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殺戮學園逝徒會畸譚  作者: 坐久靈二
第三章 神秘學園と一つの大願
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第四十四話 電気街の悪夢

 悪魔の術に向かいて立ち得ん為に、神の武具を以て(よろ)うべし。


――新約聖書『エペソ人への手紙』第六章十一節より。

 恐らくは最も有名な電気街、(くろがね)自由(みゆ)はそこで自ら作り上げた惨劇の光景を眺め、ほくそ笑んでいた。


「こりゃあ良い。今の(おれ)は死という絶対を統括する神にも等しい。最早誰にも負ける筈が無い。」


 (くろがね)が指を鳴らすと、紫の(もや)に包まれた人間が弾け飛び、通りを爆炎が包み込む。それら人間爆弾は容易にアスファルトを割り、建物を倒壊させる。逃げ遅れた人々は破壊に巻き込まれ、炎と瓦礫(がれき)()し潰される。


「ははははは‼ 死ね! 死ねぇッ‼ 死者が出る程、(おれ)達の力は強くなる! 闇の支配、死の世界の完成が近付くのだ‼」


 邪悪な高笑いと共に、(くろがね)はゆっくりと空へ舞い上がる。地上を見渡しているのは、新たなターゲットの目星を着けているのか。


「くくく。情報に()ると、真里(まり)愛斗(まなと)はこの近くまで遥々(はるばる)取材旅行に来ているらしい。あいつは今までの行動からかなり生意気な正義漢気取りだからな。この有様を何処(どこ)かで知れば此処(ここ)へやって来る可能性が高い。来なけりゃ来ないで人が死に、(おれ)達が強くなるだけだ。」


 (くろがね)には愛斗(まなと)への(わたし)怨が有る。彼の形振(なりふ)り構わない残虐非道な行いは、怨み骨髄の二人へと復讐を目的としていた。


「そうだ、一層の事、簡単に帰れない様に鉄道や空港も破壊しておくか。この力を使えば簡単に何でも破壊出来る! 真里(まり)の後は仁観(ひとみ)にも思い知らせてやる‼」


 暴走の歯止めが利かなくなっている。

 元々、(くろがね)は「自分を頭が良いと思っている莫迦(ばか)」という度し難い性質を持った男である。頭が良いと思える程度には様々な策を練ることを得意とするが、莫迦(ばか)なのでその影響を顧みない。

 そんな男が邪悪な心と絶大な力を振るい続ければ、何処(どこ)まで被害が拡大するか分からない。愛斗(まなと)を誘き出すという目的で始めた蛮行も、気が付けば行き先を見失って無茶苦茶な破壊と殺戮のみを繰り広げる、という事にもなりかねないのだ。


此処(ここ)から一番近いのは鉄道だな。どうせなら帰りの方面だけでなく反対側や乗り換え路線も破壊して、出られなくしてやる。」


 (くろがね)が宙に浮いたまま移動しようとした、その時だった。


(くろがね)ェッ‼」


 凄まじい声量で地上から名前が叫ばれた。

 常人の二倍の肺活量を駆使したその声は、間違いなく真里(まり)愛斗(まなと)のものだった。現に、見下ろせば彼の小柄な体の童顔が怒りに満ちた表情で(くろがね)を睨み上げていた。


「来たか、身の程知らずの餓鬼めが……。」


 (くろがね)愛斗(まなと)を遥か上空から侮蔑と嘲笑に満ちた表情で見降ろしていた。

 今、學園(がくえん)から遠く離れた地で闇の眷属との戦いが火蓋を切られようとしていた。




☾☾☾




 アパートの一室で、二人の男女が食い入る様にテレビを見詰めていた。


(くろがね)の野郎……。調子に乗って滅茶苦茶やってやがる……。」


 激しく歯噛みして悔しさを滲ませるのは假藏(かりぐら)學園(がくえん)の不良・相津(あいづ)諭鬼夫(ゆきお)。つい先日、闇の力を身に付けた(くろがね)に煮え湯を飲まされ、命を奪われる寸での所で同席している女に助けられた。


「完全に闇の力に溺れているね。もうあの男は戻れないだろう。莫迦(ばか)莫迦(ばか)だと思っていたが、ここまでだとは思わなかった。」


 将屋(しょうや)杏樹(あんじゅ)、同じく假藏(かりぐら)學園(がくえん)の不良女子である。ただ、相津(あいづ)は一つ疑問に思っていた。


将屋(しょうや)、お前は『弥勒狭野(ミロクサーヌ)』の一員、(くろがね)とは仲間同士の筈だろう? 一体どういう風の吹き回しで(おれ)を助けたんだ?」


 こう問いかける相津(あいづ)だったが、何やら事情が有る事は何となく察していた。恐らく、本心では(くろがね)の事を全く良く思っていない。それどころか、憎んですらいる。


「それについては……一言で語り尽くせないくらい複雑な事情が有ってね。」


 実際、仮に将屋(しょうや)(くろがね)や『弥勒狭野(ミロクサーヌ)』への憎しみを押し殺し、彼等に近付いている事情が有るとしても、それだけでは説明出来ない事がある。と言うのも、假藏(かりぐら)學園(がくえん)は元々(ほこら)や闇の力に(まつ)わる彼是(あれこれ)とは(ほとん)ど無縁だった筈だ。少なくとも、『弥勒狭野(ミロクサーヌ)』は単に假藏(かりぐら)頂点(テッペン)を狙っていただけで、『闇の逝徒會(せいとかい)』と関わる前は悪魔など露知らなかった。


「まあ、関係ねえか。今の(おれ)の頭に在るのは、(くろがね)や一緒に居た華藏(はなくら)の女、その一味に思い知らせてやることだけだ。兄貴を殺した事、必ず後悔させてやる……!」


 相津(あいづ)の兄、実鬼也(みきや)假藏(かりぐら)學園(がくえん)ではなく華藏(はなくら)學園(がくえん)の卒業生で、そして『裏理事会』のメンバーだった。つい先日、『學園(がくえん)の悪魔』と交戦して戦死したが、相津(あいづ)は兄の死を(くろがね)と共に居た砂社(すなやしろ)日和(ひより)から聞かされたのだ。

 相津(あいづ)の目的、それは復讐に他ならない。兄、そして自分自身のプライド、その二つを奪った『闇の逝徒會(せいとかい)』への復讐こそを彼は胸に誓っていた。


 その為に、将屋(しょうや)は利用価値がある。何か有益な情報を知っているならば、その出所、素性はどうでも良い。

 だが、将屋(しょうや)の方はそう思っていない様だった。


相津(あいづ)、そのアンタの兄の事だが、彼が敗けたというのは(わたし)にとって聞きたくない情報だった。彼の所属する、華藏(はなくら)の『裏理事会』。假藏(かりぐら)でそこと接点が有るのはアンタくらいだった。しかし、それも今や途絶えた……。」

「解らねえな。じゃあ何でお前はこの期に及んで(おれ)を助けた? そういう事なら、もう(おれ)に用はねえ筈だろ?」

「それは……。」


 将屋(しょうや)は少し言い淀んだ。自分でも戸惑っている様だった。だが、思い当たる節は有ったらしい。


「仲間が欲しかったから……かな。(わたし)と同じく、あいつらと戦う理由がある仲間が……。」

「そうか。じゃあそれで良いぜ(おれ)は。力を合わせれば見えてくる道もあるだろうしな。」

「どうかな? 正直厳しいと思う。特に、(くろがね)が『闇の眷属』になった今では。正直、この展開は想定外だった。」

「厳しい?」


 怪訝な表情を浮かべる相津(あいづ)に、将屋(しょうや)は頷く。


「奴等『闇の眷属』、『(ほこら)の悪魔の使い魔』とは戦い方って奴が在るらしいのさ。(わたし)はそれを身に着けたかった。だから、是が非でもアンタの兄貴、相津(あいづ)実鬼也(みきや)と接触したかった。だが、その道筋は失われた……。」

「いや、まだ分からんぜ。」


 沈む将屋(しょうや)に対し、相津(あいづ)の眼には力が宿っている。


「その『華藏(はなくら)の裏理事会』は、確かに今迄(いままで)(おれ)達とは住む世界が違い過ぎた。だが、今は……。」


 画面は惨劇の電気街から切り替わった。如何(いか)に未曽有の事態とはいえ、流石に延々と同じニュースを流し続ける訳ではないらしい。だが、最後に一瞬映ったある男の姿を二人は目撃した。


「今のは……!」

「ああそうさ。今の(おれ)達には華藏(はなくら)とも繋がりがある。そうだろう?」


 今、遠く離れた電気街では彼等の知る人物、真里(まり)愛斗(まなと)(くろがね)自由(みゆ)と対峙している。




☾☾☾




 地上で上空の(くろがね)を見上げる愛斗(まなと)の身体から白い(もや)が溢れ出す。忘れてはならないのは、徐々に華藏(はなくら)月子(つきこ)の姿を(かたど)るこの憑子(つきこ)こそが假藏(かりぐら)學園(がくえん)での『闇の逝徒會(せいとかい)』との戦いで基浪(もとなみ)(けい)砂社(すなやしろ)日和(ひより)を苦しめたという事実である。

 即ち、(くろがね)にとって敵は愛斗(まなと)だけではなく、二対一の状況なのだ。


莫迦(ばか)は高い所が好き、()く言ったものね……。』


 憑子(つきこ)愛斗(まなと)以上に怒気を孕んだ表情で(くろがね)を睨み上げていた。自身に侮蔑の言葉を投げ掛けた彼女を(くろがね)は鼻で笑う。


「ふん、憑依霊(もど)きが偉そうに……。言っておくが(おれ)基浪(もとなみ)砂社(すなやしろ)と一緒にするなよ。真面目な良い子だった華藏(はなくら)の餓鬼共とは違い、(おれ)は元々假藏(かりぐら)頂点(テッペン)を狙って何度も視線を潜り抜けてきた喧嘩自慢なんだ。しかも、只の不良とは違い(おれ)には策を練る頭脳が有る!」


 (くろがね)の右腕が上がり、愛斗(まなと)憑子(つきこ)の周囲から紫の(もや)が吹き上がった。気が付くと、二人は操られた人の群に囲まれていた。


「ははははは‼ 地上のお前等は(おれ)に指一本触れられまい! だが(おれ)からお前等を攻撃する手段は無数にあるのだ‼ これが假藏(かりぐら)一の頭脳、(くろがね)自由(みゆ)様の策略と言う奴だ‼」


 戦う前に、必勝の布陣を整える。確かにそれは、戦術の常道である。この状況、多勢に無勢なのは寧ろ愛斗(まなと)達の方で、加えて此方からは(くろがね)に手出し出来ない。

 だが一つ、(くろがね)には誤算があった。


『やれやれ、どうせこんな事だろうと思ったわ。』


 憑子(つきこ)は溜息と共に自らの姿を白い(もや)に戻し、襲い掛かる人間たちの体を覆った。


「な、何?」


 白い(もや)が紫の(もや)を中和する様に混ざり合い、霧散するのを見て(くろがね)は動揺した。彼にとって明らかに良くない事が起こっている。

 紫の(もや)は操られていた人々から消え去り、(くろがね)の手駒はその場に力無く倒れ伏した。


莫迦(ばか)な⁉ ええい、ならこの場で(まと)めて炸裂させるまでだ‼」


 (くろがね)は両目を血走らせて倒れた人たちを指す様に右手を伸ばしたが、何の反応も無い。


『無駄よ。既にこの人達の闇は(はら)った。どうやら悪魔は勿論の事、基浪(もとなみ)君や砂社(すなやしろ)さんと比べても力の使い方が荒い様ね。』


 拡散した白い(もや)が集まり、再び華藏(はなくら)月子(つきこ)の姿を取っていく。


『これなら(はら)うのは造作も無い、幾らでも相手に出来るわ。』

「くっ……!」


 たじろぐ(くろがね)は気付いていない様だが、愛斗(まなと)には()ぐに分かった。憑子(つきこ)の言葉は(はった)りである。上空で離れている(くろがね)には、彼女の身体が少し薄くなっているのが分からないのだ。


 大勢の人間から一度に闇を(はら)うのは、相当に消耗するのだ。――愛斗(まなと)憑子(つきこ)の表情から若干の疲れを読み取って悟った。


憑子(つきこ)會長……。」

『これであの男は降りてきて自ら戦わざるを得ない。ここから先はもう一度(きみ)の体に入るから、二倍の膂力(りょりょく)で踏ん張りなさい。』


 憑子(つきこ)の予想通り、(くろがね)は怒りに肩を震わせながらゆっくりと降下してきた。ずばり、発足(はったり)の狙いは遠隔で人を操って戦うやり方を諦めさせる事だった。

 憑子(つきこ)はさも愛斗(まなと)に臨戦態勢を取らせる目的を装い、自らの姿を愛斗(まなと)の体の中に隠した。徐々に接近する(くろがね)に薄弱化を気付かれない様にする為だ。


「踏ん張る、ですか……。」

『ええ、恐らくはそれが精一杯でしょう。闇の眷属とは戦い方というものが在る。それを知らない(きみ)に万に一つも勝ち目は無いわ。』


 深刻な調子で軽い絶望を告げる憑子(つきこ)だったが、愛斗(まなと)は一つ疑問となる矛盾を思い出す。


「あの、以前基浪(もとなみ)先輩と砂社(すなやしろ)先輩に襲われた時は僕に二人を懲らしめろって仰いませんでしたっけ?」

『あの時は……気分よ。勿論、ある程度思い知らせたら逃げるつもりでいたわ。でも、今回はそうも行かないでしょう?』


 悪びれもせず、憑子(つきこ)は開き直った。これまで共に生活する中で、愛斗(まなと)憑子(つきこ)のこういう適当なところを何度か見せられたが、釈然としない感は否めない。


『まあ、今はそんな細かい事を気にしている場合ではないわ。』


 自分で言う事ではない筈だが、愛斗(まなと)もそこに異論は無かった。


何時(いつ)まで耐えれば良いですか?」

『有識者の到着まで。』


 有識者、それが誰を指しているのかは明らかだ。

 常人の倍の膂力(りょりょく)がある愛斗(まなと)は走力も尋常ではなく、急いで全力疾走すれば大抵の人間は置き去りにしてしまう。()してや老いて衰えた竹之内(たけのうち)灰丸(はいまる)が相手ならば輪を掛けて差を付けてしまうのだ。


「時間掛かるでしょうか……?」

『多分ね。ま、(きみ)の体は(わたし)の代わりに傷付く為に在るのだから、己の責務をきっちり果たしなさい。』


 またしてもさらりと酷い言い草の憑子(つきこ)だったが、愛斗(まなと)には言葉を返す余裕が無かった。(くろがね)が地に足を付け、間合いのやや外側、一触即発の距離に立ったのだ。


「二倍の膂力(りょりょく)……御主人様から聞いた通りの様だな。道理で華藏(はなくら)學園(がくえん)では不覚を取った訳だ……。」


 (くろがね)の眼は狂気と復讐心で爛々(らんらん)と輝いている。(そもそ)もの発端は、(くろがね)が舎弟を引き連れて華藏(はなくら)生に狼藉を働き、愛斗(まなと)に咎められた末に無様な醜態を晒した事だった。(くろがね)にとって、愛斗(まなと)もまた仁観(ひとみ)嵐十郎(らんじゅうろう)と同等の仇敵なのだ。


「言っておくが、今度は油断しねえ。小動物みてえな見た目に騙されちゃやんねえよ。最初から全力で策の限りを尽くして殺してやる。」


 (くろがね)の両手にトレンチナイフが装着された。仁観(ひとみ)と戦った時と同じスタイル、即ち本気の証だ。しかも、闇の力を身に付けた今の(くろがね)はあの時とは比較になるまい。

 愛斗(まなと)にとって、正念場である。今正に襲い来る脅威に備え、覚悟を決めなければならない。


「斬り刻んでやる‼」


 凄まじい疾さで、(くろがね)愛斗(まなと)に飛び掛かって拳を振るった。辛うじて反応した愛斗(まなと)は拳を(かわ)したが、頬に痛みを感じながら飛び散る地を目撃した。


「うぐっ‼」

『よく見なさい‼ ナイフの刃まで(かわ)さないと、頸動脈を切られでもしたら終わるわよ‼』


 雨霰(あめあられ)の様な(くろがね)の拳、即ち斬撃を前に、憑子(つきこ)の警告は功を奏さなかった。勿論、愛斗(まなと)もナイフを(かわ)そうと意識はするものの、到底反応し切れる攻撃ではない。何とか急所を外し、防ぐものの流血は避けられなかった。


「うぅっ……!」

(まず)いわね……。流石に限界というものがある……。』


 幾ら身体能力が大幅に向上しているとはいえ、生理的には生身の人間である。血を失えばそれだけ体力も失い、動きが悪くなる。そうなれば更に攻撃を貰い易くなり、死への悪循環へと陥ってしまう。


「思ったより丁路(ちょれ)えなあ。ま、女に借りた力でイキッてる砂利餓鬼なんざ所詮この程度か。」


 (くろがね)はトレンチナイフの歯を舌で嘗め、殺意を研ぎ澄ます。愛斗(まなと)は大きく後退(あとずさ)り、両腕を顔の前に構えて防御の態勢を取った。


「死ねや‼ 甘ちゃんがぁッ‼」


 止めと許りに(くろがね)が斬り掛かってきた。

 と、その時愛斗(まなと)の両足は地面を離れた。


「何⁉」

「うおおおおッッ‼」


 愛斗(まなと)は空中で大きく体勢を寝かせ、膝を曲げていた。両脚を延ばせば、そのまま(くろがね)への飛び蹴りとなる。つまり、ドロップキックだ。


「がアアアッッ⁉」


 勢いを付けた愛斗(まなと)の蹴りが(くろがね)に炸裂した。大きく吹き飛んだ(くろがね)の身体は、哀れな通行人を爆破して自ら破壊した建物の瓦礫(がれき)に激突して上半身を埋めた。


(ぼく)憑子(つきこ)會長(かいちょう)に力を借りているのは事実。だが、お前にだけはとやかく言われたくないよ。」


 愛斗(まなと)は肩で息をしながらゆっくりと起き上がった。同時に、(くろがね)瓦礫(がれき)から怒りに目の焦点の合わない顔を瓦礫(がれき)の中から出した。


(くろがね)自由(みゆ)(ぼく)はお前を許さない‼ 『學園(がくえん)の悪魔』も、『闇の逝徒會(せいとかい)』は必ず(たお)してやる‼」

「上等だ、餓鬼ィ……‼」


 額に青筋を立てた(くろがね)も立ち上がった。

 戦いはまだ始まった(ばか)りである。

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