第41話 特殊個体ハンター
【ホマレ視点】
コンブビースト達にフリーダは身体から出した糸を結び付けていく。
「ナギ!頼んだ!!」
「了解ー!!」
年下村娘の要請に答えた年上元聖女が『声』を紡ぎ歌を奏でる。
「エンチャントソング“炎”!!」
フリーダの糸にナギの炎付加が加わり合体技が発動した。
「緋熱糸衝ッッ!!」
高熱を帯びた糸が次々とコンブビースト達を斬り裂いていく。
見事な合体技だな。あのふたり、コンビネーション抜群だ。
まあ、油断していると俺の仕事が無くなって本当に『ヒモ』みたいになるから気をつけないといかん。
襲い掛かって来るコンブビーストの攻撃を避けながら俺は剣を向ける。
そして突きを繰り出すと数体のコンブビーストの胸を貫く。
刃は肋骨の間を抜け内臓を抉り止めを刺す。
コンブビーストの実態は特殊な名昆布を纏った二足歩行のラッコ型生物。
毛皮に覆われており尚且つその骨は頑強。並の武器なら刃こぼれしてしまう。
ならばどうするか?俺の出した答えは『骨にあたらなければいい』。
力を一点集中し、かつ肋骨の間を抜くように貫くことにした。
あれだ。『当たらなければどうという事は無い』だな。いや、何か違うか。
簡単そうに言っているが結構繊細な作業だったりするのでそこは過去の経験が生きてきたって事だな。
俺は向かってくる獣たちを次々と貫き倒していきパーティのリーダーとしての面目を保っていく。
コンブビースト達もこれは叶わないと理解した連中は海へと逃亡を図る。
向かってこないものの命をわざわざ奪う必要も無いので追撃はしない。
そもそも、おふくろの依頼は別にこいつらの討伐では無い。
海へと逃げたコンブビーストだが突然、水中より現れた巨大な怪物に噛みつかれ空高く持ち上げられた。
そう、今回の依頼はこいつの討伐。名は『お化けウツボ』。体長が10mにもなるとんでもないウツボだ。
どうやら最近このお化けウツボの群れがヴェラザノ海岸で目撃されているらしい。
危険だという事で駆除対象になったわけだ。
何でそれがおふくろからの依頼かと言うとこのヴェラザノ海岸に『海水浴場』を作る気らしい。
多分、また親父から地球の文化について聞いてビジネスチャンスを見出し、この世界で海水浴場を成立させるためにはどうすればいいのか考えたのだろう。商魂たくましい人だ。
QUEST5
お化けウツボの群れの討伐。
ランクB
報酬:20万ゴルト
「よーし、それじゃあいっちょやります……か!?」
お化けウツボの相手をしようと構えたのだが何と出現したお化けウツボの脇から2体、お化けウツボが出現。
「うわっ、増えたぞ、ホマレ!!」
フリーダも槍を構え迎撃態勢を取るが……
「二人とも気を付けて、まだ海中にいるよ!!」
更に数本のお化けウツボが次々と海面より姿を見せる。
どうやら群れでお出ましらしい。探す手間が省けるが一度に複数体相手するのはなかなか厄介だな。
「あれ?えっと……これ、『1体』じゃん」
ナギがつぶやいた言葉。
その意味はすぐに分かった。海面から更に姿を現したウツボの合計は8体。
そしてそれらは全て一体の獣の胴体から生えている『首』であった。
「なななな、何だそりゃ!!!」
恥ずかしながらも流石にこれはビビる。
これはヤマタノオロチならぬヤマタノウツボじゃないか!!
「うわー、超キモイね。こんなモンスターもいるんだー」
「あー、悪い。またわたしが『特殊個体』を引いちゃったな」
女性二人は割と呑気に巨大モンスターを眺めている。
なんというか結構、胆が据わって来たな。
まあ、俺達のパーティってフリーダの糸による影響で『特殊個体』に遭遇する確率が結構高いんだよな。
あんまりにも特殊個体を討伐するものだから『特殊個体ハンター』って異名まで付けられてる始末だ。後、その特殊個体も新種だったりする事が多い。
まあ、確かに慣れたけどさ、特殊個体。
「雷鳴フォーク!!」
巨大なフォークの形になった雷エネルギーが1つの頭を貫く。
「フィリー、水辺だから雷の扱いは気をつけなきゃじゃん。エネルギーが分散して威力落ちるし、下手したらナギ達の方が感電するからね?」
「あっ、忘れてた。ごめん」
フリーダは舌を出して肩をすくめる。
1つの頭がフリーダ目掛けて伸びていくが途中でバッサリと輪切りにされて砂浜に落ちた。
「スパーダソング。切れ味には自信があるんだよねー。これで残り6体」
RPGのラストダンジョンでエンカウントしそうないかつい見た目だが意外と防御力は高くないらしい。
それならば、と俺は手を掲げデュランダルに変身。
両肩のアーマーを外し刃にすると投擲する。
宙を舞う刃が次々と頭を斬り裂いて行く。
そして残る頭がひとつになった所へ渾身のビームを叩き込んだ。
「レッキングスマッシャーッッ!!!」
直撃受けた最後の頭は口から血を吐き砂浜に叩きつけられると数度痙攣し、動かなくなった。
「心音の停止を確認。倒したよ!」
「よしっ!わたし達にかかれば、ざっとこの通りってね!!」
フリーダとナギがハイタッチして勝利を喜ぶ。
俺も変身を解くとふたりとハイタッチ。
それにしてもこれ、いつもの事だけど追加で報酬貰わないといけないな。
QUEST5※情報修正
ヤマタノウツボの討伐。
ランクB+
報酬:20万ゴルト+α
---------モンスター名鑑---------
ヤマタノウツボ
種族:水棲ドラゴン系
体長:17m
危険度:上級Lv4
『お化けウツボ』が突然変異して巨大化した特殊個体モンスター。8つの頭を持ち『昏倒ブレス』を吐く。
本来のお化けウツボは中級Lv5程度のモンスター。群れだと思われていたが実は1体のモンスターだった。




