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第13話 自分に勝つものは真の強者である

「ん……ここ、そうだ、なんか変なとこに来て……」

 ちとせが目を覚ますと朝になっており、知らない石でできた天井が目に映る。

 どうやら、ここは誰かの家で1LDKほどの広さしかない。

「悪かったな。変なとこで」

 そう言って横に座っているのは着物を着た綺麗な茶髪の女性だった。

 タバコを吸っている。

「え、ああ……ごめん!」

「はは、良いって別に。言われてみれば、変なとこだしね。」

 彼女はそう言ってタバコの火を消す。ちとせに気を遣ってくれた。

 よーく見てみると彼女には狐の耳と、尻尾が付いていた。

 ちとせが刺された部分を見てみると傷口が綺麗に塞がっていた。

「私はここで医者をやってる。ルイス・ランゲ、よろしくな。そんで……」

 そう言って、部屋の扉の方に目をやるとそこには昨日の2人がそこに立っていた。

「いや、俺は悪くないぞ!全部,こいつだ!」

「はぁー!!俺じゃねえよ!」

「何してんの?」

 ちとせがそう言って首を傾げる。

「……王位継承、この街で街の長を決める戦いがある、相手は天下無敗、心優しく礼儀のある、スパルタクス・ダルク。そしてその戦いに出るためには弟子を最低1人はいないといけない。君はそれに利用されたと言う事だ。嫌なら帰っても勿論いい。

君は被害者だからね。」

 腕を組みルイスはそう説明してくれた。

「はぁ!?いやいや、ダメに決まってるだろ!ここの街で俺の弟子になってくれる奴居ねえんだよ!」

「お前,何したんだよ?」

 ミルが男をじっと見つめていた。

「お前らな、勝手にハイルから預かってたこの指輪の能力使ったろ?」

 そう言って、ルイスが出してきたのは男が先ほど首にかけていた指輪。

「そ、その指輪、なに?」

 ちとせが勇気を振り絞って聞いてみると、案外すんなりと答えてくれた。

「世界にはな、すごい力を持った指輪が4つ存在している。これは、その中の一つ過去に戻ることができる指輪だ。」

 そう言ってよーく見ると、指輪の外側に文字が刻まれていたが、今のちとせには読むことができなかった。

「よぉ、俺はスターリン・ベクトル。よろしくな!まぁ、俺はお前に弟子が務まるとは思わんがな!」

 虎の尻尾と耳を生やすその男がちとせが寝ていた布団の隣に座り込んだ。

 すぐさま、話題をすり替えたようだ、

「よく分かんないけど、行く宛もないし別にいいよ?何の弟子?」

「剣の弟子だ!」

「剣?」

 思わず聞き返してしまった。

 剣なんて触ったことがない、ましてやちとせは

 まだ9歳、小学3年生である。

「まぁ、そこら辺は俺が教えてやる!俺はサムソン・ヴァータ。スパルタクスに勝つ者だ!」

 狼の耳と尻尾を生やすその男は凛々しくそう宣言した。

「日浦、ちとせ……です…」

 少し緊張しているのか、声が詰まっている。

「まぁ、スパルタクスとは真反対の心も優しくねえし、礼儀もねえがな。」

 スターリンがそう補足をしてくれた。

 と言うことで、その日から剣の修行が始まった。

「違う!剣の振りが甘い!」

「こう?」

「違う!こう!」

「こう?」

「ちがう、だから……」

「あいつ、教えるの下手か?」

 ミルが修行の様子を見て、そう2人に聞いてみると、どうやらド下手らしい。

「ああ、鬼下手だ。ちとせは悪くない。」

「けど、あの振り下ろし方はどうにかならんかね……」

 スターリンがらちとせの刀の振り方に対して不満があるそうだ。

 確かに、日常生活でたまに見る力強く布団を叩いている人にしか見えない。

 それから、数ヶ月が経ち商店街に買い物をしにちとせ達は向かった。

 商店街に行くと大人数の弟子を抱えた男が出てきた。おそらく、これがスパルタクスである。

 サイの耳と、尻尾がついている。

「お!サムソン!1人の人間の弟子を取ったと聞いたが、まだ子供じゃないか、おまけに女の子か?」

 スパルタクスが笑いながら揶揄うように言っている。

 その後ろには、筋骨隆々の男の弟子が何人もいた。

 その横には一際ほかの弟子とは一風変わった雰囲気の男の子もいた。

 見た感じ、ちとせより3歳ぐらい上だろう。

「うるせぇな!弟子はな、友達と一緒で量より質なんだよ!」

 そう言い返す、サムソン。

 すると、スパルタクスがとある提案をしてきた。

「そんなに言うなら、ここで少し戦ってみるか?刀は禁止。お互い自分の力だけの真剣勝負。どうだ?」

「あ?めんどくせぇな。まぁいい、、望むところだ…」

 そう言って、2人は腰に携えていた刀をその場に置き、着ている羽織物を弟子に持たせる。

「サムソン!やってやれ!」

「無茶するなよ……」

 スターリンとルイスはサムソンを心配している。

「師匠………」

「心配するな、こんな礼儀知らずに私はやられんよ。」

 スパルタクスを心配する先ほどの男の子。

 周りにも野次馬達が集まり、いざ勝負が始まろうとしていた。

 まず、サムソンがスパルタクスにぶつかり押し合いをしている。

 だが、すぐにスパルタクスがサムソンを吹き飛ばした。風が吹き荒れる。

 どちらも大柄であり、割とせっているように見えたがすぐ吹き飛ばされてしまった。

 サムソンが商店街にある店を吹き飛ばされてしまった衝撃で何軒か潰してしまったが、そんなのお構いなしに、再度挑む。

「燃えるね……気張っていこうや!……」

 そう言って、顔を拭き立ちあがる。

「脳筋が……それではいくらやったて勝ってこないぞ!」

「うるっせ!」

 すぐさまパンチ、蹴りを入れるも簡単に流されてしまう。

「こりゃあ、またスパルタクスの勝ちかな……」

「そうだな……」

 野次馬たちがそう確信していた時、サムソンが放った拳が思わずスパルタクスの鼻をえぐった。

「……!…」

「ハハ……今のは、入ったろ?」

 だが直ぐにやり返され再度吹き飛ばされてしまう

「ここまで!やめろ!スパルタクス、サムソン!」

 黒い刀を持った馬の耳と尻尾を生やす男がそう止めに入った。

「元気なのはいい事じゃがな……」

 リスの見た目をした年取った老人が後ろから出てきた。

 どうやら、今のこの街の長らしい。

 すぐさま、野次馬は去り、スパルタクスも去るため刀などを懐に戻す。

「サムソン、お前は師に向いていない…」

「ほんとに、うるせぇよ……」

 そう言って、皆この場を後にした。


 ―――――――――――――――――――


「ったく!また負けた!」

「仕方ねえだろ、あんなん勝てるか」

 そう言って家でイライラしているサムソン。

 それを見てルイスとスターリンは、いつもの事のようにあしらう。

「お前案外強いな!」

 ちとせが少し興奮したように口を開く。

「……」

「ふ、だとよ!サムソン!良かったな、弟子にいいとこ見せれたんじゃないか?」

「うるせぇ、」

「うそだろ、あいつが少し照れてやがる……」

 そう驚くスターリン。

「明日、教えてくれよ!その剣とか、パンチとかそんなの……ダメか?」

「オイラも付き合うぞ!」

 ミルもやる気満々のようだ。

 今まで、サムソンは1人で生きてきていた。

 仲間もスターリンとルイスしかいない。

 誰からも認めてもらえなかった。

 唯一認めてくれた人がいるとすれば、今の長である、リスの獣人だけ。

 そんな時、唯一の弟子であるちとせから輝くような目でこちらを見ている。

 期待に応えたい、そう思った。

「おう!なら、付いてこい!明日から特訓スタートだ!」

「元気いいこったねぇ。」

 そうして、翌日2人の修行が始まった。





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