンの懐に入り,木刀を振り上げる。
力強い一撃。だが、アーロンに塞がれてしまう。
その事を見越してか、続けてアーロン腹部を蹴り上げるも……
(ん?硬いな……)
ちとせが疑問に思い見てみると、アーロンは自分のお腹の目の前に木刀で蹴りをまたしてもガードしていた。
慌ててバク宙をして、下がり様子を伺おうとするも、その隙をアーロンは見逃さなかった。
「あぶな!」
すぐさま、ちとせの顔面に木刀を横に振り慌てて避けるちとせ。
だが、アーロンの狙いは顔ではなく足だった。
足に木刀を当て体制を崩してしまう。
アーロンがちとせの頭に木刀を振り下ろそうとした時、お嬢様が叫んだ。
「ストープ!!」
木刀を振り下ろすのをやめて、ちとせが立ち上がる。
「久しぶりに剣を握ったから、うまく動けなかった……」
そう残念そうに言い訳をするちとせ。
「中々動けていましたよ。アクロバティックに」
アーロンがそうはげます。
「あなたの流派、獣王剣・轟牙斬流……その流派の特徴は獣のような動き重い攻撃が特徴。あなたからこの流派が出るのはびっくりしましたけど、、」
そう話すアーロン、
獣王剣・轟牙斬流派とは、八代流派の中では1番弱いが、獣のようなアクロバティックな動きで重い一撃が特徴な流派。一対一よりも集団戦に有利な流派だ。
数年前にその流派の最後の持ち主が亡くなり、
もうこの世から無くなった流派だと思われていたが、ちとせが受け継いでいたのだ。
「すごいな!ちとせ!」
お嬢様が目を輝かせて近づいてきた。
「ありがとうございます。じゃあ、その指輪……」
「仕方ない、、アーロンと中々の勝負ができていたからな……ほい、返すぞ」
そう言ってお嬢様がちとせに指輪を返してくれた。
そんなこんなで城の中に戻りちとせはご飯を食べていた。
その隣にはなぜかお嬢様が座っている。
「えっと……どうしました…か?」
「ちとせは強いんだな。妾は一向にアーロンに勝てんのじゃ。」
広い大きなテーブルがある大広間。
そこでひとりちとせがご飯を食べてる中、
お嬢が隣に座りそう話し始めた。
「そこでじゃ、妾に剣を教えてくれ!」
「剣?今の時代に?使わないでしょ、、冒険者とかもう,今の時期古いですよ」
呆れたようにそう言うが、お嬢は本気らしい。
そこでその様子を見ていたアーロンが話し始めた
「お嬢様は半年後にここセレスタリア王国の王妃にならなければいけません。」
アーロンが言うには、セレスタリアは毎回王になるのは女性と決まっており、本当ならお嬢様の母親がなる予定なのだが、両親2人とも事故でなくなっているらしくこの8歳のお嬢様がならないといけないらしい。
そして、なるにあたって今の王妃はもうおばあちゃんらしく、半年後に世代交代をする。
そうなった時、このセレスタリアの直結であるこのお嬢様の他に3カ国のお嬢様がギリ血縁関係あり、王位継承を争わなくてはならない。
争うと言うか、別に話し合いでもいいのだけどそんな平和にはいかないらしく。
毎回死人がでるらしく、その為護身用だったりなにか特技を披露する時があり剣技は昔から重要視されるらしい。
一応、この世界には銃刀法は今廃止されている。
「と、言う事です。私でもいいのですが、私も忙しいし、この子の護衛をするためにはある程度実力者が欲しいのですがいなく、宜しければあなたにやってもらいたいのです。」
「いやです。」
またしても、丁重に断るちとせ。
「なんで!?」
動揺するお嬢、
「だって、めんどいし、親友助けたいだけなんで……」
「でしたら、あと半年王位継承まで護衛をやってください。そしたら、私もその親友探しに全面的に協力しましょう。私の仲間とか大勢?付けますよ!」
アーロンがそう提案してきた。
「?なのが少し怪しいが、戦力が欲しいのも確か………え、と言う事はここで半年ストップ!?」
「YES」
「why? stay?」
「year year」
「マジか!!」
「何言ってんの?さっきから……」
お嬢が、卒業式の返事でふざける人を見てマジで引いている人のような目でコチラを見ていた。
「まぁ、いいか。その代わり絶対に終わったら協力してくださいよ!」
「わかりました。」
そういうことで、半年間お嬢様の護衛をすることになる、ちとせだった。
「そういえば、ちとせって武器とかないの?」
お嬢がそう言った瞬間、キョトンとしたようにちとせが目を丸くする
「そうですね。そこまで刀最近、触ってなかったので」
「じゃあ、護衛するなら買った方がいいよ。」
「それもそうですね。剣ですか?」
「刀があればそっちが……」
ちとせがそう言うと困ったようにアーロンが言う。
「刀となるとこのセレスタリアにある武器屋にはあまりないかもしれませんが、、まぁ探してみましょう。」
と言う事で、街に行ってちとせの武器を探すことになったのだった。
セレスタリア城は、街から少し離れた自然が生い茂っているところに建っており街に行くためには、
馬車などの乗り物を使っていくそうだ。
「車は?部品さえあれば修理できるけど……」
「街までなら馬車で行きましょう。」
アーロンの提案でそう言うことに決まった。
数分後、
街につき、ちとせは自分の割れてしまったスマートフォンを片手に不思議がっていた。
「電源はギリつくのに、電波が入らないな、、」
そう思っているとアーロンが説明してくれた。
「ああ、セレスタリアは南半球、北半球で科学が染まってきていてまだ、南半球には少ししか届いていないんですよ。あの、防犯カメラも取り付けられたのは最近で、、」
そう言われ辺りを見回してみると、確かに電柱の所などにある防犯カメラが元いた街に比べるとかなり数が少ない。
科学がまだ行き届いていないせいか、車なども少なくまだ馬車が走っている。
通りで電波、Wi-Fiなどが通らないわけだ。
「なるほどね。じゃあ、携帯のマップもうまく使えないですね。どう行きます?」
ちとせが聞いてみるとアーロンがポケットから地図を取り出し話し始めた。
「刀となると取り扱っているのは4件程ですね。
一軒ずつ回っていきましょう。」
そうして、まず一軒目に向かった。
――一軒目――
「あの、刀ってあります?」
ちとせが強面の店主に聞いてみるとすんなり答えてくれた。
「刀なら、あそこにあるよ。見ていきな。」
そうして、少し奥の方に行くとあるにはあるが錆びついていたり、刀身が少し不安定だ。
「ダメだね。」
「では、次のところに行きましょう。」
――二軒目――
「刀あります?」
「刀、は……ないですー。おでんならー!」
「じゃあ、おでんで、」
「よろこんでー!!」
「昔のテレビドラマの真似をしないでください。」
アーロンに注意された店主とちとせとお嬢だった。
「じゃあ、なんか他のは……」
「他の、は…… ないですー。おでんならー!」
「じゃあ、おでんで、」
「よろこんでー!」
「喜ばないで。それに、さっきもおでん頼みましたよ?取り敢えず無さそうなので行きましょう。」
そうして、武器屋なのかもよく分からない店をでて三件目に向かった。
――三軒目――
「刀ある?」
「刀っすか?今どき、いいのは全部美術館とかそうところにしかないっすよ。」
「それもそうか、じゃあ、いこ。」
そうして迎えた四件目
この四件目は他のに比べて少し街から離れた木々が生い茂ったところにある。
建物は少し古く木で出来ており、貼ってある看板は斜めになっていて文字が消えかけている。
「デイ、ビ…ス工房?」
消えかけの文字を頑張って読み取るお嬢。
「ここが最後です。中に入りましょう。」
「妾は疲れたぞ。ここの椅子で休んでるから見てきてくれ。」
お嬢が外にあった椅子に腰掛け、そういった。
「分かりました。お嬢様そこにいてくださいね。」
そうして、ちとせとアーロンの2人が中へ入って行った。
「刀って置いてます?」
白髪で隻眼の老店主にちとせがそう聞くと
「待ってな。」
そうとだけ言って奥に行き黒い鞘の刀を持ってきた。
中は少し古くカウンターのところには客用の椅子があり、少しバーのような雰囲気もあるが武器もちゃんと売られている。古い木材でできていてあじがある。
「どうだ。」
口数が少なく、なにやら抱えていそうな、そんな店主。
ちとせは刀を取り鞘を抜いてみた。
「ん〜少し違うかな。」
「お気に召しませんか?」
そう聞こえた瞬間、老人はあることを聞いてみた。
「………お前さん。歳は?」
「ん?15ですけど、、」
いきなり聞かれキョトンとしたように答える。
「そうか、ちょっと待ってろ。」
そう言って奥から出てきたのは何やら豪華そうな年季の入った木箱。
「この刀、あんたに合うと思うぞ。」
そうして、箱から出てきたのは、
赤黒く、金の装飾が入っている鞘に包まれる刀。
「名は、鬼丸国綱。天下五剣の一本だ。」
鬼丸国綱。
天下五剣の1つに数えられる名刀で、鎌倉時代に粟田口国綱によって作られた太刀。
北条時頼の夢に現れる小鬼を退治した逸話から
「鬼丸」と名付けられた。
「なんで、そんなにいい物がここに?」
ちとせがそう聞き答えてくれた。
どうやら、320年前異能力というのが人々に目覚める前宇宙の外から来た邪神アザトースが地球に攻め入り地上を蹂躙していった。
そんな中、人々は対抗しようとし今で言う核や、戦車、戦闘機、銃器などを使い対抗したが敗北した。
その時、人1人が自分の身を守るために昔に使われた刀などの武器たちも戦場で再度戦いに使われた。
だが、結果敗北。
その時に、取り出された武器たちは世界中に散らばっていってしまった。
だが、近年その時に使われた武器たちが再度見つかってきており、こういった人が少ない所に密かに保管されていた事もあるそう。
「そんな物を、いいんですか?」
アーロンが聞くと店主は首を縦に振る。
「ああ、構わん。刀たちはここで保管している時より、きちんとした持ち主に使ってもらった方がいいんじゃ。その赤い瞳にこの刀はよく似合っとる」
「ありがとう、おっちゃん!」
「おう、さっさとそれ持って帰んな。」
そう言って、少し照れくさそうにしながらもちとせとアーロンは武器を手にして店を出るのだった。
(あんたに言われ、、、わしは今きちんと商売しとるよ……見とるか……)
老人は何か自分の過去に浸り、そう思うのだった。
「お嬢様、戻りましたよ。」
そう言って椅子を見てみるとお嬢様は姿を消していた。




