表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/89

第11話 敵を許しなさい。相手にとってそれが一番不愉快なことだから

 書斎の中は静寂に包まれた。

 転移者。そう告げられマリーは呆然としていた、

 この世界に転生、転移してきた者は珍しくない。

 だが、今このタイミングで転移してきたりはあまり無いのだ。

 それは、第二次厄災戦争でその元凶となる邪神アザトースを撃破したため、それ以降転移者というのはかなり数が減った。

 それに、転移者ということは過去の人が今のこの未来に来たタイムスリップということになる。

「えっと、転移してきた経緯を聞いても?」

 思わず質問を飛ばしてしまった。

「いいけど、長いよ?」

「ああ、あれは結構大変だったな。」

 そう思いでに浸るミル。

 と、話そうとしたその時ドアが勢いよく開いた。

 そこに居たのはルナだった。

「ちとせ!買い物に行くぞ〜!」

「買い物?」

 どうやら、ルナはもう直ぐアーロンの誕生日ということでアーロンに内緒で買い物に行きたいらしい。

「また帰ったら話を聞かせてくれよ。」

 マリーはそう言いお嬢様の護衛としてちとせとミルを行かせたのだった。


 ――街につき――


「で、プレゼントって、何を?」

「フフフ、アーロンはな最近お気に入りのサングラスが壊れてきてしまったそうで、しょげている。そこで、新しいのが欲しいらしい。だから、買ってあげるのじゃ!」

 腕を組み誇らしげにそう言うルナ

「へぇー、サングラスかけるんですね。」

 ということで、手頃な店に行き、アーロンの気に入りそうなサングラスを探す。

「どれがいいのか分からないな、」

 そう言って店内を見て回っていると、ルナが誰かにぶつかった。

「うわ!」

「ルナ!すみません。」

 ちとせが慌てて謝る。

「こちらこそ、すみません。不注意でしたね。」

 そう言って謝るその男。

 やけにハンサムで短髪な男性。

 黒いジャケットを羽織るその男、やけにラフな格好をしている。

 だが、この男は過去に烏の仮面を付け、ちとせとルナの目の前に現れた男だった。

 仮面を外しており、素顔を見ていないため2人は気づいていない。

 もちろんミルもだ。

「……にしても、女の子2人でサングラスですか?」

「いえ、友人にあげる物を探して……」

 ちとせがそう言うと、男性はある提案をしてきた。

「それなら、私も探すの手伝いましょうか?

 多少知っている人がいた方がいいと思いますし…」

「どうする?ルナお嬢様。」

 ちとせがそう聞いてみると、ルナは少し悩んだが

 アーロンにはお世話になっているしちゃんと選びたい。

 そう思い、手伝ってもらうことにした。

「じゃあ、頼む。」

「分かりました。にしても、セレスタリアの王女様候補の子ですよね。今じゃ新聞はそればっか、

 申し遅れました。私はネビュラ・スコットです。

 1人なんですか、護衛は?」

「ええ、あまり大人数だとかえって目立つので……」

 ちとせがそう答えると、ネビュラは何か意味があるように目を逸らし頷いた。

「……なるほど………じゃあ、まぁ探しましょうか」

 そうして、3人でアーロンに似合うサングラスを探し始めた。

 夕方ごろ

「いいサングラスが手に入ってよかったですね。」

「はい、ありがとうございます。」

「まったく、オイラも疲れたぞ。」

「ミルは何にもしてないぞ」

 そうして、城に帰ろうとした時、

 ネビュラが焦ったように城の方を指さす

「………!ちとせさん、ルナさん!あそこ!!」

 そうして、指差した方を見てみると

 城周辺の森が燃えており、城にも一部引火していた。

「うそ……」

 ちとせはびっくりして声が出なかった

「アーロン!マリー!」

 そう叫びルナが城の方へ走る。その後ろにちとせとネビュラが急ぐ。

 城に着くと火が城の半分を覆っている。

「ちとせさん、今街の消防を呼びました。もう直ぐ来ると思います。」 

 ネビュラがそう言ってくれた。

「アーロン!!」

 ルナがそう叫ぶと、城の中から召使たちが出てきて後ろから、マリー、アーロンが出てきた。

 ハリーとシャーロットもそれに続いて出てきた。

「お嬢様……全員無事です……ゴホ」

 アーロンは少し顔に火傷を覆っているが無事そうで、他の人達も無事のようだ。

 その後、消防によって火はすぐに消化された

「でも、誰が……」

 ハリーがそう言った途端、グリットハッタにいた

 梟の仮面の男と、鷹の仮面の男が空から勢いよくやってきた。

「やぁ、物語は急展開?ってとこか?」

 2人は仮面を取り素顔をあらわにした。

 梟の男は白い髪に緑の瞳、白いスーツを着ている

 鷹の男は黒い髪に紫色の瞳、黒いスーツを着ていた。

「………お前らか?」

 ちとせが前に出て2人にそう言った。

「?何のことですか?火をつけたのは私たちではありませんよ。」

 鷹の男が白々しくそう言うと、

 ちとせは刀を持ち梟の男に攻撃を仕掛けた、だが

 梟の男は片手でそれを止める、

「……いいよ、暇だしさ遊んでやるよ?」

 そう言って蹴りでちとせを吹き飛ばす、

 アーロンは負傷ながらも鷹の男の方へ自分の剣を持って挑む

「貴方は私が倒します。」

「それは、いいですね。ですが、それは無理です。

 私……運、いいんですよ。」

 アーロンが近づいた瞬間噴水の水がいきなりアーロンに降り注ぐ。

「修理した方がいいですよ。来た時から壊れてました。」

 そう言いながらアーロンの顔を思いっきり殴り飛ばす。

「どうしました?威勢の方は?」

 2人とも手も足も出なかった。

 梟が倒れたちとせにいつのまにか持っていたナイフを刺そうとしている。

「やめろ!」

 ルナが叫ぶが梟は聞く耳を持たなかった。

 だが、その時銃声が響いた。

 見ると梟に銃を撃つネビュラの姿があった。

「お前、そういう感じね。」

「そこまでだ、私は警察だ。」

 銃弾を指で止める梟。

 すぐさまネビュラを殴ろうと近づくが反対に殴られてしまう。

「お前……」

「なんだよ…?……」

 ネビュラは少し微笑み、顔とお腹を殴りまくる。

 梟を吹き飛ばし、すぐさま、ネビュラがちとせを立たせ、マリーはアーロンを立たせた。

 その時、マリーが言った。

「ハリー、シャーロット、もういい正体を明かせ」

 そう言った途端、2人はきょとんとしたが、すぐに状況を理解した、

「いつから、気づいてた?」

「電車に乗った時、そして、3日目の時確信になったよ。」

 そう2人を睨みつけ、言った。

 自分の研究に手伝ってくれた仲間を疑いたくなかったが、どうしても引っ掛かっていたのだ。

 信じたくないし、外れて欲しい答えだった。

「だとすれば、私はお前らに能力を上げてしまった。お前らはそれが狙いだったんだろ。」

 そう言うと、シャーロットが笑顔で答える

「ありがとう、マリーさん。この能力で私達は

 今最高の気分だよ!」

 満面の笑みを浮かべるシャーロット。庭が地割れを起こし亀裂が入る。

「そうだ、ちとせ。お前の事は調べ尽くしてあることに気づいた。お前、転移者だろ?俺たちもだ。

 そんで、お前の亡くなった兄、あれ殺したの俺だった。ごめんな、ちとせ。」

 ハリーが世間話をするように軽く告発をする。

 自分を守って死んだ、兄。その兄も警察だった。

 事故として、処理された兄の死亡。

 真実を知りちとせの顔色が悪くなる。

 犯人はずっとここに来た時からいた仲間だと思っていた奴だった。

「その顔傑作だな!」

「まったく、ハリーは相変わらず悪趣味だな。」

「まったくです。」

 笑う梟と鷹。

「……す、殺してやるよ……」

 そう言って、鬼丸国綱の鞘を抜くちとせ、

 白く綺麗に輝く刀身がハリーを映していた。

「………ちとせ……そうこなくちゃ。過去のトラウマから逃げるなよ……全部思い出せ、そんで苦しめ。こっちは全部調べ尽くしてるんだから……」

 ハリーは不敵に笑い、戦いが始まる……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ