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第7話 納品完了

【フリーダ視点】


 わたし達はホマレのお姉さんの家に釣り上げた魚を納品しに行く。

 今回の依頼は冒険者ギルドを通したものではなく個人の『おつかい』だったけどわたしが冒険者としてやっていけるかの講習兼見極め的な意味合いもあったらしい。

 ホマレが言うには『まあ、ギリでいけるんじゃね』って事らしい。ギリなんだ……

 ということで後日、わたしは正式に冒険者として登録に行く事にしよう。


「ミラトラウト2匹。確かに受け取ったわ。ありがとうね。今夜はこれをソテーにするわ」


 ホマレのお姉さんであるリリィさんが魚を受け取り微笑んだ。

 ついでに湖に落ちてびしょ濡れだったので服を着替えるよう言われ彼は奥の方へ。

 旦那さんの服を借りる事となったんだけど……


「おお、姉さんが干して取り込んで畳んだ服……あぁ、何て神々しいんだ!!」


 渡された服に対し感激のあまり涙を流していた。

 本当に大丈夫かな。シスコンもあそこまで行くと不安になるけど。

 お姉さんも弟の奇行に少し呆れていた。


「ごめんなさいね。あの子、昔から私の事が大好きで……ちょっと行きすぎな所があるのよね。ただ、家族思いのいい子なのよ?」


「まあ、確かに基本はいい人ですよね。何だかんだで面倒見も良いし。わたし、小さい頃に彼と一回だけ一緒にパーティを組んだことがあるんです。荷物持ちで、役に立たなくてすぐに解雇されちゃったけど……」


「あぁ……あの頃ね。ごめんなさい。あの頃の弟は傲慢だったでしょう?」


「まあ、そういう所もありましたね。でも、わたしを追い返したのは彼なりの優しさがあったんじゃないかなって思うんです。親の反対を押し切って家出同然で出て来て冒険者になるんだって息巻いていたけど体力も実力も、何もかもが足りてなかった。そのうち大怪我したり死んでいたかもしれない。だから彼は敢えて厳しくしてわたしを村へ追い返したんじゃないかって」


 だからわたしは今度こそお荷物にならない様に自分を鍛えた。

 まあ、それでも今の所やっぱりお荷物であることに変わりはないらしい。


「うーん、いい風に捉えてくれてるみたいだけど……実際は何を考えてるんだろう?あぁ、でも……何か今日のあの子は楽しそうだったかな」


「え?」


「本当はもっと冒険者を続けたかった思うわ。でも……ある日を境にあの子は『神童』って呼ばれていた力を失くしてしまった。そこであの子の世界はガラッと変わってしまったの。まあ、大人しくてかわいい弟が戻って来たから悪い事だけじゃないんだけど……」


「本人は力を『何処かに置いてきた』って言ってましたけど、でも本当にどうしてあんな」


「…………私のせい、かもしれない」


「え?」


 思わぬ言葉にお姉さんの方を見ると唇を噛み、辛そうな表情を浮かべていた。


「…………いや、何となくだけどね。ちょっとあの時期に色々あって、丁度それと重なってるから……」


 どうやら何か深い事情があるみたいだ。

 多分、私はそこに踏み込んではいけない。そんな気がした。


「力を失うと同時にあの子の周りに居た人達は次々に去って行った。残ったのは私達家族だけだったわ。元々シスコン気味だったあの子が重症化したのはそこからね。今は、社会人になってちょっとずつ他の人達とも関係を構築していけているみたいだけど……」


「そう、なんですね……」


 あいつは急に周りの人間関係を失ったんだな……何か、寂しいな。


「でも、あなたみたいな人も居てくれて姉としては嬉しいわね」


「え?」


「あなた、ホマレに憧れて冒険者を志したんでしょう?多くの人達が去って行った中、あなたは近づいてきてくれた。ありがとうね」


「いえ、そんな……」


「ふふっ、その内あなたが私たちの妹になるかもしれないわね」


「いや、それは……」


 だからそうなるとわたしがあいつと結婚しないといけないじゃないか。

 あの重度のシスコンぶりと今日の感じから見れば女性に興味無さそうだし、そういう未来は無さそうだなぁ……


「冗談よ。でも、あの子昔は女癖が悪かったからもし変な事されそうになったら私に言ってね。責任を持ってぶちのめすから」


「あはは、そ、そうですね……」


「それにしても、謎の戦士、『デュランダル』か…………」


 お姉さんは何か考えていた。


「どうしたんですか?」


「え?あぁ、いや。何でも無いわ。どこかで聞いた事がある気がしただけ。多分気のせいだと思う」


 やがて、ホマレが興奮した様子で着替えを終えて出てきた。


「今気づいたんだけど義兄貴(あにき)がこれを着て姉さんに抱き着いたりしてるって事は俺は間接的に姉さんとハグしていることになるんじゃないだろうか?」


 いや、何でそうなるんだよ……

 このシスコンぶりには流石のお姉さんも頭を抱えていた。


「あんた、年々シスコンぶりが重度化しているじゃないの。この子、本当に大丈夫かしら」



QUEST CLEAR

報酬

1800ゴルト獲得


魔物素材「放電怪魚の発電核」を入手。

魚類「アーモンドフィッシュ」4匹入手。商会にて1200ゴルトで換金。

フリーダが冒険者として踏み出す決意を固めた!!


第1章 完


次回より第2章開始。

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