第23話 現在は彼らのものだが、未来は私のものだ
「さえと、次の王位継承戦の作戦は……」
いつもの広い会議室で、アーロンが中央で作戦を話してくれている。
「しかし、アーロンのやつ。すっかり元気になったな……」
「はやいっすね。」
アーロンは胸の方にプレゼントした黒いサングラスをひっ掛けている。気に入ったようだ。
「なんか、古い知り合いから久しぶりに電話がかかってきたみたいでな、、それから元気になったんだ。」
マリーがそう説明してくれた。
一体、誰なのか、
マリーに聞いてもマリーも分からないようだ。
「聞いてました?」
「き、聞いてますよ、、」
アーロンが詰めてきて少し焦ったちとせであった。
今回の王位継承戦は、舞台はマグーラ領にある砂漠の王国ヴァバッシ、戦闘が娯楽の一つとされているコロシアムがあるところだ。
一応位置は、元々エジプトという国があった場所。
また移動である。
次の王位継承は,それぞれの候補者の護衛同士が
候補者をかけて戦うというもの。
「ちとせさん。私が出ましょうか?」
アーロンがそう言ってきたが、今回は自分でちとせが断る。
「大丈夫ですよ、勝てるので、」
自信満々にそう言うちとせ、それを聞いてルナは安心したように微笑んだ。
一応、闘技場でのルールをアーロンが簡単に説明してくれた、
まず、闘技場は広く迷路のような形になっている。
歪な道の中、護衛達が走り回り迷路の中にいる候補者達1人とペアを組む、そしてその候補者は自分が護衛している人、もしくはそれ以外の人でも可能だが、護衛も候補者も始まる時はどこか分からないし、1人だし誰と組むのかはマジで運。
そして、その候補者を制限時間まで護衛は守り切る。
それが、候補者の護衛としての責務でありきちんとした護衛の仕事ができるのかが見極められる。
候補者はそんなどんな時でもどう対処するのか、
勿論ずっと、守ってもらうだけではだめだ。
何か行動をしないといけない。
普段の護衛と違う人でも、どのような行動を取るのかその護衛と候補者の合計点が最後の継承戦に響く。
そのロイ国王はそれの審判のうちの1人、なので、ルナは少し有利だ。
だが、このゲーム問題がある、
それは、なんでもあり、
相手によっては殺すことも、能力を使うことももちろんあり。
守りきれなかったり、負けを認めたり、殺された場合は失格。となる。
そして、ルナは1番今有利にあるため少し危ない気もするが、アーロンがガッツポーズをする。
「ですか、この為の剣技!学ばせておいてよかったです。」
「まだ、上手くないけどな、」
ルナがそう照れ臭そうに言う。
「だとしても、、行けるのか?ちとせが、」
「信用しろよミル、」
確かにルナを無防備にするのは危ないが、よっぽどの事が無い限り、多分大丈夫だろう。
ちとせと会えなくて他の護衛と組んで攻撃しようとしても、ルナが傷付いたらあっちの点数も落ちる。
マイナスしかないため、殺されたりは無いと思うが、問題はそこじゃない。
この前のやつらの件、ハリーとかのもあれば、汽車での老人もある。
外部が怖いが、そから辺は今回はアーロンやマリー、ロイ国王も協力してくれるので、おそらく大丈夫だろう。
そうして、約1ヶ月後に控える王位継承戦が始まろうとしていた。
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「どうするのよ、、」
「と、聞かれてもお嬢様。もう手は打てません。」
「あー!!私のキラー、サンダーで消した!!」
「すみません、持っていたもんですから」
そう言ってどでかいテレビでマリ○カートをする
カラベラ王国候補者、イザベラそして護衛のアーサーだった。
どうやら、次の王位継承戦は負けられないみたい。
マリ○カートが終わり、アーサーが話した。
「次の王位継承戦は、お嬢様と護衛はそれぞれ別々になる可能性が高い。そして、最悪護衛するはずのお嬢様を結果的に傷つけるかもしれない。」
「分かってる。でも、そんなのの何が狙いなのよ!」
そう少しキレ気味で言ってくる、イザベラ
「この戦いでは、その私達護衛とお嬢様の忍耐力そして、対応力、判断力が見極められます。
まぁ、私達が離れなければいいのですが、始まる場所はどちらも最初は1人で広い迷路。
落ち合う可能性は低い。」
そう淡々と話すアーサー。
部屋は大きなベッドに大きなテレビ。
壁を囲むように本棚がずらりと並んでおり、横にはバルコニーが見える。
セレスタリアと違いここは、いかにもお姫様がいる理想のお城のような感じだ。
「アーサー居ないと、やばいのに……」
そう言って手遊びをして心配している、じっとしていられない様子のイザベラ。
「イザベラ様、今回の戦いはもはやなんでもあり。
ですが、お嬢様と組んだ護衛はあっちの評価にも関わると思うのでよっぽどの事はしないはず。
ですが、殺しもあり,能力もあり、もしかしたら外部から攻撃を受けるかもしれない、」
アーサーはイザベラの方に体を向け、長々と説明をしている。
よほど、イザベラの事を大事に思っているのだろう。
「もしも、私と組めなかった場合……残りの護衛3人の中で、女性の日浦ちとせという人を探してください。あの人は、おそらく信用できる。」
そう聞いて、イザベラは残り2人の護衛である
ベルナナ王国の護衛、黒子と、アセリア王国の護衛エディ2人のニチャッとした笑顔が頭に浮かぶ。
もっとも、黒子に関しては仮面を付けているため、表情が分からない。
「た、確かに……あの2人は危険ね!」
「なに、想像してるんですか?」
呆れたようにアーサーがその様子を見ていた。
「まぁ、分かったわ、ちとせ……」
(あの子か、、あれ……でも年下じゃない?)
「イザベラ様?」
(まぁ、いいか……)
「なんでもないわ!」
イザベラの年齢は17歳、ちとせは15歳、
2歳差である。
「分かったわ!アーサーも今回はがんばってね、
私以外の人も護るなよ!」
「ええ、分かっております。」
そうして、2人は手を握り外に出た。
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北極、そこでは吹雪がいつもより強く吹き荒れていた。
「吹雪つよ!」
「前が見えないが、関係な〜い!」
そうして、梟は猛ダッシュで走り出した。
「子供か!」
「なんで、あんな元気なのあの人、、」
「やたらと、あの人雪好きなんですよね、、」
「いや、子供か!」
そうして、少し進んだ先に木でできている家があった。
中には明かりがついている。
「ど〜ん!失礼します!」
梟がドアを蹴りで破壊して豪快に入る。
「梟さん、ここは一応十一大惑星の家なんですから、もう少し丁寧に!」
鷹がそうして、注意をするが聞く耳を持たない。
中は家というより、道場のような形で殺風景としており刀が4本飾ってあった。
その前には厳つい大柄で銀髪の男が、極寒の北極の中、黒のタンクトップを着て話し出した。
「おい、お前ら誰だ?」
低い声で、梟たちに問いかける。
「いや〜少しご相談がありましてね!」
「そうか、人の家のドアを蹴り上げてくるとは!」
そうして、すぐさま刀を抜き取り梟に振り上げる。
その瞬間刀が少しずつ凍だし、部屋も氷で染め上げられつつある。
これが、十一大惑星天王星、ウラヌスの能力であり、肩書は魔術師、ロイス・バレーである。
主に氷の能力が強く、街一つ凍らせる事ができるほどの能力者。
だが、梟はその刀を右腕で抑える。
梟の右腕には銀のガントレットが装着されており、そこから一気に炎がでて、氷を食い止めている。
「すごいだろ?うちの科学技術の賜物だよ!」
梟は余裕ぶっこいているが、その後ろにいるハリーやシャーロット、鷹は半身が凍ってきている。
「ちょっ!梟さん、まじやばいって!」
ハリーが今に凍え死にそうな様子だ。
「……科学?そんな物、能力の真似事にしかならぬ!」
「その真似事に、お前は負ける!!」
そうして、一気にガントレットから火が吹き出し、爆発した。
辺りは氷の海から火の海へと変貌する。
梟の強さはギリ十一大惑星には届かないぐらいですが、弱くなく強いです。でも、梟はどちらかというとずる賢い感じかな、