第16話 人は死んでも、その人の影響は死ぬことはない
すくさま、ちとせは鬼丸国綱の鞘を抜きリアムに挑む。
両者の刀同士ぶつかり、火花が散る。
「お前が、憎い……」
「はは、昔は仲良かったじゃん?」
そう言ってちとせはリアムを押し返した。
すぐさまリアムは攻撃に移る。
「……増々サムソンにそっくりだ。黒海崩壊…」
そう言った瞬間、リアムの手から黒い煙のような物が一瞬にして、海のように広がる。
「いかん!ちとせ、それに飲まれるな!!」
スワルが大声でちとせに向かってそう叫ぶ。
それを聞いて、すぐさま大ジャンプをし避けると、そのちとせの後ろで見ていた観客達が一斉に飲まれ黒い影を残して消えてしまった。
「ああ!?なんなんだ?あれ!おい!ルイス!」
「私に聞くな!分かるかあんなもん……」
2人も驚いている。
「ちとせ!大丈夫か!?」
ルナが心配そうにそう言うが、ちとせは親指を立てる。
どうやら、問題ないらしい。
「獣王剣・業火無双……」
そう言ってちとせが着地と同時に黒い霧が掛かったところに刀を斬りあげる、
炎が黒い霧を覆うように赤く燃え上がっている。
炎が去ると、黒い霧が綺麗さっぱり無くなっており、先ほど消えた人も姿を表した。
「あれ、、?俺たち、、」
「どうなってんだ?」
観客が動揺している。
「お前の技は通じないぞ、、」
「……技を消した……?」
リアムが不思議に思う、自分の取っておきが簡単に無かったことにされてしまう。
そして、ちとせは静かに怒っていた,
自分、だけではなく、街の人にも手を出した。
「お前は長にはなれない、、失格だよ。
長の器がないんだから。」
そう言われて苛立ちを隠せないリアム。
だが、その時昔の数年前の記憶が掘り起こされた。
自分がちとせを刺した記憶、そのせいで師匠やサムソンが亡くなった。
(違う……あれは、俺のせいじゃない。
違う、違う、違う!)
そう言って、すぐさまちとせに向かって刀を横にふる。
すぐにちとせは避けるも、刀身を見てみると黒い霧で刀身が丸々覆われている。
闇を宿しているのだ。
「ちとせ!お前を殺すぞ!」
そう言って、ちとせの近距離で闇の丸いボールのような物を出す。
対してすぐさまちとせは、炎の丸い太陽のような物を作り上げてぶつける。
巨大なボールが2つぶつかり合う。
闘技場はもはや、崩壊寸前。人の域を軽く超えている。
「そんなものか!!」
「残念、、お前の負けだよ……」
ちとせはリアムを哀れに思った。
自分のやったことに気づいていない、
そう思ったからだ。
そして、そんな奴を今ちとせが片付ける。
過去の友達であったちとせが自ら、葬る。
太陽のような物はその場で闇のボールを飲み込むようにして、そして爆発した。
闇のボールごと跡形もなく消えてしまった。
その瞬間、ちとせは刀でリアムの足を攻撃し姿勢を崩したところで、刀の先端をリアムに向ける。
「終わりだ、リアム。お前の負けだ。」
そう言った時、リアムの心にある闇。
嫉妬心は強くより濃く、出てきてしまった。
負けを認めるということは、リアムにとっては厳禁だ。過去のこともある、
「負けた、、?俺はまだ負けてないし、認める気もないぞ!!」
そう言って、リアムの身体を闇が覆う。
「なんだ!?、」
スターリンや、他の観客たちも混乱している。
「スワン様!何が起こったんですか?」
ホルスが混乱しスワンに聞いてみるが、スワンはいつにもなくテンパっている。
「いかん!やはり、リアムの能力は!、」
「なんなんだ、これ!?」
「ミル!変な大きな物が出てきたぞ!」
「これは、逃げた方がいいんじゃないか!?」
ルイスまで、テンパっているが唯一ネビュラはこの状況にも冷静だ。
「あの能力、とてつもない嫉妬心、大罪スキルの一つ嫉妬ですね。」
大罪スキルとは、人間が持っている悪の根源とされる七つの悪徳それを、七つの大罪といい、
その七つの大罪に関してのスキル、の事を大罪スキルという。
リアムはその嫉妬心の強さから、自身の抱えていた闇が広く大きくなり、自分を覆う程の大きさになった。
その姿は大きな蛇のような龍のような見た目をしている。
「全員、今すぐここから離れろ!!」
ちとせがそう叫びすぐさま観客たちは闘技場から出て行った。
残ったのはちとせとホルスとスワル、ミル、ルナ、ネビュラ、スターリン、ルイスの関係者たちだけであった。
「ちとせ!大丈夫か!?」
スワルが心配そうに声をかける。
「俺、1人でやる!、」
そう言った時、巨大な口から闇のオーラがちとせに降り注ぐ。
「マジか!」
ちとせは刀で抑えるものの、耐えきれなくなり、なんと鬼丸国綱の刃が粉々に砕けてしまった。
「うっそ!?」
ちとせは、驚くもその間にも攻撃が来る、
すぐに走り舞台上を走って避ける。
鬼丸国綱は何百年も前のもの、状態がいいと言ってもそれまでのちとせの戦いを支えてくれていた、流石に耐えきれなかったのだ。
(………くっそ!武器がなきゃ、こんなん止められないぞ……)
「うお!あぶな!!」
「ちとせ!少し時間を稼いでくれ!」
そう言ってルイスが走り闘技場を出て行った。
時間を稼ぐ、そう言われても流石に限界である。
だが、刀がないと念動力ぐらいでしか攻撃が出来ないので、避けるしか策がない。
そんな中、リアムは黒い闇の触手なような物を何本もだし、ちとせを追い詰めていく。
そして、ちとせは思わず自分の足元に先程の黒い霧があり触れてしまった。
その瞬間、辺りは真っ暗になり、誰か現れる
サムソンだ。
「お前が、俺を殺したんだぞ……」
「お前が居なければ、、」
「ルナにはちとせなんか要らないぞ!」
「ちとせさん。あなたは人に迷惑をかけているんですよ?」
サムソン、ルナ、スターリン、ネビュラが目の前に現れた。
ちとせを責める。
「……違う、アイツはそんなこと言わない……」
ちとせはそう思うことにした、だが、追い打ちをかけるようにルイスが後ろから現れる。
「思っていても、言わない事だってあるだろ?」
「うそ、嘘だ……あいつらは、言わない、思っていない!絶対!!」
そう叫んだ時、目の前にいた人達が燃えて火の粉に散って行った。
まるで何かに斬られたように、、
その瞬間、目の前が明るくなり、光が現れる。
やがてその光は一つの形になった。それは人の形。
目の前に現れたのはスパルタクスだった。
「ちとせ……あいつを解放してやってくれ……
あの子は悪くない、、能力に飲み込まれてしまった被害者なんだ……」
そう涙を流す。
「それが、、依頼ですね。引き受けますよ、、
それに、そのつもりです。」
「、、ありがとう、、」
優しく微笑んだ。そんな気がした。
そうして、目の前が元に戻り、闘技場だ。
「ちとせ!大丈夫か?」
ルナが心配している。
目の前を見ると、赤い鞘の見たことのある刀が地面に落ちていた。
その周囲を闇がまるで避けているように。
すぐさま、ちとせはそれを持ち上げる。
ルイスの声が闘技場に響き渡る。
「ちとせ!それは、サムソンの刀だ。妖刀、ケルベロス!そいつなら耐久性も最強だろ?」
それを聞いたちとせは、微笑んだ。
「燃えるね……気張って行くか?」
(おう!……)
「……!、、まさかね、、」
すぐさま、鞘を抜きリアムに近づく、
触手を何本もちとせに突き刺してこようとするが、刀で受け流す。
高く飛び、ちとせは刀を構え、唱える。
「獣王剣、奥義!烈火神・三頭獣、地獄……」
ちとせには見えた、リアムが自ら首をちとせに差し出す姿、早く解放されたかったのだろう。
早く、師匠の元に行きたかったんだろう。
まるで朝のような日の明るさが闘技場を照らす。
ルナは少し離れていたが、そこでもちとせの火の熱さを肌に感じる。
大きな炎が舞台上を埋め尽くす、火の海のようなそんな光景だ。
そして、闇は消えリアムが最後に光の姿アストラル体で現れる。
「ちとせ、ごめん。そして、ありがとう……」
そう言って光の粒となり消えていってしまった。
おそらく、リアムはの能力は強い、たが本人の心とは相性も合わなく、能力が耐え切れないほど脆かった。それで、情緒が不安定だったのかもしれない。
そして、一つまだ残っている火の粉、それは1番最後まだ残り、ちとせの顔の目の前で消えた。
「見ててくれよ、、そこでさ……」
(おうよ!期待してるぜ、、)
そうサムソンの声が聞こえた気がした。
そうして、新たな長がこの街に誕生したのだった。
王位継承の決着が着いたのだった。




