2ターン目 カードの扱いには気をつけろ
いよいよ大奈のアルバイトが本格的に始動します。
カードショップ店員のアレコレを伝授されながら彼は問題なく働くことができるのだろうか?
女の子もぼちぼち出しますのでもう少々お待ちください。
「はい、ということでカードショップの業務のあれこれを教えていきたいと思います。まずはショーケースについて。」
小浦さんはそう言いながら俺をカードが所狭しと並べられたガラス張りのショーケースまで連れてきた。3つのショーケースが表裏で並べられており、計6つものショーケースがある。
こうしてみると店内はそれなりに広い。
ガラス張りの大きな鍵付きショーケース、大体縦横100×60ってとこかな。それが6つあるのに加えて10席のデュエルスペースもある。ここは秋葉原やら池袋でもないのにそれなりのスペースと見た感じ品揃えも悪くない。
シングルカードやスリーブ、プレイマットなんかのサプライも充実している。
地元の小中学生やプレイヤーなんかの憩いの場所だろうな。
「まずうちの店で取り扱ってるのは『パチニャンカード』、『バトルファイターズ』の2種類だね。三神くんはどのTCGやってるんだっけ?」
「あ、自分は『パチニャン』やってます。」
「お、いいね。『パチニャン』はうちの主力の商材だからね、詳しい人が入ってくれるのは嬉しいよ。主力なだけあって6つあるうちの4つは『パチニャン』のショーケースなのよ。で、残る2つが『バトルファイターズ』ってわけ。」
『パチニャンカード』とは世界的にも大人気のカードゲームであり、元々は大人気ゲームのキャラクターたちであり、可愛らしいキャラクターが多く子供から大人まで男女問わず幅広い人々に人気のあるコンテンツである。
『バトルファイターズ』は可愛らしいパチニャンカードとは対照的にド派手なドラゴンやロボットのようにな男のロマンみたいなカードが詰め込まれている。スピード感のあるゲーム性の中に駆け引きが多く、こちらもまた多くのプレイヤーがいる。「昔やっていた」みたいな男性諸君も多いのではなかろうか。
「で、まずお客さんが「ショーケースお願いします」みたいな感じで呼んでくるからそしたら鍵を持ってそのお客さんが希望してるショーケースまで行くこと。これが一つ目ね。」
そんな会話をしながら6つあるショーケースを順繰りに回って置かれているカードを確認していた。
ふと、小浦さんが最後のケースの前で足を止める。
「ここは特別、50,000円以上のカードのケース。左壁にバトファイ、それ以外は全部パチカになってるよ。ここのケースを開ける時は僕か店長、あと今は寝坊してていないけど、後で来るもう1人の社員の誰かに声かけて専用の鍵をもらって開けてね。あと、これ渡しとくね。」
渡されたのは
「白手袋、、、ですか?」
「そう、高額なカードはコレクション目的で買う人も多いから指紋がつくのを嫌がる人もいるんだよ。だからここのカード触るときは必ず白手袋して対応すること。」
「わ、わかりました。」
「カードを大切に扱うのは当然なんだけど、ここの高額カードたちは特に丁重に扱うこと。よろしく!!」
いや、よろしく!!じゃなくて
マジかよ
ケースの中のカードたちを確認する。
パック産レアカード、大型大会上位入賞者に渡されるカード、古いためにプレミアのついたカードなどなど。
貼られた値札はもはやコラ画像みたいになってる。
ここは宝石店か何かなのか???
そんな思いをよそに開店は近づいていた。
時計は10:45を指している。