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石見と天宮  作者: 柴咲心桜


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5/11

恐怖

朝、教室に入ると、クラスの女子たちの視線が私を避けているのを感じた。


「おはよう」

そう挨拶しても、返事は一つも返ってこない。


昨日まで笑い合っていた友達も、休み時間に何気なく話していた女子たちも、今日はまるで私の存在を無視しているかのようだ。


唯一、変わらないのは男子の態度だけだった。


この状況は昼休みに入っても続き、教室の空気は冷たく張り詰めていた。


午後の授業が終わる頃、隣の席の男子、赤崎大和が声をかけてきた。


「なぁ、石見?お前、何やらかしたんだ?」


「今朝から、女子と全然話してないんだぞ?」


「それが私にも、さっぱり分からないんだよね」


本当に分からなかった。まるで『誰か』が私と話すのを止めさせているかのようで──いや、もしかするとそうなのかもしれない。


私と女子たちは、誰かから「話すな」と命令でも受けているのだろうか。


「でも、気をつけろよ、石見」


「気をつけるって、なにを?」


「もしかしたら、相手は時崎かもしれないぞ?」


「そっか……」

私は途中で言葉を止めた。

時崎、時崎───。


「───ところで、時崎って誰?」


私には、時崎という人物の見当がつかない。


「クラス内カースト上位の、時崎真央だよ」


「そんなヤツ、いたわね」


「さっきまで忘れてたくせによく言うぜ」


「今、思い出したんだから、良いでしょ?」


「そういうことにしておこうか」


大和とやり取りしていると、突然、女子生徒が近づいてきた。


「話あるから、顔出して」


「その前に、あなただれ?」


「覚えてない?」


私は頷いた。すると彼女は何も言わず、ただ「着いてこい」とだけ告げる。


「愛想ない子だな……」

小さく、誰にも聞こえないように呟く。


少し緊張しながらも、私は彼女について行った。


行き先は、体育倉庫───その言葉を聞いた瞬間、背筋に小さな寒気が走った。

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