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第1話 すべてが失われようとも、まだ未来が残っている。

新たに始めた連載。

前の停止している作品たちもこれが終わったらいつか書きたいなと思っています。

 

 ――英雄とは自分のできることをする人だ。――

 フランスの小説家 ロマン・ロラン


 異世界とは文字通り今生きている世界とは異なる世界のこと。

 2345年地球、かつて異能力という不思議な力が中心として成り立っていた惑星。

 だが、20年前。異能力が出現するさらに前に存在していた科学というのが発見され300年存在していた異能力の存在が衰退しつつあった。

 世界の常識であり、叡智である"科学"と摩訶不思議な力であり強力な"異能力"その二つの物が混沌としている世界がこの物語の異世界である。


 散らかっている狭いオフィスの一室。どうやら、個人事務所のようだ。

 その中にある小汚いソファーで寝ていた1人の少女がいた。窓から差し込む日の光で目を覚ます少女。

 日浦ちとせ、15歳だ。

「ん?はぁー……眠い。今何時だ?」

 そう思い、近くにあった時計を見て目を丸くした。

「げ!もうこんな時間!?遅刻じゃん!!」

 そうして、直ぐに鏡に行き顔を洗い家を出る準備をする。

 ちとせの瞳は特徴的な少しピンクが入っている赤い瞳をしており、黒髪ショートだが、毛先も少し赤くなっている。

「はぁー……おいおい、また遅刻か?オイラ起こしたのに……」

「そう言ってミルも寝てたでしょ……」

 呆れたようにそう呟く。

 ミルは白く小さい羽が生え、尻尾が2本に分かれている言葉も喋れる子猫だ。

 ちとせが昔、面白がって拾ってきており今では信頼できる?友達だ。

 いつもちとせが着ているパーカーのフードの中がお気に入りなようで、いつもそこにいる。

「また、ノアに怒られる……取り敢えずL○NEで連絡だけして言い訳考えとこ……」

 そう思い、急いで目的地に向かうちとせであった。


 ――――――――――――――――――――


 日本の元首都である東京だが今は国や都市なども総代わり、あちらこちらに王国が栄えている。

 ここは、今はなき東京に位置するエメラルダ王国

 総人口1000万人で、10万平方キロメートルの王国。

 人が多く行き交う中、シルバーの髪色に黒い革ジャンを着ている高身長の男が立っていた。

 目立つため、方向音痴なちとせでも直ぐに見つけることができた。

「あ、あの〜………お待たせ…」

 恐る恐る話しかけてみると、男はゴミを見るような目でちとせをそこ緑色の瞳で睨んでいた。

「今何時だ?」

「すぅ〜……14時です。」

 150センチが180センチに詰め寄られている。

 周りから見ればまるで高校生に喧嘩を売られ、シメられる、新中学一年生ぐらいに見える。

「集合何時だっけ?」

「12?」

「11な…お前、ここもミスるなんて元々遅れる予定だったじゃねえか……」

 ちとせの頬をつねりながらそう文句を言うこの男。

 ノア・ウィリアムズ。銀髪に緑の瞳が特徴で、180センチ18歳、ノアは数年前からちとせと友達で、

 ちとせの持っている個人事務所は車の整備工場であり、よく2人で車の点検や修理などもしている。

 事務所はノアの姉から借りており、もちろん家賃は払っていない。

 仕事のパートナー的存在だ。

「でも!L○NEは、送ったよ!!」

「ああ、送られてきたなあの言い訳、なんだあの言い訳!カツアゲされて遅れますって、それに今週4回遅刻して3回とも同じ言い訳残り一回はカツアゲされてボコボコにしたので遅れますってバカか!」

 ノアが怒りながらそうちとせを問い詰める。

「ごめんって!」

 慌てて謝まるちとせ、多分反省はしていない。

「そんで、今日の依頼はなに?」

 ちとせがすぐさま話を変え、ノアに聞いてみる。

 依頼というのは、ちとせたちは表は車のエンジニアとして仕事をしているがそれだけでは食っていけない。

 そのため、裏では"依頼"というのを請け合いそれでお金を得ている。

 依頼の内容は人それぞれで、いじめっ子をどうにかしてくださいだったり、猫を探してくださいだったり、国家転覆して下さいだったり、できるわけないじゃんそんなんなものまである。

「今日の依頼は食い逃げ犯の確保だ、」

 そう聞いた途端、呆れたようにちとせが言う

「はぁ、またそんなの?もうちょっとちゃんとしたの欲しいよ……依頼料も安いでしょ?いっそのことギルドとか行ってみたら?」

「そうだぞ!オイラもそんなのもう飽きたぞ…」

 ミルまで、フードから顔を出してノアに文句を言っている

「お前らな……ギルド?そんなのここ最近警察とかがさらに普及しだして仕事はそっちにいってる。わざわざギルドに来ないし、そのせいで冒険者も減ってるんだろ?平和になりすぎたんだよ…」

「仕方ないな、じゃ、さっさと行くよ」

「あいつら、いつか絶対しばく。」

 そんなこんなで依頼に向かう2人と一匹だった。


 ――――夕方――――


「いやー、まさか犯人は店長の息子だったなんて、びっくりだね。」

「だな。」

 そう2人が歩きながら話している。

 時刻はもう18時ごろですでに日が沈んできている。

 そんな時、ノアの携帯が鳴った

「ん?電話か、ちょっとごめん。」

 そう言って電話に出てみるとなにやら、揉め事?のような喋り声が聞こえる。

「……わかりましたよ。」

 そう諦めたように電話を切るノア、ちとせが疑問に思い問い詰めてみた。

「何かあったの?話せないこと?」

「……フレイム・コア関連だ。今からちょっと、行かないといけなくてな。」

 顔を暗くしてそう言うノア

「フレイム・コア?もう切ったんじゃないの?」

「まぁなでも、今回で最後にするよ」

 フレイム・コアとは、今の現代には珍しい全員能力者で構成されている裏の組織であり、ノアは元々ここの出身だが、随分前に組織を辞めちとせと依頼業をやっていたものの、たまにフレイム・コア達からも依頼があり、縁は完全には切れていなかった。もちろん内容はほぼ全部犯罪である。

 エメラルダ王国では、有名な組織、噂では王国としても裏で繋がっているんじゃないか……そう言う話もあるが実際のところは、よくわからない。

「はぁー、仕方ないな。僕も行くよ。で、依頼は?」

 ちとせがそう言うと、ノアがびっくりしたように言う

「はぁ?いやいや、いいよ。危ないし……」

「でも、依頼料は稼げるんでしょ?それに、今回でラストなら別にいいよ。」

「仕方ねえな。オイラも付き合ってやるか……

 依頼はなんなんだよ」

 そう言って先ほどとは反対にノアをちとせとミルが睨み、詰め寄っている。

「分かったよ……依頼内容は車の窃盗。ヘネシーヴェノムGT、最高速度435キロの車。」

「知ってる!ニュースでやってたやつ。

 それに、エンジニアだし、分かるよ。それを盗むの?」

「ああ、報酬はもちろん出る。」

 ノアは乗り気ではない、ちとせまで着いてくるとなると尚更だ。もしかしたら過去の二の舞になるかもしれない。そう思い、ノアの記憶の中にいる1人の男が頭に浮かんだ。

 だが、これでフレイム・コアと縁を切れるのであれば、そう思い渋々依頼を受け向かうのだった。


 ――――――――――――――――――――


「あそこ?」

 大きな工場の目の前、草むらに隠れつつ様子を伺う2人

「ああ、おそらくあそこの左側の建物にお目当ての車があるはずだ。」

 レバインファクトリー。主に今の時代の車や科学、武器などを主に製造、研究したりする工場であり今最も世界に注目されている工場の一つ。

 かなりの大きさで3つの棟に分かれている。

 北の棟には主に武器が生産されている。

 西の棟、車の製造がメイン。

 東の棟、主に科学が研究されており、ここで研究し得たものなどを車や武器に活かしている。 

「いいか、絶対に何か変なもん触るなよ……」

 ちとせにそう警告する

「触るわけないよ、ハハハ……」

 え?そんなことしたことないですよ?みたいた感じで言うちとせ。

 以前にも何回かちとせが変なものを触り依頼を台無しにしたことが何度かあったのだ。

「俺たちは西の棟に行くぞ。そのためにはこの柵を飛び越えないとな。」

 そう言うノアたちの目の前にあるのは高く建てられている網状の柵。

 正面から入るのはリスキーなのでこの柵を飛び越えないといけない。

「じゃあ、お馴染みのあれだね。」

 ちとせがそう言うとポケットから出した全然つかないライターをノアに近づけ影を作った。

 「ほっ、あれ?………よし、付いた」

 シルバーのジッポーのライタを頑張って付けノアを照らす。

 それで出来た影がちとせ、その次にノアというように順番に柵の上を跨いで手を引っ張るようにして影が入れてくれた。

「やっぱり便利だね。影遊走。」

「まぁな、案外この仕事にはもってこいの能力だな。」

 影遊走は、能力者の影があるとこなら、自在に動かすことができ、物を掴んだり、投げたり素早く動いたらと言った事ができる。

影は大きくなったりする為腕なども伸ばすことができる。

「僕は無能力者だから、少し羨ましいよ」

「今の世の中、無能力者がほとんどだ。気にすることじゃないだろ。さっさと行くぞ」

 今のこの時代、科学が発達して異能力が使われなくなってきた。

 より便利になってきたからだ。

 今までは火を使いたければ火の能力者、

 水を使いたければ水の能力者、遠くに移動したければ転移魔法。特定の能力を持った人たちしか使えなかったが、今は火を水を使いたければコンロや水道といった電気を使えばいい。遠くに移動したければ車があり、船、飛行機がある。

 科学が発展すれば皆平等で人1人としては弱くなるが人類全体としては賢く強くなる。

 だが、どちらが正解かを求めるのはまだ早いのかもしれない。

 そんなこんなで2人は西の棟を目指して歩いて行った。

「施設に入るぞ……」

 そう言ってあらかじめ裏のルートで取っておいたカードキーを扉の横にタッチすると大きな扉が開き中に入った。

「うわ、すっご」

 中に入りびっくりするちとせ。

 中にはスポーツカーや、少し前に廃盤になった車、過去に能力が現れる前の世界で走っていた車や製造中の新たな車など世界に注目されている理由がわかるほどに車好きにはたまらないものが数多くある。

「ねえねえ、あれって少し前のパトカーじゃない?今の現代だとポンコツだけどね。」

 そう指さす先にあったのはアメリカのパトカーで能力が出現する前の時代のものだった。

 だが、色は黒と白ではなく、赤と白がベースで所々に銀の装飾がされている。

「ああ、そうみたいだな。でも、色が塗られてるのか?塗装が細かいな……素人の腕じゃできない」

 2人は仮にも車のエンジニアだけあってそういうのはわかるみたいだ。

 周りには至る所に車が置かれている。

 だが、横を向いてみると一際他の壁とは少し違う剛鉄でできたような殺風景な壁がある。

 ちとせがそれを見ていると、ノアの声がした。

「これじゃないか?」

 ノアの方に行ってみるとお目当ての車、ヴェノムGTがあった。

「かっちょいい!」

「かっけえのな!」

 目を輝かせてちとせが言うとミルも同様に目を輝かせて見ていた。

「はいはい、お前ら……じゃあ、さっさと鍵どっかから拝借してここから去るぞ、」

 そう言った時扉がいきなり開き、2人の武装した人が入ってきた。

「うっそ!」

 驚きながらもすぐさまお目当ての車の影に隠れる2人。

「なにあれ?」

 ちとせが質問するとノアが考え込む。

(おかしい、なんで警備の兵士がここにいるんだ?この時間は大丈夫なはず、、、まさか…)

 ノアは嫌なことを考えた。

 そして、その予感は的中しておりノアはちとせを巻き込んだ事に罪悪感を抱え込みつつある。

「おい、そっちはどうだ?」

「見当たらない。ほんとにここにいるのか?」

 2人の兵士が喋っている。

 よーく見てみると2人ともマスクをつけており、

 おそらく最近製造された人の熱を感知するサーモグラフィーだろう。

 サーモグラフィーなどの科学を使った道具も元を辿ればスキルの熱感知と同じ要領。

 今の科学で大まかな能力は再現できてしまう。

 そして、誰でもその能力が使える異能力が廃れるわけだ。

「おい、あそこにある鍵、車のやつじゃないか?」

 ミルがフードから顔を出してそう言ってきた。

 2人の兵士の腰あたりを見てみると何個か鍵がそれぞれついていた。

「ほんとだ!じゃあ、僕が……」

 ちとせがそう言おうとした時、ノアがそれを遮りいつもとは違う面持ちで話し始めた。

「ちとせ。俺が行く。今はとにかくここから逃げるぞ。俺が適当にあいつらの鍵を奪ってお前に渡す。なんでもいいからその車に乗って逃げるぞ。」

「……わ…了解……」

(サーモグラフィー搭載のマスク……いずれ場所がバレる………なら、今のうち奇襲をして……)

 そうして、ノアは2人の兵士に向かって走った。

「いたぞ!撃て!!!」

 そう言って2人の兵士が銃を構えノアに発砲した。

「でろ!影!」

 そう言った途端、ノアの影が目の前に現れ銃弾から身を守る為影が手を大きくしノアの前に盾として現れた。銃弾が全て弾かれる。

「なんだ!こいつ!」

「能力者だ!気をつけろ!!」

 1人を影で吹き飛ばし、もう片方のやつから鍵を奪おうとするが、右手をノアは撃たれてしまった。

 慌ててもう1人を吹き飛ばし、鍵を一個奪うことに成功する。

「一個だけか……ちとせ!!」

 すぐさまちとせの方へ鍵を投げる

「よっと!えっと……げ、よりによってポンコツかよ!……」

 慌ててキャッチし鍵を確認してみると先ほどポンコツとバカにしたパトカーの鍵だった。

「ちとせ!あそこだ、」

 ミルが場所を教えすぐさま乗り込む。

「えっと、よし掛かった!……ん?」

「くそ、、」

 慌ててちとせの方へ向かうノア。

 その時、〈侵入者発見、〉という声が警報音と共に聞こえてくる。

 そのせいで、他にも数人の兵士が応援でやって来てしまった。

「ノア!!」

 撃たれつつも、影でなんとかガードし、すぐに車に乗り込む。

「お前……それ、」

 助手席に乗ってみるとちとせの首元に指輪のネックレスが掛かっていた。

「あったから、つい?」

「早く出せ!」

「了解!」

 そうしてすぐさま走り出し出ようとした時だった。

「くっそ、!」

 そう言って1人の兵士がなにやらボタンを押し、

 ドーーンという、轟音が響き渡った。

 先ほどちとせが見ていた他の壁とは違う殺風景な壁が突然開きだし、中には緑色の渦のようなものが見える。

 だが、それはブラックホールのような物で開いた瞬間周りにあった車なども吸い込まれていった。

 兵士たちもどこかに捕まり、吸い込まれないようにしている。

 そして、ちとせとノアが乗っている車も少しずつ浮いてきており、今でも吸い込まれそうだ。

「まずい、降りろ!」

 そう慌ててノアが車から降り、ちとせの手を掴んでいる。

 車は吸い込まれてしまい、必死にちとせを掴むノア。

 ノアは影で辺りにある適当なものに捕まっていた。

「ノア……」

「ちとせ、オイラもう限界だ、うわ!」

 そう言ってミルが吸い込まれてしまった。

「ミル!」

 そうミルを心配しているが、ちとせ自身も手が滑りノアを離してしまう。

 急いでノアは先ほどのちとせのネックレス掴み堪える。

 だが、何発も銃で撃たれ今も近くの兵士が銃をノアに向けている。

「くそ、離さないぞ……」

「ノア!」

「妹のように……思っていた…だから!」

 ノアがそう言った時、ちとせには過去の事が脳裏に浮かんだ。

「この出来損ないが!!俺はお前の親だぞ!!」

 そう怒鳴ってくる男、

「こいつは……俺の子……だ!」

 自分を守ってくれた、信じてくれた男、

 それぞれ別の人で、一つはトラウマだが、もう一つは支え。

 そんな昔の情景がなぜか今浮かんできたのだ。

「発砲!!」

 銃声が響き、慌てて意識を今に戻すちとせ。

 兵士がそう言ってノアを撃っていた。

 ノアは防御スキルがあるが、それでももうちとせはノアが傷つくのを見たくなかった。

「ごめん……」

 ちとせが指輪のネックレスに捕まるノアの手を弾き、吸い込まれていってしまった………

「ちとせ!」

 扉が閉まっていき、ちとせの目の前にはノアが大人数の兵士に取り囲まれる瞬間が最後に映っていた………


 その様子を倉庫内で見届け、涙を堪える1人の少女が工場の隅の方に潜んでいた。


 ――――――――――――――――――――


「ん?ここ、どこ……」

 目を覚ますとちとせは、広い綺麗な部屋のベットの上で目を覚ました。

「お目覚めですか?どうです……コーヒーでもいかがですか?」

 横に立っている高身長なバトラーのような人がニコっと笑いちとせを出迎える………



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