第15話 努力すれば報われる?そうじゃないだろ。報われるまで努力するんだ
両者の刀が地面についた時、試合が始まる。
最初に仕掛けたのは、リアムだった。
すぐさま刀を取り、鞘を抜く。
ちとせに斬りかかる。
直ぐにかわすも、腕が少し切れてしまった。
ちとせの刀はまだ、少し離れた地面に転がっている。
「ところで、ルイスよ、これはどう言うルールなんじゃ?」
「これは、長を決める戦いで本人たちが自分たちに合うルールを決めていい。サムソンとスパルタクスは両者とも殺しを嫌っていたから鞘を抜かなかった。が、今回はどちらも持っている異能力を使ったり、鞘から抜くのをありにしてる。
つまり、なんでもあり。殺しもな、」
「ん?ちょっと待て!ちとせは無能力者じゃぞ!強いて言えば、あの上着に力があるぐらい、、」
ルナがそう心配そうにちとせを見ているが、ルイスは少し驚いた。が、すぐに理解したようだ。
(……!、そうか……記憶がないから、気づいてないのか、トップクラスで強い力があることに………)
「なるほど、だから……観客の人たちも盛り上がっているんですね。」
「まぁ、こいつらは賭け事が好きだからな……言っちゃあれだ、クズばかり。」
そう言って辺りを見回してみると至る所で、
リアムとちとせ、どっちが勝つのかの賭けをしているようだ。
「ちとせが勝つんじゃないか?」
「いいや、サムソンの弟子だろ?」
「確かに……弱いわけじゃなさそうだが、、
まぁ、リアムかな……」
「スワル様は、どちらを?」
ホルスが聞いてきたが、軽くあしらう。
「時期にわかるじゃろう。それに、そんな賭け事をして何が楽しいのか、ワシには分からんな……」
そう言ってちとせとリアムの戦いを見届けてた。
「どうした?ちとせ、少し訛ったか?それとも、
刀がないと何もできないのか?」
「いや〜?手加減さ……」
そう、微笑むちとせ。だが、言っていることとは違って少し余裕が無いようだ。
「その態度、サムソンにそっくりだな……」
そう言って刀を構える、その途端リアムの刀は白く光輝く、
「震天一閃……」
そう唱えた瞬間、地面に向かって刀を振るった。
その瞬間、地面がひび割れ地震のような大きな揺れと衝撃にちとせは襲われた。
舞台上がボロボロに割れている。
「嘘だろ、、これがスパルタクスが残した一番弟子かよ……」
「こりゃあ、勝負アリだな、」
舞台上にはちとせの姿はなく、リアムが刀を持っている姿しかなかった。
この勝負は相手が逃げたり、負けを認めたり、死亡したら負けとなる。
「ちとせ……」
「おいおい、嘘だろ、、」
ルナ含めてちとせを応援していた人は皆驚愕していた、あまりのリアムの強さに。
だが、その中でもネビュラは微笑む、
ちとせの行方を知っていたからだ。
「……?ネビュラ?」
ミルがそう言って声をかけると、ネビュラは指をさす。その方向を見ていると、瓦礫が動いた。
ちとせがその下におり、持ち上げたからだ。
「生きていたのか……」
リアムがそう言うと、なにやらちとせの雰囲気が先ほどとは違う。
別人のように、変わっている。
「ああ、おかけで頭が冷えた。わかったよ。記憶が戻った。やっぱり、あんたは俺が殺すよ、」
ちとせの赤い瞳はいつもより濃く赤くひかり、
怒りがあらわになっていた。
手を伸ばし、瓦礫たちが浮かぶ。
念動力、ちとせのだ。
(思い出した、サムソン。ごめんね。サムソンが死んだのは僕のせいだね、)
――――――――――――――――――――
3年前、王位継承戦。
サムソンと、スパルタクスは舞台上で対峙した。
ちとせと、スターリン、ルイスは客席で応援していた。勿論、ミルもいる。
「サムソンのやつ、勝てる?」
「弟子が弱気になってどうする?」
「確かにね……」
そうして、お互いの刀が舞台に落とされ、試合が始まった。
今回のルールは鞘から刃を抜くのを禁止、
異能力の使用の禁止。
己の肉体と鞘から抜かない刀で勝負だ。
前半サムソンは押されていた。
お互い、肉弾戦はサムソンはちとせと一緒に修行をしていたためある程度は互角だが、刀での押し合いは少しまずかった。
サムソンか使う流派は、獣王剣・轟牙斬流派だが、対してスパルタクスは、桜花流派。
パワーが重視な、轟牙斬とスピード重視な桜花
8代流派の中で8番目の強さの物と3番目の強さのもの。サムソンは攻撃を食い止めるのだけで精一杯だ。
「これなら、師匠は勝てそう……」
そうワクワクする幼いリアム。
対して、
「何、押されてんの?」
少しイラつきを見せていたちとせ。
この時の2人はリアムが15歳、ちとせが12歳だ。
ちとせがイラつきを見せるのはサムソンはもっとできると知っていたからだ。
「……!くそっ、」
サムソンの赤い鞘の刀が吹き飛んでしまった。
「終わりだ、サムソン。」
そう言って強く刀を振り下ろす。
その時だ、
「すぅー、馬鹿野郎!」
大きく深呼吸をし、闘技場全体に響き渡る大声で叫ぶ。
「おいおい、ちとせ!」
スターリンとルイスが止めようとするが、ちとせは止まらない。
「立てよ!、負けたら俺がギタギタにするぞ!?」
「なんだ、あの人間……」
そうして、スパルタクスがよそ見をした時、
サムソンがスパルタクスの鼻を思いっきり、砕く勢いで殴った。
「……ぐっ、」
鼻血が地面にポタポタと落ちていく、
「今度は入ったろ?」
そう言って、すくざま落ちている刀を念動力で拾い上げる。
「さ、どうした?どこからでも来いよ?
燃えてきたぞ……気張っていこうぜ、」
「ふ、調子に乗りおって、、」
そう言って刀でのやり合いが始まった。
お互い鞘を付けているものの、火花が散る。
「おら!」
「こんなもん、か……よ!!」
サムソンが重い一撃を下す。
(なんだ、こいつさっきと動きが違う、
先程から私の刀をの攻撃を流している。隙が埋生まれない……)
スパルタクスは初めてサムソンと戦って、困惑した。
「ああ、あいつ遊び始めたぞ、」
「随分と愉快な動きをしているな。」
「感覚でやり始めたな。まぁ、あいつにはあれが慣れてるだろうし……」
(それに気づかせてくれたのは、ちとせか、、
子は親から学び、親は子から学ぶ。まさに子は親の鏡ってわけね。)
そう思い、ルイスはちとせを,見ていた。
そうして、サムソンは自分のペースに乗り、飲み込まれてしまったスパルタクスは刀を飛ばされてしまう。
「……!」
「へへ、どうした?そんなに、ショックか?
自分より、強い流派に勝つのは嬉しいね。」
そう言って、スパルタクスはその場に倒れ込んだ。
「私は自分で言うのもなんだが、生まれながらにしてなんでもできた。才能があったんだ。お前はどうだ?」
そう質問してきた。
「う〜ん、俺は孤児だったし才能は無かったな。
生きるために刀を学んで強くなった、そしたらこの長の候補者に選ばれるほど強くなれた!俺だけのもんじゃねぇけどな。」
そう言って照れるように頭を掻く。
「変わったな、サムソン。才能の天才と、努力の天才は努力の勝ちだな。
お前とやれて楽しかった。私の負けだ。」
そうして、スパルタクスは初めて負けを認め、サムソンが長になる、、はずだった。
その瞬間、誰かの刀がサムソンに向かって飛んできた。
それに気づいたちとせはすぐさま舞台に入り、
サムソンを押し倒した。
「痛っ、なんだ?」
「さ、ムソ、ン……」
「ん?お〜ちと、、せ………」
サムソンが顔を上げ声の方向を見てみると、ちとせの胸に何者かの刀が刺さっており、壁に思いっきり打ち付けられていた。
ちとせの胸から、口から血が噴き出ている。
会場は悲鳴に包まれた。
「なんだ、何が起きた!!」
スパルタクスは辺りを見回すと、リアムが手を伸ばしていた。
「はぁ、はぁ、違う。違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う!!俺は、悪くない!!」
リアムは尊敬している師匠が負け、思わず念動力で刺してしまった。
しかも、それは仲が良かった友達に刺さり、責任感と罪悪感に飲まれそうになっていた。
「おい、どうなってんだ、、これ……ちとせ!、
起きろよ!おい!」
サムソンが叫ぶ。
直ぐに,ルイスとスターリン、ミルが駆け寄り、医務室へ連れて行く。
「ああ、たく、どうなってんだ!」
スパルタクスもわけがわからない。
すぐさまリアムは気絶をし、寝てしまった。
そのため、この隙にすぐに医務室へ連れて行き、拘束。
「おい!治るんだろうな!?」
医師にサムソンが近寄る。
「手は尽くしましたが、、血液が圧倒的に足りません……人間のはこの街には……」
医師が下を向きそう答える、
その時、ホルスとスワルがやってきてサムソンを宥めた。
「お前のせいではない………大丈夫じゃ、冷静になれ、」
そう背中を叩く。
「………なぁ、医者。どうすればいい?血液があればいいんだろ?そうだ、指輪で過去に戻って、、」
それを聞いて、すぐさまスワルは頭を横に振る。
「生死に関わることは変えてはいけない。」
「じゃあ。どうしろってんだ……」
「オイラ、、ちとせなしじゃ、、」
「……」
ミルとスターリンは涙を流す。ルイスも、微かに涙を流していた。
だが、その時サムソンがある提案をした。
「俺の、血液ならどうだ?」
サムソンが思いがけないことを口にする。
「、、血液型、種族も違う。無理です、!」
「無理じゃない、こいつと俺は親子だ!」
そう怒鳴るが、スターリンが止める。
「無茶だ。親子とかの問題じゃねえし,第一死ぬぞ、、?」
「死んでも構わない。こいつと、俺は親子だ。絆がある。何年いると思ってんだ?,俺はバカだからな、、わかんねぇんだよ。そういうの、でも、な。
親が子に庇われて死ぬのはダメって事ぐらいはわかる!」
「でも、」
「でもじゃねぇ!お前ら今ここで1番偉いのは俺だ!」
その通りである。
サムソンはスパルタクスに勝利して今長なのだ。
「サムソン、お前の武士道精神、泣かす気か?」
スパルタクスがそう言って握手を求めてきた。
「お"ー!!サム"ゾン……まだな!……俺も数年後か数十年後かにすぐ行くからよ!!」
泣きながらスターリンが駆け寄ってきた。
他にもミルやルイス、他の人たちもサムソンに感謝をつげた。
「いいか?サムソン。まず、血を与えるには自分が死に、ワシらが5分以内に血液を抜く。それをちとせに入れる。お互い死ぬかも知れんし、お前さんの弟子が能力に振り回されるかもしれん。」
スワルが説明をしてくれたが、サムソンには不要なようだ。
「おう!問題ねぇ、それにお前らなんか勘違いしてるぞ、俺はコイツの中で生き続けるんだ、コイツと……それと、最後のわがままだが、いいか?」
そうして、サムソンは皆に何かを託し、自ら命を絶ったのだった。
「最後は皆に認められたじゃないか、、サムソン。」
「英雄ですね。サムソンは、、」
ホルスがスワルにそう言った時、スパルタクスが駆け寄ってきた。
「私もこの後、逝こうと思います。」
そう衝撃的なことを言ってきたのだ。
「なんじゃと?」
「こうなったのは、私の弟子の責任、師が何かケジメを付けなければ。」
そう言って、後日、スパルタクスも自ら逝ったのだった。
ちとせには、奇跡、親子の絆というものがあったのか、サムソンの血液のおかげで意識を取り戻した。
その時に、髪の毛先、瞳の色が血液の影響でサムソンと同じ赤色に染まった。
そして、最後にサムソンが言ったわがまま、それは記憶の消去だった。リアムやちとせ、きっとこの事がわかったら自分を責める。
だから、最後に一部の記憶を消すように、元長スワルに頼んだのだった。
そして、サムソンがいなくなった今、本当だったらスパルタクスが長だったが、その弟子仮だがリアムになった。
これが、ちとせの記憶の真相だ。
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(僕のせい、、でも、なんか吹っ切れた。
多分、あいつも俺がいつまでもウジウジしてたら怒鳴ってきそうだし)
そう思うちとせだった。
「ただ、お前は殺す。間違いでもやっちゃいけないことをした」
そう言って念動力で、鬼丸国綱を手に持つ。
「やっぱり、お前能力者か、、」
リアムは前々から考えていたらしい。
そして、ちとせは次は少しいつもと違う答えを高らかに口にする。
その言葉には、まるでちとせのようで、サムソンのような、そんな雰囲気があった。
「ああ、俺は能力者だ!」




