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第79話 アナザーデュランダル

【ホマレ視点】


 突如として現れた巨大飛竜。

 アルによれば三日月竜シディムというらしい。

 このサイズ感と威圧感。うん、これ色々とダメな奴じゃね?

 あれだよ。ラストダンジョンの特定フロアうろついてたり何故か宝箱から出てくるタイプの臭いがプンプンするぞ!?

 エンカウントしたら逃走とかしないと初見殺し的な技で全滅するあれだ。倒したらレアアイテムや大量の経験値がゲットできるとか考えてしまうな。


 のっそりと動くシディムに対し威嚇していたアカメクックが飛びかかる。

 だが軽く頭を振る動作により角で衝かれ宙を舞い無残にも地面に突き刺さってしまう。

 バブルヘッジホッグも泡を吐くものの意に介さない様子でゆっくりと歩みを進めて踏みつぶしてしまった。

 更にモンスター達が集まって来る。いずれも中級~上級のモンスター達。

 シディムの角が急激に震えはじめた。

 そして身を起こし口を大きく開く。


「ブレス攻撃だ!出来る限り離れろ!後、防音対策も!!」


 アルの叫びを聞き俺はナギの腕を掴んで退避する。

 同時に強烈な『音の爆弾』が炸裂して地面が抉れ大爆発が起きた。

 シディムを囲んでいたモンスター達は一斉に吹き飛ぶこととなった。

 俺達も衝撃で飛ばされ地面を転がる。

 ナギが直前にシールドを張ってくれたから鼓膜はギリギリ無事だが耳がキンキンする。


「あぅ……い、今のって『音』だよね?」


「ああ、超音ブレスだな」


 まさかナギのドラゴン版が出て来るとはな。


「今さ、ナギみたいなドラゴンだと思ったでしょ?」


「ご明察」


 まあ、身体のサイズが圧倒的に違うので威力も桁違いだけどな。

 だが反面消耗も大きい様で疲労が見て取れた。

 良かった。あんなもの何度も撃たれたらたまったものじゃない。


「アルは!?」


「飛ばされたっぽい。今のでナギも耳がおかしくなってるからちょっと捜索に時間かかるかも」


「わかった。無理はするなよ!それと、後で大事な話がある」


 俺はすぐさまデュランダルに変身。

 威嚇姿勢を取るシディムの前に躍り出た。


『ちょっと、いつかのセティみたくフラグ立てないで!』


 抗議を受けました。

 いや、確かにちょっと死亡フラグっぽいがほらあれだ。変身したら大抵のフラグは折れる。

   

「ガァァァァァァァアll!!」


 咆哮をあげながらシディムが突進してきた。


「光の戦士を甘く見ては困る!」


 俺は突進をっ正面から受け止めようとするがあっけなく角で衝かれ宙を舞う。

 あー、これってダメじゃん。やっぱりちょっと甘く見てくれませんかね?

 直後、反転したシディムの再突進が直撃して俺は地面を転がり岩にぶつかって止まった。


「ホマ!」


「ああクソ、何だよあの脳筋全振り攻撃は!それなら!!」


 身体を震わせ力を引き出す。

 先日習得した強化形態、ランペイジ・デュランダルへ強化変身をして凶暴な飛竜を迎え撃つ。

 三度目のタックルを繰り出して来るシディムに対し俺は両腕に力を込め真正面からパンチを繰り出した。


「ランペイジツインブレーカー!!!」


 結果は相殺。

 俺自身の身体も大きくのけぞる事になった。


「あーくそ、何ていう硬さだよ!!」


【アル視点】


 少し耳が痛いが何とか戻ってこれた。

 確認すると二人ともも健在だ。良かった。

 まあ、あの程度であっさり死ぬような二人じゃないし死なれたらマジで困る。

 そしてどうやらあいつ、変身して戦ってやがるな。既に強化形態にまでなっている。

 あのモンスターレベルになるとそれが妥当だ。

 それでもまだ4対6くらいでモンスターに分があると見た。


「正面から迎え撃つとか馬鹿のやる事だけど、レム家らしさは全開だな。へへ、そういうの嫌いじゃねぇぜ」


 とは言えこのままだとジリ貧になるのは目に見えている。

 正直、シディム級のモンスターと出会うなんて予想外だった。


「死なれても困るわけだし。仕方ねぇ。ここは俺様が一肌脱ぐとしますか」


 両手を胸の前でクロスさせ息を吐く。

 光が身体を包み込み力があふれ出してきた。


「それじゃあ行きますか!!」


【ホマレ視点】


 小細工なしに突撃して来るパワータイプ。

 正直嫌いじゃないがまさかランペイジとも互角以上とは。

 普通こういうのって強化されてからしばらく無双状態になるもんじゃねぇのか?


『パワーアップ形態って1か月くらいは無双するよね?』


 ナギが『声』を飛ばして来る。

 うん、そうだよな。普通はパワーアップ形態になれば終了の合図なんだが…… 

 まあ、相手が悪すぎるんだろうな。


 そんな事を考えている時だった。

 不意に現れた青い光球がシディムの脇腹に突撃しその巨体を吹っ飛ばす。

 そして着地した光球の中から頭部にクリスタルが埋め込まれた戦士が姿を見せた。

 細部こそ違うがあの姿は……


「ウソ、デュランダルがもうひとり!?」


 ナギが驚くの無理はない。

 間違いなくその姿はデュランダルだった。


「お前は……デュランダル?」


 あれ?俺はここにいるんですけど?


「そうなるな。さしずめ、『アナザーデュランダル』って所だ」


 デュランダルが俺の他にも……

 というかデュランダルって個人名じゃなくてこういう『戦士共通の名前』だったのか。


「お前は一体……」


「ハンッ、気にするな。一人じゃ苦労すると思ってな。特別に力をかしてやるぜ」


 この声、どうも知っている感じがするのだが不思議な事に思い出せない。

 何かこう、認識に対して阻害するフィルターが掛けられているみたいな。


「男が細かい事は気にするな。今出来る事に全力を尽くすことだ」


「その考えって……」


「まあ、祖母さんには『ちょっとは気にしなさい』って不評だったらしいんだがな。ハハッ」


「何だろうな。嫌いじゃないぜ。よし、それじゃあこのドラゴンをぶちのめしてやるか!」


 こうして、光の戦士による同盟(タッグ)が結成された。 

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