表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
殺戮學園逝徒會畸譚  作者: 坐久靈二
第四章 殺戮學園と一つの大事業
75/80

第七十五話 新月と満月(上)

 殺す、殺す。今夜終わりにする。あの(ほこら)で今宵惨劇が起こるだろう。

 その時、(わたし)は初めてこの世に生まれる。

 華藏(はなくら)學園(がくえん)生徒會(せいとかい)(しつ)真里(まり)愛斗(まなと)憑子(つきこ)は最後にして最大の敵、華藏(はなくら)月子(つきこ)と対峙していた。


憑子(つきこ)會長(かいちょう)。」

『問題無いわ。打合せ通りに行きましょう。』


 二人は事前に竹之内(たけのうち)灰丸(はいまる)から今の華藏(はなくら)月子(つきこ)に対抗出来る「唯一の希望」について聞かされ、戦い方を入念に検証していた。しかし、それは勝てる見込みはあるものの確実というには程遠い、どうにか戦う為の方策に過ぎない。

 知ってか知らずか、月子(つきこ)は不敵な笑みを浮かべてゆっくりと近付いて来る。


「どういう相談をしたのかは……どうでも良いわね。だって、どう足搔いても(わたし)には勝てないんだもの。」


 涼やかな(たたず)まいで迫る月子(つきこ)から、今迄に感じた事の無い途轍も無い圧が突き刺さる。つい先程対峙した假藏(かりぐら)學園(がくえん)最強の不良・爆岡(はぜおか)義裕(よしひろ)ですら赤子に思える程の圧倒的な脅威、全てを凍て付かせる冷気にも似た怖気(おぞけ)が辺りを包み込んでいた。


 一歩足を引いて、愛斗(まなと)は構えを取る。基礎的な戦闘技術を竹之内(たけのうち)父娘から即席で教わってきた愛斗(まなと)だが、恐らくそれを披露するのはこれが最後だろう。

 持てる技術、積み重ねてきた総てをぶつけようとする愛斗(まなと)に、月子(つきこ)は冷ややかな笑みを向けている。


「今迄さぞ頑張って来たのでしょうね。この事態を解決する為に、(ほこら)の力、闇の眷属に対抗する為に……。」


 来る。――愛斗(まなと)も、そして憑子(つきこ)もはっきりとそう予感した。

 喧嘩慣れしている爆岡(はぜおか)と異なり、華藏(はなくら)月子(つきこ)は素人である。自らがこれから攻撃に出るという気配を隠匿する技術など全く身に着けていない。それ故に、愛斗(まなと)憑子(つきこ)は完璧に月子(つきこ)の動きを予知し、身構えることが出来た。


 だが、気付いた時には月子(つきこ)の姿が眼の前から忽然と消えていた。


「なっ⁉」

『くっ‼』


 愛斗(まなと)の肩に長い黒髪が触れた。月子(つきこ)は一瞬、否刹那、須臾(しゅゆ)の間の内に背後に回り込んでいたのだ。


「でも、この通り無駄な努力なのよ。(きみ)が一生懸命に、短い期間ながら磨いてきたのは飽く迄も『闇の眷属』と戦う為の技術。(わたし)が手に入れたのは(ほこら)由来の闇の力ではないわ。もっと遥かに強大で、根本的に次元の違う力。」


 愛斗(まなと)が慌てて振り向くと、既に月子(つきこ)の姿は無かった。


「速い……‼」


 華藏(はなくら)月子(つきこ)が手に入れた青い血、『青血の至高神(しこうしん)』の力は、『闇の眷属』のそれとは全く違う。人間を洗脳したり、分離と結合を自在に操ったりする以前に、単純な力が圧倒的に強いのだ。それは既に竹之内(たけのうち)から聞かされていた。


「駄目だ、全然付いて行けない。」


 愛斗(まなと)月子(つきこ)の気配がする方へ何度も視線を向けるが、一向に彼女を捉えることが出来なかった。


「頑張るわねえ。」


 不意に、月子(つきこ)愛斗(まなと)の両頬に触れて微笑(ほほえ)み掛ける。彼女は完全に遊んでいる。


「この、莫迦(ばか)にして……!」

「だって真里(まり)君、とても可愛いんだもの。」


 揶揄(からか)う様な月子(つきこ)の言葉が頭に来た愛斗(まなと)は、彼女の油断を突いて手首を掴もうとする。しかし、案の定彼の手は空を握る事しか出来ない。


「ねえ、本当に勝てると思っているの?」


 逆に愛斗(まなと)の方が月子(つきこ)に背後から抱き締められた。その瞬間、愛斗(まなと)は強い死の直観に襲われた。

 脳が(とろ)ける様な柔らかな感触、甘い(かお)り、心地良い声の響き。(しか)(なが)ら、上半身に絡み付く細い腕はその気になれば須臾(しゅゆ)の間の後にでも愛斗(まなと)の肉体を捻り潰してしまう様な、冷酷な暴力性を隠そうともしていない。


「人間の悲しい(さが)よね。もうどうにもならないという絶望を受け容れられず、希望が提示されればそれがどんな空論でも縋り付いてしまう。けれども、現実というのは残酷な物なのよ。」


 はっきりと、月子(つきこ)の腕に力が入るのを感じた愛斗(まなと)の胸の内に恐怖が膨れ上がる。華藏(はなくら)月子(つきこ)が生まれ付き持つ魔性と、後天的に得た腕力は愛斗(まなと)を惑わすのに充分だった。気を抜くと屈服の命乞いが喉から出掛かる。


真里(まり)君から離れなさい‼』


 怒りの籠った憑子(つきこ)の言葉。愛斗(まなと)の身体が白く光る。何かを察知したのか、月子(つきこ)は又してもその場から姿を消し、愛斗(まなと)から発せられた白い光の筋が虚空を貫いた。


『チッ……‼』

「随分苛立っているわね。ま、状況が状況だから当然でしょうけれど。」


 月子(つきこ)は再び元の席に着いていた。暢気に頬杖を付き、(くつろ)いですらいるが、その眼は鋭い光を宿して愛斗(まなと)達の狙いを分析していた。


「思った通り、其方(そちら)の狙いは(わたし)から青い血を再び分離する事の様ね。」


 考えを見透かされた愛斗(まなと)は動揺を隠せずに後退(あとずさ)った。焦った様子を見た月子(つきこ)は口元を拳で隠し、さも可笑(おか)しそうに腐々(クスクス)(あざけ)った。


「何を驚いているの? まさかこの(わたし)が、自分がどの様に『青血の至高神(しこうしん)』の力を得て、そこにどんな穴があるか、把握していないとでも思ったの? 本当に自分達の都合の良い様にしか考えていないのね。熟々(つくづく)御目出度(おめでた)い事だわ。」


 月子(つきこ)と対峙し、戦い始めた(ばか)りだというのに、早くもその行く末に暗雲が立ち込めていた。圧倒的、絶望的な力の差がある以上、勝ちの目を掴み取るには相手の僅かな隙をついて出し抜く他無いにも拘らず、最初から手の内が筒抜けなのだ。


(わたし)が先程言った空論、現実の残酷さとはこういう事よ。人は策謀を巡らせる時、往々にして相手を自分よりも愚かな者と想定してしまう。一から十まで自分の思い通りに踊ってくれるものだと錯覚してしまうの。要するに、真里(まり)君、(きみ)達は(わたし)の事を見縊(みくび)っていたという事よ。身の程知らずも(はなは)だしいと思わない?」


 何時からそんなに偉くなったのか、と華藏(はなくら)月子(つきこ)の切れ長の目に見据えられて静かに(とが)められた愛斗(まなと)は思わず身が(すく)んでしまう。


真里(まり)君、気を確かに持ちなさい。』

(ちな)みにだけれど、もう一つの狙いも分かっているのよ。今、(わたし)に対抗しようとしているのは一見真里(まり)君だけれど、本命は貴女(あなた)でしょう、憑子(つきこ)貴女(あなた)こそが、(わたし)の中の青い血の定着を(いじ)ろうとしている張本人、隠し玉という訳よね?」

『っ……‼』


 憑子(つきこ)も言葉を詰まらせた。月子(つきこ)は戦略面での狙いだけではなく、戦術面で愛斗(まなと)を囮にして憑子(つきこ)月子(つきこ)(たお)すという方策を練っていた事まで看破してしまっていた。

 それこそは、竹之内(たけのうち)翁が語っていた華藏(はなくら)月子(つきこ)(たお)し得る唯一の希望だった。




☾☾☾




 時は(さかのぼ)り、保健室での竹之内(たけのうち)翁の提言。


(わたし)の考えが正しければ、華藏(はなくら)月子(つきこ)は『青い血』を『彼女の体』と一体化する為に『(ほこら)の力』を利用している。『彼女の体』というのが今回最大の鍵です。良いですか、よく聴いてください。」


 竹之内(たけのうち)翁の言葉に愛斗(まなと)だけでなく参戦する事になるであろう聖護院(しょうごいん)嘉久(よしひさ)、戦線を離脱して保健室で待機する事になった戸井(とい)宝乃(たからの)、事情が未だ今一つ解っていない紫風呂(しぶろ)来羽(くるは)も耳を傾ける。


(ほこら)の力に因る結合と分離は、どのような組み合わせでも一様に力を発揮するという訳ではありません。その気になればどのような変化でも起こす事自体は可能ですが、結合し易い組み合わせ、分離し易い組み合わせというものが存在します。」

『それは初耳ね、聖護院(しょうごいん)先生。』

「うっ……。」


 憑子(つきこ)から矛先を向けられた聖護院(しょうごいん)は言葉を返せない様子だった。聖護院(しょうごいん)こそは憑子(つきこ)(ほこら)の力について教わった師であり、即ち彼女が知らないという事は彼の説明不足を意味する。


「まあ仕方ありますまい。当初、『新月の御嬢様』の目的は『學園(がくえん)の悪魔』を華藏(はなくら)月子(つきこ)の肉体から分離するのみだった。それに限って言えば、結合分離の難易度の話は不要で、蛇足だったという事でしょう。」

『それは確かに、そうね。』

「加えて、その法則に由れば『學園(がくえん)の悪魔』が華藏(はなくら)月子(つきこ)の肉体から分離されたとしても、『新月の御嬢様』の支配下にある肉体から彼女も本来の主である華藏(はなくら)月子(つきこ)も分離されないという確信が有ったからな。尤も、それは『學園(がくえん)の悪魔』が華藏(はなくら)月子(つきこ)とは無関係の怨念だと思われていたからだが。」

「つまりどういう事かと申しますと、肉体にとって異物である『學園(がくえん)の悪魔』は分離し易く、逆に華藏(はなくら)月子(つきこ)と『新月の御嬢様』は結合し易いと、こう考えられた、という話になる訳です。これは御二人が元々一卵性双生児であることが大いに関係しているのです。」

『成程……。』


 憑子(つきこ)は理屈を概ね理解した様だ。


『一卵性双生児は、その名の通り元々一つの受精卵から二つに分かれたもの。(わたし)畸形嚢腫(きけいのうしゅ)としてあの女の心臓と一体化していた経緯(いきさつ)は、その分離が不完全だったから。大元は一つだった所から二つに分かれた者であり、それ故に(ほこら)の持つ〝一つに結合する力〟が馴染み易い、と……。』

然様(さよう)で御座います。そしてもう一つ、『青い血』は本来華藏(はなくら)月子(つきこ)の肉体にとって完全な異物です。人対人の輸血と異なり、人外の血を無理矢理定着させている訳ですから。つまり、此方(こちら)は逆に『二つに分離する力』の方が馴染み易い。今回、これを利用させて貰います。つまり、鍵は貴女(あなた)の方ですよ、『新月の御嬢様』。」


 後に月子(つきこ)が看破した様に、竹之内(たけのうち)から憑子(つきこ)を要とした今回の作戦についての話が始まった。


()ず、華藏(はなくら)月子(つきこ)(ほこら)の力を作用させるのは容易ではありません。今迄の敵がそうだったとは言いませんが、今の彼女は次元が全く違うのです。」

「確かに……あの仁観(ひとみ)先輩ですら子供扱いでしたものね。」


 愛斗(まなと)は『闇の靈殿(れいでん)』で月子(つきこ)と対峙した時の事を思い出していた。仁観(ひとみ)嵐十郎(らんじゅうろう)よりも強い相手、となると爆岡(はぜおか)義裕(よしひろ)が挙げられるが、彼と違い彼女には仁観(ひとみ)が勝つ光景すら思い浮かばなかった。爆岡(はぜおか)ですら愛斗(まなと)には動き出しが見えず、本気になれば憑子(つきこ)にすら捉えられないとなると、月子(つきこ)に対抗するのが如何(いか)に至難か考えただけで気が遠くなる。


「下準備が必要です。その為に、困難ですが華藏(はなくら)月子(つきこ)との密着状態を長時間維持する必要が有る。」

「長時間……でもそれって、絶対に無理ですよ。だって組み合いになったら(ぼく)の方が確実に力負けしてしまいます。仁観(ひとみ)先輩ですら相手にならなかったんですから。」

「そうです。しかし、『新月の御嬢様』に限り、それが可能な理由が在るのですよ。それこそが当に、(ほこら)の力の馴染み易さ、結合のし易さなのです。」


 竹之内(たけのうち)此処(ここ)まで話されると、流石の愛斗(まなと)も察した。


「つまり、憑子(つきこ)會長(かいちょう)が……。」

華藏(はなくら)月子(つきこ)の肉体と再び一体化し、その状態で〝青い血〟との分離を試みる、という訳ね。』

「はい。一卵性双生児であり、尚且つ元々結合していた御二人ならば(ほこら)の力は極めて強力に結合方向へ作用する筈です。」

『それを利用し、分離を作用させる迄の時間を稼ぐ、と……。後問題は、どうやってその状態まで持って行くか、ね。』

「それについては、これから皆さんの意見を広く集めましょう。アイデアは多い方が良い。華藏(はなくら)月子(つきこ)の想像も及ばない奇策で『新月の御嬢様』と彼女を触れさせ、元の状態に戻すのです。その為の手数は何通りもあった方が良い。真里(まり)君達は勿論、(わたし)聖護院(しょうごいん)先生の戦闘経験から来るアイデア、紫風呂(しぶろ)君の喧嘩殺法から来るアイデア、戸井(とい)さんや杉原(すぎはら)先生の素人意見、何でも構いません。どうか広く、相手の考えもしない突飛なアイデアを。」


 以後、華藏(はなくら)月子(つきこ)の呼び出しが掛かる迄、愛斗(まなと)達は必死に方策を練り合った。




☾☾☾




 時を戻し、生徒會(せいとかい)(しつ)月子(つきこ)に戦略を看破された愛斗(まなと)憑子(つきこ)は、それでも諦めていなかった。


(確かに、保健室で募ったアイデアの殆どは華藏(はなくら)先輩が(ぼく)を囮だと気付かない前提で考えられたものだった。こうなったら捨てるしかない。だけど、それでも使える作戦は()だ有る!)


 対する月子(つきこ)は、席に着いた(まま)動こうとしない。これは愛斗(まなと)憑子(つきこ)にとって、非常に(いや)らしい。


『やる気が無いの?』


 憑子(つきこ)苛立(いらだ)ちから思わず非難を溢したのも致し方無い事だった。月子(つきこ)が動かない以上は愛斗(まなと)達から仕掛けざるを得ない。月子(つきこ)に触れ、憑子(つきこ)をその身体に送り込む事が出来れば良い愛斗(まなと)にとって、待ちの姿勢で身構えられるよりも相手の方から仕掛けてくれた方が隙も生じ易く好都合なのだ。


「打つ手が無くなって気の毒だから、この上(わたし)から攻めて怖がらせるのは余りにも可哀想だと思ってね。せめて、玉砕する覚悟くらいは決めさせてあげようという仏心よ。別に命が惜しいのなら、此方(こちら)としては何時間でも待ってあげて構わないのだしね。」

『くっ……‼』


 月子(つきこ)は完全に価値を確信して舐め腐っている。しかし、愛斗(まなと)此処(ここ)で一つ発想を変えた。


(待てよ……?)


 愛斗(まなと)にヒントを与えたのは、当に月子(つきこ)の傲り昂った余裕綽々(しゃくしゃく)の態度に他ならなかった。今、愛斗(まなと)月子(つきこ)が仕掛けて来ないから此方(こちら)から攻める事を強いられている。主導権は完全に相手に有る。


(だったら……。)


 愛斗(まなと)(きびす)を返した。


「そういう事でしたら、先輩。(ぼく)等はもう一度作戦を練り直してきますよ。取り敢えず、此処(ここ)は一旦帰りますね。」

「は?」


 月子(つきこ)は虚を突かれたように、初めて気の抜けた様な声を漏らした。相手が仕掛けて来ない、此方(こちら)からも仕掛けたくない、ならば(そもそ)も、戦闘自体を止めてしまう。それが愛斗(まなと)の出した結論だった。

 愛斗(まなと)生徒會(せいとかい)(しつ)から去ろうと、扉に向かって手を伸ばした。


「そんな物、通る訳が無いでしょう。目上の人に呼び出されて、勝手に帰れるとでも?」


 月子(つきこ)は一瞬にして扉の前に回り込み、愛斗(まなと)の前に立ち塞がっていた。だがそれは、彼女が自ら待ちの姿勢を崩した事に他ならない。

 仕掛けて来る迄待つ相手に対しては此方(こちら)も只管に相手の根負けを待つことが出来る。しかし、仕掛けて来ないとこの場を去る相手に対しては、待ちを棄てて仕掛けざるを得ない。そういう意味で、この駆け引きは元々呼び出して待ち構えていた月子(つきこ)よりもそれに応じた愛斗(まなと)憑子(つきこ)の方が遥かに有利だった。


「今だ‼」


 愛斗(まなと)は扉に手を伸ばしたその手で月子(つきこ)に触れようとする。上手く行けば、この儘憑子(つきこ)を彼女の心臓へ戻す事が出来るかも知れない。

 だが、危機を察知した憑子(つきこ)の姿は再び目の前から消え、愛斗(まなと)の作戦は失敗に終わった。愛斗(まなと)の掌は空を切り、扉を叩くだけに留まった。


「流石にそう上手くは行きませんか……。」

「ええ、全く舐められたものね。でも、そう来るなら此方(こちら)から行かざるを得ない。中々生意気にも考えたじゃない。でも(わたし)の慈悲を無下にした事、()ぐに後悔する事になるわ。」


 愛斗(まなと)が振り向いた先で、月子(つきこ)は相変わらず不敵な笑みを浮かべていた。しかし、そこには同時に明確な害意が滲み出てもいた。

 愛斗(まなと)憑子(つきこ)の駆け引きは、此処(ここ)からが本番である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ