コラム ――ゲンの探検鞄――
新たに見つかった資料であるゲンの探検鞄についてご紹介します。
あちこち歩き回って、見た物、聞いたことをノートに書くようになったゲンへ琥珀が持ち運びしやすい用にと文字書きセットを用意します。琥珀が用意した文字書きセットをいれるための鞄は祥が用意した物です。
制作メモや日記から鞄の特徴はわかっていたものの、実際の鞄がどのような物かは不明のままでした。
ここでは鞄と中身の一部を一緒に展示します。
<鞄>
〇初代の鞄
幅26cm×高さ18cm×マチ10cm
帆布で作られた雑嚢鞄。
フロントに2個、中に3個ポケットがついている。
丸みを帯びた形状をしており、可愛らしい。
ショルダーは切れたとの記述のとおり、こちらの鞄はショルダーが金具に結び直された状態で発見された。
〇二代目の鞄
幅28cm×高さ18cm×マチ12cm
帆布で作られた雑嚢鞄。
見た目は初代の鞄とほとんど同じ。
ポケットの数がサイドにそれぞれ1個、中に1個追加されている。
また、鞄上部中央に1個、下部両端に1個ずつ金具がつき、ショルダーを通せばリュックサックとしても使える2way。
2wayのため、ショルダーの長さが変更できるようになる。
<鞄の中身>
〇ペンケース
祥が作った物。
芥子色のペンケース内から3本の鉛筆と消しゴムも一緒に見つかる。
外側には「ゲン」と名前が刺繍されている。
〇ノート
文庫本サイズのノート。
中は単語や短い文章、絵など、ゲンが見聞きした内容が記されている。
文字の整い方からして琥珀の詩を口述筆記していた頃に書かれたものか。
・ノートより一部抜粋
空をこぐ 小さなお舟
おされ ながされ 天高く
水なき川を うめつくす
小さなお舟の おとどけびん
(桜と思われる樹から花が散り行く絵と共に)
にゃんころ ころころ
ニャーゴ ニャゴ
ごろゴロ ころりん うにゃうにゃ
ナア
のびのび にゃんころ
(猫らしき生き物が1匹寝転がっている絵と共に)
〇巾着
藍色の巾着。
中から小石が見つかる。
琥珀や祥に見せるために拾った石やどんぐり、木の実などを入れていた巾着と思われる。
〇折り紙
鶴に折られたものが2点。
病床に伏せる琥珀のために折ったものか。
〇お守り
祥が作った物。
茶褐色。
〇タグ
「ゲン」と彫られた板。
彫られた字から、琥珀が刻んだ物と思われる。
鞄の金具につけられていた物と推察。
〇ノートの切れ端
両面にそれぞれ文章が書かれている。
一面は琥珀が書いた物。
「ゲンへ またあそぼう」
ひどく震えた字は死の際に書かれたものか。
もう一面はゲンが書いた物。
「おじさんとのだいじなやくそく」