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第2話 始まりは全て小さい。

「えっと……ここどこですか?」

 窓から日の光がちとせの居るベットに差し込んでいる。

 ベットの隣にコーヒーを注ぐ、メガネをつけ、オールバックの高身長の男が立っている。

「ここは、セレスタリア王国。あなたは近くの河辺で倒れているのをお嬢様が見つけて運ばれてきました。3日間寝ていました。」

 どうやら、あの緑の渦、ブラックホールのような物に吸い込まれワープしてきてしまったようだ。

 あれは、ちとせも知らないし、ニュースにも出てきていない。

 最新の科学技術なのだろうか……

「なるほどね。そうか、セレスタリア……は?

 せ、セレスタリア?」

 動揺するちとせ。

 それもそのはず、セレスタリアとは南半球に位置する、王国であり、ちとせたちがいたエメラルダ王国は北半球で元日本という国が栄えていた場所。

 南半球と北半球。かなり離れている。

「道理で暑いわけだ。」

 エメラルダ王国は冬だったがここセレスタリア王国は夏であり、季節が食い違っている。

「まぁ、落ち着いてコーヒーあなたも飲みますか?」

「あ、いえ、コーヒー飲めないので」

「わかりました。紅茶でいいですか?」

「あ、はい。」

 紅茶を飲みつつ、今までの経緯なぜ今ここにいるのか分かることを話した。

「なるほど、どうやらフレイム・コアの罠のようですね。私もエメラルダ出身なのでわかります。おそらくその親友さんは捕まった可能性が高そうですね。能力者となると利用価値がありますから……」

 淡々と話してくれるこの男。

 名前はアーロン・スミスといい、ここのセレスタリアのお嬢様に仕えているそうだ。黄色の瞳が特徴。

「そういえば、服とかあと車とかは?」

 同じく吸い込まれた車とかはもしかしたら周辺にあるかもしれないもしかしたらそれでどうにかなるかも……そう思い聞いてみたが希望は薄そう。

「あなたと同じところにありましたですが、部品など所々壊れていて修理が必要ですね。服はこちらで洗濯してありますのでしばらくしたらお返しします。親友さんは私もフレイム・コアに関しては少し因縁があるので探すのを手伝いたいですが、

 今立て込んでまして、、1人で行くのも危険なので今は休息に力を入れてください。」

「わかりました……」

 直ぐにでもちとせは助けに行きたいが、このまま行ってやられるのはもっとダメだ。

 それは分かっていた。後回しになるが協力してくれるなら待とう。ノアなら大丈夫そう信じるちとせだった。

 因みに今、ちとせは病院で入院患者などが来ている病衣を身につけている。

 夏で暑いが通気性には優れているので案外快適だ。

 ここで、ちとせはあることを思い出した。

「オイラ、もう限界だ、」

 そう言う白い子猫がフラッシュバックした。

 ミルだ。

「ミル!白い猫は見てないですか?あと確か指輪?」

「白い猫……見てないですね。ですが近くにいる可能性はあると思うので後日探してみましょう。

 そして、指輪なんですけど……」

 まぁ、ミルに至ってはちとせが自称だが、耐久性には優れている子猫だ。

 そんな直ぐにはくたばらないだろう。

 問題は指輪だが、その話題になった瞬間いきなり心当たりがあるようで少し黙り込んでしまった。

「指輪は、実はお嬢様が……」

 そういい終わる前に勢いよく扉が開いた。

「おい!アーロン!!聞け!朝食の紅茶に砂糖が入ってなかったぞ!って、あれ?起きたのか?」

 そう言って威勢よく入ってきた金髪で青く水色っぽい綺麗な瞳を持った女の子。

 だが、よく首元を見てみればちとせが掛けていたシルバーの指輪のネックレスをかけている

「その指輪って………」

「あっ、やば!!」

 ちとせがそう言った途端、すぐさまダッシュで逃げてしまった。

「あの、あの子って……」

「ええ、8歳のここ、セレスタリア城のお嬢様です。やっぱりあの指輪……数日前にあの子がいきなり付けていて不審に思ったのですが……まさか盗んでいたとは……」

 ちとせを見つけて助けてくれたのはあのお嬢様……

 実際、あの指輪は車にあったものちとせのではないが、何故かあの指輪を気になっていた。

「少し追いかけてきます。」

 そう言ってベッドから降り部屋を後にするちとせ。

「はぁ、お嬢様……」

 窓を見つめため息をつくアーロンだった。


 ―――――――――――――――――――


「はぁ、はぁ、はぁ、不味いぞ!なんで妾が走らないといかんのじゃ!」

 そう叫びながら長い廊下を駆け抜けるお嬢。

「あらあら、お嬢様。どうかしたんですか?」

「やだ、お嬢様が走ってる可愛い……」

 走るお嬢を見て他のメイド、召使い達が皆微笑んでいる。

 そんな中、すぐさま走って噴水がある大きな庭にまで逃げた。

「ふぅーここまでくれば大丈夫じゃろう。」

 そう安堵するお嬢様。

 だが、その背後にはすでにもう誰かが立っていた。

「ここにいたんだ。それ、返してもらえます?」

「げっ!なんでここに……能力者か??」

「無能力者です。」

 ちとせは、迷子になって偶然出た庭に行ってみたらお嬢様が偶然にも既にいたのだ。

 運が,なぜかいいちとせであった。

「あの……でも、」

「お嬢様。返してあげてください。それはその方ちとせさんの物ですよ。」

 そう注意しながら、庭に出てきたのはアーロンだった。

「速!まさか、アーロンも能力者か!!」

「私は能力者ですよ……というか、知っているでしょう?」

 だが、その時一つ疑問がちとせには浮かんだ。

「名前って、言いましたっけ?そう言えば……」

 そう聞かれハッとするアーロン。

今までアーロンはちとせのことをあなたと言っていた。それはちとせが自己紹介をし忘れていたから。でも、何故か今、名前を知っていたそれはおかしくね?とバカなちとせでも分かった。

「服、に……名前が書かれていてそれでですよ。」

「そうですか……」

(名前……書いたっけ?)

そう思うちとせ。

「ええ、それより、早くお嬢様はそれを返してあげてください。」

 そう説得するが、頑なに嫌がるお嬢様。

「これ、綺麗だし……名前!書いてない!」

 さすが、8歳。理由も可愛らしく子供すぎるくらいである。

「そうだ!ちとせ!だったか?アーロンを剣で倒してくれれば、この指輪を返すぞ!」

 そう高らかに条件を掲げてきた。

「んーいいでしょう。ちとせさんそれでいいですか?」

 アーロンがそう聞いてきた。

「え?あ〜まぁ、いいですよ。剣は昔教わってたので……」

 少し乗り気ではないが、ちとせはそれを受けることにした。

 そうして、ちとせは病衣からジャージに着替え木刀を握りお互い見合っている。

「ちとせ!本気でいけよ!、アーロンなんてコテンパンにて恥かかせろ!!」

「ちとせさん。少し手加減しますのでどこからでもどうぞ。」

 ニコッと笑いながらアーロンがそう言うが、

 それを丁重に断るちとせ。

「いや、大丈夫です……」

(久しぶりだな……剣、でも手加減はしないし、してもらわなくていい。本気で行くぞ……)

そう意気込むちとせであった。


 ―――――――――――――――――――


 4年前、

 青く輝く空。

 緑色に輝く木々、その下で1人の男と剣の稽古をする11歳のちとせ。

 その近くにはベンチがあり、2人の男がそこに座りその様子を見ていた。

「さぁ、今回、ちとせは勝てるのか?」

「ちとせ、相手をよく見て戦うんだぞ、」

 そうアドバイスを受け、様子を伺うちとせ。

「へん!お前らうるせえわ。さぁ、ちとせ!やるぞ……」

「わかってる……えい!…えい!」

 そう軽い掛け声と共に軽く振り下ろされる木刀。

「ああ、あの野郎……」

「ちとせは、まだまだ、太刀筋が甘いな。」

「まぁな。11歳だし……にしても、夏にハエ叩きでもする婆さんか?」

 そう言いちとせを見守る2人の男。

「えい、えい、」

「もういい……」

「えい、えい、え……」

「もういいって!!」

 そう言ってちとせの頭を上から押さえつける男。

「お前な……太刀筋とか振り方とか教えてるし、

 最近は刀藁とかも切れるようになってるのになんでこういう時に、弱くなるんだよ……」

「仕方ないだろ?緊張しちゃうんだよ……少し、、」

 そう俯きながら顔を赤くして答えるちとせ。

「緊張って、、緊張……ハハ!!傑作!」

「笑うな、」

1人の男が高らかに笑っている何に受けたかわからないが……

「いいか!これは、あくまでも練習だ。

 それに、練習でも本番でも相手が刀を持って対峙したなら……そいつは、敵だ。容赦なく行け!

 相手が手加減してきたら、なおさらだ!」

「わかったよ………」

「じゃあ、もう一回行くぞ…」


 ―――――――――――――――――――


「………容赦なしに行きますよ。」

 そう言ってアーロンを鋭い眼差しで見るちとせ。

「……ええ、わかりました…」

 それに応えるようにアーロンも返事をする。

 アーロンは内心、ちとせと戦えることにある事が理由で少しウキウキしていた。


 2人、剣を学んだ者たちの勝負が始まる………

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