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第80話 未来でまた会おう

【ホマレ視点】


 『アナザーデュランダル』と名乗った謎の戦士と一緒にパワフル飛竜と対峙する。

 こいつの正体が誰であるかは非常に気になる所だが……


「不思議なもんだな。初めて組むってのにお前とは上手くやれそうな気がするぜ」


「違いないさ。俺達の同盟(タッグ)はそういうもんさ」


 三日月竜シディムが吠えながらこちら目掛けて突進する。

 この行動に対して俺達が取るのは……左右の角に対し一人ずつ受け止め組み付く。

 ひとりでは弾き飛ばされてしまうがふたりなら!!

 

 えっと、何とか受け止められてるけど結構押されてるな。

 正直辛い所があるんだが……


「あーいや、ちょっとギリギリだなこれ」


 お前もかよ!


「よ、よし。それじゃあ……えーと」


「投げようぜ!!」


 俺は達は思いっきり踏ん張ると二人がかりで持ちあげて後方へスープレックで投げつけた。

 くそっ、これは筋肉痛待ったなしの重さだぞ?何喰ったらあんな重量級になるんだよ。


「かーっ、重かったなぁ。まあ、結果オーライてことにしようぜ」


 その考え、嫌いじゃないな。


「ああ、俺も賛成だ」


『何か、もうひとりのデュランダルも結構雑……?』


 ナギが離れた場所から声でツッコミを飛ばして来る。

 雑なくらいが男はちょうどいいんだよな。

 

 再び起き上がってよろめくシディムめがけ俺達は駆け寄って行き途中で左右に分かれる。

 それぞれの目指す先には巨大な岩があった。

 俺達はそれぞれ岩を引き抜いて抱えると左右から同時にシディムの頭部を挟み込む形で叩きつけた。


「!?!?」


 左右から襲ってきた突然の衝撃に戸惑いを隠せない飛竜は角を振り回す。

 俺達は同時に飛びあがるとタイミングを合わせて同時に左側の角にドロップキックを放った。

 こいつ最大の武器は角。超音ブレスもこの角を振動させ増幅させた音を放っている。

 ということは角さえ破壊してしまえば戦力は激減する。

 左側の角にひびが入り始める。とは言えまだ破壊には至っていない。

 

「こういう時は!」


「わかるぜ!回るんだよな!!」


 二人が同時に高速回転する。

 ひびが瞬く間に広がり、音を立てて左側の角が破壊された。

 うん、レム家の家訓もよくわかっているしすごく闘り易い。

 まさか親父とか?いや、親父なら即バレするな。そういう人だし。

 こいつが何者であれ、これなら勝てる!

 瞬間、シディムが尻尾で俺達を薙ぎ払う。油断大敵とは正にこの事か。


 そして俺達を引き剥がしたシディムは残った角を振動させてエネルギーを溜め始めた。

 どうやら一気に決めるつもりらしい。

 

 ならば、と俺は胸の前にエネルギーを溜める。

 もうひとりのデュランダルも同じ様にエネルギーを溜め始めた。

 なるほど。『ビーム』も撃てるわけか。すげぇな。


「行くぞ、ランペイジブラスター!!」


「ナンカースゲービィィィム!!!」


『ネーミング!?』


 2色のビームがシディムのブレスとぶつかる。

 あれって音だから大丈夫かという不安が少しあったのだが……


 どうやら大丈夫だったようだ。流石は万能属性『ビーム』。

 パワーが落ちた超音ブレスを弾き、そのままシディムに着弾。

 胸元で大爆発を起こすが倒れず再度エネルギーをチャージしはじめた。

 やはりドラゴン族。とんでもないタフさだな。

 

『そろそろ溜まったし、ちょっと耳塞いでね』


 ナギの声が飛んで来た。見ればシディムの頭上に何やらエネルギーの塊が蠢いているのが見えた。

 うん。目に見えるレベルってあれヤバイ奴だよな。

 どうやらアナザーデュランダルにも声が届いたようで慌てて耳を塞ぐ。

 ちゅっぴりシュールな絵面になるが俺も耳を塞いだ。そして……


『サタンノイズ!!』


 ナギの音エネルギーが直下に居たシディムを貫いた。

 シディムは動きを止め、更に自身で溜めていたエネルギーが暴発し内部を破壊して体液を吹き出しながら仰向けに倒れていく。

 そして一度大きく痙攣した後、動きを止めた。決着である。


「よしっ!」


 俺とアナザーデュランダルは腕を絡ませ勝利をたたえ合った。


「お前、一体誰なんだ?」


「さあな。そう遠くない『未来』にはわかるかもしれないぜ」


「それって……」


「それじゃあな」


 アナザーデュランダルは青い球体へと変化するとどこかへ飛んでいった。

 変身を解いた俺は空を見上げ呟いた。


「そう遠くない未来?」


 それってまさか。


「あいつ、俺のファンで『また会おう』って事なのか」


 何か照れくさいな。

 それにしても俺の他にも変身能力があるやつが居たのは驚きだ。


「また一緒に戦おうぜ、アナザーデュランダル」


【ナギ視点】


 戦いの後、セーフティーゾーンに逃げ込んでいた商人たちは無事に保護された。

 その人達を護衛しながら旧街道から脱出。その後は警備隊で事情聴取することになった。


 

 街の詰所に戻り、手持ち部沙汰になった。お母さんとホマは事情聴取中。

 自然と報告書を書いているアルに近づいていく事に。


「ねぇ、アル。聞きたいことがあるんだけど?」


 アルは戦闘後しばらくしてしれって出てきた。

 理由は何となくわかった。ホマは気づいていないみたいで『無事でよかった』とかやってるけどね。


「何だい?人妻にそんな事言われたらドキドキしちまうな」


「はいはい。そうだねー。とりあえずさ、キミ『アナザーデュランダル』だよね?最初はわからなかったけどキミの音、『アナザーデュランダル』と同じなんだよね」


「へー、そうなのか。それは驚きだな」


 全然驚いてないね。

 これは正体がバレるのも予想通りだったって事でいいのかな?


「それで、答えはどうなの?」


「さぁ?知らないね」


「何でキミが変身できるのかな?もしかしてホマと何か関係がある人?」


「関係はあるさ。同僚でダチなんだからな」


 そうやってすぐ誤魔化す。


「何だっていいじゃねぇか。全員無事に戻って来ることが出来たんだ。それを喜ぼうぜ」


 もうさ、半分くらい認めてるけど決定的な証拠は出さないし認めないんだよね。

 演技が雑なのか実は巧いのか……


「なぁ、あんたさ。子どもが欲しくないって言ってあいつとちょっともめてるだろ」


「もめてないし。ていうかホマ、そんな事まで話しちゃってるの?」


 もうちょっとプライベートに配慮して欲しい。


「あいつの名誉のために言っておくとあいつは何も話してねぇよ。でも俺様は知っている。何せ俺様だからな」


「は?意味わからんないし」


 この人と話をしていると頭が変になる。

 さっさと離れよう。 


「あんたはさ、子どもを持つのが怖いんだろ?自分が将来子どもを虐待しちまうかもって心配してるんだよな?」


「!?」


 何でその事を!?

 それについてはホマや他の2人にも言ってないのに。

 幼い頃にひどい目にあった子が自分の子どもを虐待する。

 よくある事だ。だからもしそうなってしまうというのなら……


「いい事を教えてやる。俺様の母親は親に捨てられて、その後も散々酷い目にあってきた。だが俺様に自分が受けたような酷い仕打ちをした事なんか一度も無かった。むしろ思い返せば甘すぎるだろってくらい可愛がってもらった。ふざけていとこの姉ちゃんのスカートをずり降ろした時はマジでキレられたけどな」


「うわぁ、キミ、それはちょっと引くかも……」


「あの時は怖かったなぁ。普段あんま怒らない母さんに尻叩かれまくったからな、まあ、だからさ。安心して子どもを持ってくれ。その子はあんたの事が大好きで大切に思ってくれるからさ。この俺様が保証する」


「キミは一体……そうだ、キミの本名って」


「ああ?そんなに知りたいのか?そりゃちょっと、教えられないね。さて、報告書も書いたしトイレでも行こうかね。ついてくるなよ?」


「行かないよ!」


 アルは笑いながらトイレへと歩いて行った。

 何処までも人を食ったような態度で……

 

 ふと報告書に目をやる。

 署名の所に書かれた名前、それは……『レム・アークトゥルス』


「あれ?これって?」


 彼の偽名って『アルシャト』だったはず。

 ファミリーネームは聞いてないからわからないけど……だけど『レム』って……


『これでもう安心だよな。まったく、世話が焼けるぜ』


 頭の中に声が響く。

 これは……『声玉』?


「え?ちょっとこれどういうこと?」


 報告書の署名が少しずつ消えていく。


『それじゃあ、未来でまた会おうぜ。その時はよろしくな、母さん』


「!?」


 慌てて索敵をするがアルはどこにも居なかった。

 同時に、アルに関する記憶も少しずつおぼろげになっていく。

 

「アークトゥルス……愛称はやっぱりアルなんだね。ホント、キミって嘘と本当を混ぜまくるっていうか……うそつきは泥棒の始まりだよって教えてあげないと……」


□□ 

【ホマレ視点】


 全く。コスト削減の努力はいいけど危険だったら意味が無いだろうが。

 別部署に任せるがこいつら所属の商会は叩けばほこりがあちこちから出てきそうだな。


 事情聴取を終え詰所で待ってもらっていたナギに声をかける。

 するとナギは涙ぐんでおり心臓が撥ねるのを感じた。


「ど、どうしたんだ!?え?俺何かやっちゃった?」


「え?いや、何だろうね。ナギもよくわからないけど涙が出ちゃってさ。何でだろうね」


 もしかして朝の『子ども欲しい問題』がナギにプレッシャーを与えていたのか?

 これはいかん。こういう時どうしたら……


「あのさ、ホマ。話があるんだけど」


「えっ、えっと……はい。何でしょう」 


 すっげー冷汗が流れてる。

 

「朝の事。子ども欲しくないってナギ言ったよね」


 やっぱりそれかぁ……


「えーと。それなんだけど」


 本当は欲しいけどナギがどうしてもダメと言うならそこは尊重したい。


「やっぱり、ナギ欲しいかも」


「え?」


「ナギが一番最初だからね。みんなのお手本になってあげないとね」


 それってつまり、子どもオッケーって事?

 俺の子を産んでくれるって事か?


「その代わり、名前はナギが決めるからね」


「あ、ああ!いいよ!勿論だよ。ああ、良かったぁ」


 ナギの手を取り跪き喜ぶ。


「あのさ、一応ここは職場なんでラブロマンスは家でしてくれないかな?まあ、何かわだかまりが消えたみたいで良かったけどさ……」


 上司且つ義母が呆れた表情で俺達を見ていた。

 

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