先輩とお昼
「おはよう、マナ」
「おはようございます!先輩」
登校途中の校門付近で、先輩の声が背中に届いた。思わず振り返ると、にこやかに笑う先輩の姿があった。
「もう、ためでいいって言ったのに」
「周りに人がいる時にタメで話すと、礼儀知らずだと思われるんですよ!」
マナは思わず口調を硬くしてしまう。周囲の目を気にする自分が少し恥ずかしかった。
「マナ、そんなこと気にしてたの?」
「私だって人間なんですから、気にするに決まってるじゃないですか!」
先輩の軽い笑い声に、少しだけ胸が高鳴る。
「二人だけの時は、タメで話してよね?」
「分かりました。二人だけの時はタメで話すようにします」
そう答えると、先輩は嬉しそうに笑って、先に校舎へ入っていった。
***
午前の授業が終わり、昼休みになる。教室でノートを整理していると、先輩がこちらに向かって歩いてきた。
「屋上に来なさい」
小さな命令口調に、思わず微笑む。マナは購買で買ったパンを急いで持ち、先輩の待つ屋上へと向かった。
「遅かったじゃない!」
「ごめん、購買行ってから来たから、少し遅くなっちゃって」
先輩はそんな返事にも満足げに笑い、マナの顔を見つめる。
「ちゃんとタメで話してくれてありがとう!嬉しいよ」
お互いに笑いながら、買ったパンを齧る。屋上の風は心地よく、少し緊張しながらも幸せな時間が流れた。
***
昼食の後、マナは体育館へ向かう。バスケットボールを片手に、汗を流すのが日課だ。
先輩も誘ってみたが、昼食の後は友達と約束でもあるのだろう。今日は一人で練習するしかない。
「今日はここまでにするか」
ボールを片付け、午後の授業の準備のため教室へ向かう。
歩きながら、後ろから声が聞こえた。
「バスケ、楽しかった?」
振り返ると、先輩がにこやかに笑っている。
「食後の良い運動になりました」
「良かったね」
「はい」
友達が近くにいるため、タメで話すことはできなかった。それでも、先輩の優しい声が心に響く。
「じゃ、またね」
「お疲れ様です」
午後のチャイムが鳴り、授業の開始を告げる。マナは少し胸を弾ませながら、教室の席に着いた。




