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第10話 ブルータス、お前もか。

「あ〜ごめん、ごめんついちょっと調べ物をね……」 

 頭を掻きながら、淡々と話すマリー

 どうやら、お嬢様たち歴代の候補者達の死因を調べていたらしい。

 それが原因で、城の中は資料が散乱し足場がなくなっていたのだ。

「それ、片してくださいよ……」

 シャーロットが珍しく少し焦ったようにそう言った。

 5人はここ三日間のこともあり疲れたため自室ですぐさま寝てしまった。


 ――――――――――――――――――――


「なんだ……?ここ、、椿?」

 ちとせは白い花畑で目を覚ました。

 先程までつかれ疲れ果てベッドにダイブ。

 そしてすぐさま流れるように寝てしまったのに、

 何故かお花畑にいる。

 と、その時、遠くから聞こえる声がこちらを呼んでいる。

「おーい、聞こえてるだろ?日浦ちとせ。」

 そう自分の名前を呼ぶひとりの少女。

 よーくあたりを見てみると、奥の方に一つのテーブルと二つの椅子がある。一つの椅子には誰か座っていた。

 赤い着物を着ていて、神秘的で綺麗な白い髪、そして、ちとせに似ている赤い瞳をもつ少女。

「ささ、そちらに座りたまえよ。」

 そうして、言われた通り遠慮なく少女の前に座るちとせ。

「君、名前は?」

 ちとせがそう聞くと、何故か名前を言うだけなのに頭を掻きながら悩みこむ少女。

「ん〜、そうじゃな……ひなの…とかでいいぞ、」

 そう少し焦り早口になりながらそう言う少女。

 うさんくさい。

「ひなのさん?えっとここは、どこなんですか?」

 そう聞いてみると、その質問を待ってただばかりに食いつきあからさまに声が高くなるひなの。

「ふむふむ!!やはり!皆それを聞きたがるよな!何年か前にきた男も最初はそうじゃった!ここは、夢と現実の狭間で、ここに呼び出したのはお主に見所があり、助言をするためじゃ!」

 ちとせに指を差しそう高らかに宣言するひなの。

 その様子はなぜか自信に満ち溢れていた。

 正直、ちとせは占いや霊などをあんまり信じていない。

「えっと、それはどんな?」

 ちとせがそう聞くと、ゴホンっと改めて答える。

「お主がいるセレスタリア城………裏切り者がいるなぁ、、そいつに対してお前は殺意を抱くほど其奴を恨む。」

 意味がわからない。

 ちとせは、そう思った。

 ある程度、セレスタリア城に住む人達は信用している。

 昔からちとせは、いろんな人を失っていった。

 その中でも1番大きいのは、両親。そして、兄妹だった。

 ちとせは、4人兄弟の中の1番下で、上には長男、次男、長女、そして、ちとせがいる。

 長女と、次男は旅客機の墜落事故で亡くなり、

 長男は警官でちとせを庇い交通事故で亡くなった。

 一時期人間不信に陥ったちとせ。

 だが、いろんな人に出会い今、ある程度克服できている。

 そんな中セレスタリア城の人たちの中に裏切り者がいる。

 そんな事をいきなり聞かされてもちとせは、信じられない。

「はいはい。分かった分かった。それは、大変だな〜」

 軽くあしらうちとせ。

 その態度を見てから少しキレるひなの。

机を台パンしている。

「信じてないな!!本当なんじゃ!そこで、助言をわしはしにきたんじゃ!!」

 子供が駄々をこねるように大きな声でそう弁解しようとしている。

 その様子を見てか、ちとせは渋々話を聞くことにした。

「わかったよ。で?なに助言って……」

「明日、マリーにこの今の世界の状況を聞け!そして、あの散乱していた資料達、裏切り者についてもだ。

 まぁ、お前……今の、この世界の人間じゃないだろうしな。」

 核心をつくかのように、ちとせを見つめる。

 それを聞いて少しゾッといや、動揺するちとせ。

 その事は、ちとせにとって親である、あの人達しか知らないはず、

「なんで……それ……」

「あ!残念、時間でした!!じゃあ、さっき言ったこと守るのじゃぞ!じゃないと、先に動くのはあいつらになってしまう。」

 すぐさま、誤魔化しこの場から逃げようとするひなの。

「あ!まて!」

 捕まえようとちとせが手を伸ばすが、触れようとした瞬間、ひなのの腕が透き通ってしまい掴むことができなかった。


 ―――――――――――――――――――


 そうして、目を覚ますちとせ。

 夢、でも、内容はしっかりと覚えている。

 そして、先ほどひなのの腕を掴もうとした、その右手の中には白い花畑にあった、白い椿の花びらが手の中に包まれていた。

 目を覚ました途端、走ってちとせはすぐさま書斎に行きマリーに会いに行った。

 汗を垂らしながら勢いよく扉を開けるちとせ。

「マリーさん!」

「なんだ?朝っぱらから、そんな格好で騒がしい奴だな」

 ある程度城の中で散らばっていた書類達は片付いたようだが、書斎はまだ物が散乱しているため頑張ってまだ片付けをしている最中だった。ちとせは、寝巻きのまま走ってきてしまった。

「あの、裏切り者、って、はぁ、いますか?」

 深呼吸しながらマリーにそう聞いた。

「裏切り者……誰から聞いた?」

「夢で、なんか教えられました。」

 そう言った途端、マリーが腹を抱えて笑った。

「夢……ぷ、ハハハ、夢か〜なんだ!」

「笑うなよ!」

 少し顔を赤らめ恥ずかしがっている。

「ごめん、ごめん。裏切り者ね。実は私も少し怪しいと思っているんだ。いる可能性は高いだろうね。」

 顎に手を当て考えている。

 どうやら、マリーも裏切り者の線を考えていたそうだ。

「それって、どういう事だよ?」

 ちとせの肩に捕まってミルが話を聞いていたようで急に現れた。

「話してやるよ。最初に怪しかったのはあの黒い仮面の老人だ。電車で襲われたろ?」

 マリーがちとせの目を見つめる。

 電車で移動中にエマお嬢様と一緒に襲われた。

「ちとせと、ルナその2人になった時、襲われたけど、それは偶然かもしれない。だが、3日目の観光中仮面を被った3人にまた襲われたろ?しかも、また仮面を被っている奴に。さらに、また2人の時、」

「確かに、あの時は危なかったな。」

「あれは、普通に戦っても多分勝てないね。

 あのワイアットさんが来てなかったら危なかった。」

 そう過去のことについて語るミルとちとせ。

 武勇伝のように誇らしく他人事のように、

語っているが案外重要な事である。

「その時で、確信に変わった。仮面の奴らはこちらが別れちとせと、ルナになった瞬間、襲いにきている。勿論、ワイアットがいた事は想定外だったはずだがね。ということで、相手はこちらの行方について知っている奴。裏切り者がおりそれを操作している人物は………」

 そう聞いて目を見開くちとせ。

「そうくるか、でも……」

 ちとせが殺したいほど憎む相手。

 あいつらがそういう相手とは思えなかった。

「信じたくないのは分かるが、この世界で君がつけているその指輪が原因だろう。ついでにお嬢様の命。そんな感じだろう。」

 そう言われて、ちとせとミルはきょとんとしている、

「ん?指輪……これって、そんなすごいものなんですか?」

 首に掛けている指輪を握り、そう聞き返すと、マリーが驚き思わず手を止め立ち上がってしまった。

「おいおい、知らないのか!研究者の中だったら、知らないものはいないし、それ以外の人でも、ほぼ知っているだろう。ミルも知らないのか!?」

「いや、知らねえよ、それにオイラ達。なあ?」

「うん。僕たち、この世界の住人じゃないし、」

 そう言いきょとんとするマリー。

「転移者だから、、」

「え、ま、マジ?」

「「マジ」」

 そうして、沈黙する2人と一匹。

 書斎の部屋は静寂に包まれたのだった、。

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