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石見と天宮  作者: 柴咲心桜


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7/11

転校生

「皆さん、着席してください。今日からこのクラスに新しい仲間が加わることになりました」担任の紹介に従い教室に入る私。


「はじめまして。今日からこのクラスに配属されました。宮内仁美です。よろしくお願いします」彼女はある生徒を見て礼をしてから案内された席に座る。


なんで、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで!なんであの子がこの学校に転校してきたの!?私のことは受け入れられないんじゃなかったの!?


なぜ宮内が自分の通う学校に転校してきたのか。石見は知恵を巡らせる。


私が高校に入学する前の3月下旬頃に遡る。


『まいっち、用ってなに?』私はこの日仁美とカラオケに来ていた。私と彼女、宮内仁美は親友だった。遊びに行きたいと誘えば一緒に来てくれたし、勉強も分からないところがあれば教えてくれた。私はこの時、ある結論に至った。仁美が本当は私のことが好きなのではないかと。


『ちょっと待ってね。心の準備するから』私は恐れていた。この気持ちが成就しないことは分かりきっている。分かっているから。分かっているからこそ、自分の感情に嘘をつくことが私には出来なかった。


トッートッートッ。


心臓の鼓動が聞こえる。


『あのね、私はー』トッートッートッ。


大事なこと。私の伝えたい秘めた思いを伝えようとするほど心臓の鼓動が激しくなり邪魔をしてくる。


『大丈夫?まいっち』心配そうに私を見る仁美。


『大丈夫だよ』そう伝えて深呼吸して、落ち着く。


トッートッートッ。


今でも私の心臓の鼓動はうるさい。でもそんなことを気にしていては伝えたい思いを言葉にすることは出来ない。そう思い私は覚悟を決める。


『私はッ、仁美のことがーー』この時の私は心臓が破裂しそうだった。でも伝えたいとも思った。例え伝えて心臓が破裂したとしてもこの思いだけはみこに伝えたかった。


『ーー好きなの』恥ずかしい気持ちもあったため大きな声では言えなかったが確実にその言葉はみこに届いているだろう。


『ありがとう。嬉しいよ、まいっち。でも、今はその気持ちに答えることが出来ないの。ごめんね』分かりきっていた答えだ。傷ついたりはしない。


『大丈夫だよ』仁美にそう伝えた私は先に帰路に着いた。今日は一緒に帰りづらかったから。


失恋のショックもあり発散しようとアニメイトに来た私は1時間程、本を見たりして歩き回った。だが時が経つにつれ知らない感情が自分の中にあることを認知する。


目から涙が零れてきたのだ。


振られると分かっていた告白だったのに、失恋したことは想像以上にダメージがあったらしい。


『うッ!うッ!』告白してからしばらくして私は泣き始めた。


1人になりたかったためもう一度、カラオケボックスに戻った私。混んでいたため同じ部屋の鍵を渡されて入ってみるとそこに仁美の姿はなかった。


泣き歌い始めてから50分が経過した頃。終了10分前の連絡が部屋の電話に来た。


カラオケボックスを出ると外は大雨になっていた。


『雨降ってる!傘持ってくればよかった』そう思っていると、女性に声をかけられる。


『君、大丈夫?』


『帰るところなんですけど傘を忘れてしまって』


『なら、この傘使いなよ!私はもう1本あるからさ!』そう言っていたため歩き始めるが少女は一向に傘を差す気配がない。


『良ければ一緒に帰りませんか?』私たちは相合傘をして帰った。

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