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第24話 納品、そして聖女※挿絵あり

今回より二人目のヒロイン登板。

次話より第4章開始です。


2023/02/01 ナギの挿絵挿入



【???視点】


「キミも運が無いよねー。まさかナギの居る方向に逃げて来るなんてさ」


 視界の先では戦場からこちらに逃げてきた脱出ゴーレムがバラバラになっている。

 面倒くさかったけど一応撃墜しておいた結果だ。


「それにしても『ホマ』の傍に居た子がお母さんが言ってたホマの『彼女』なのかな。ねー、キミ何か知って…………って答えられないか」


 視線の先、仰向けに倒れている女性は白目を剥いて倒れていた。

 ちょっとやり過ぎたかなぁ。

 

「うーん、興味あるなー。キミがお姉さんや妹さん以外で『好き』ってなる女の子。ナギより若い感じだったけどやっぱり男の子って若い子がいいのかなぁ。ねー、その辺どう思う……ってそっか気絶してるんだね」


 ところでこれ、やっぱり連れて帰らなきゃダメかな。

 あー、面倒くさいなぁ。それなら撃墜なんてしなけりゃ良かったなぁ。


「あの子と何処まで行ったのかなぁ。何か昔のホマって女癖悪かったらしいから……うーん……どう思……ってああそうだ。気絶してるんだ」


【ホマレ視点】


 小屋に戻って変身を解くとそこにフリーダが入って来た。


「よっ、無事か?まあ、大丈夫だとは思ってるけどさ。わたしが心配して見に行かないとなんか不自然に見えるだろ?」


 流石は正体を知っている『共犯者』ポジションだな。

 アリバイ工作もばっちりだ。なかなか解っている。


「ああ、すまんな。ダメージの方は多少あるけど問題はないさ」


「結構きついのが叩き込まれてた気がするけど怪我なしか」


「まあ、『普通なら』ヤバめの一撃だった」


 即死ダメージは受けた事が無いが下手したら変身する間もなく息絶えるかもしれない。

 それでなくとも大ケガなんかをしていたらなら変身後のコンディションに影響したりもする。


「ん?『普通なら』ってどういうことだよ?」


「どうやら近く……いや、『遠く』と言った方がいいかもしれんが知り合いがいたらしくてさ。障壁を張ってくれたんだ」


「は?何それ?」


「まあ、近々わかると思うぜ。どうせ姿を見せてくるだろうから」


 あいつが戻って来たなら恐らく面倒くさい事が起きるだろうけどな。

 その辺もフリーダが『引き寄せた』ものかもしれない。


 俺達が外へ出るとニョッキがゴーレムの残骸を調べていた。


「よぉ、無事だったみたいだな」


「運よくこの通りな」


「そりゃよかった。そういや変なものが内部から見つかったんだ」


 ニョッキは残骸の一部から人形を取り出した。

 それは、俺達が探し求めていた『ローゼンドール』であった。


「それ!俺達が探してた人形だわ」


「そうなのか?何でこんな所に入っていたかわからないけど、必要ならやるよ」


 ニョッキはこちらに人形を投げて寄越した。

 いや、扱い!!

 壊れたらどうするんだよ!!


「俺の方は残骸でも少し貰って行こうかな。あー、でも俺が倒したわけじゃないしなぁ」


 こいつ、意外と真面目だな。

 冒険者の中には他の冒険者が倒したモンスターから素材をはぎ取って売るような連中もいるからなぁ。


「まあ、でも。さっきの戦いはあんたも大活躍だったぜ。流石は中級冒険者ってところだ。だからさ、分け前を貰っておいてもいいんじゃないか?」


「おっ、そ、そうかなぁ。へへ、それじゃあ遠慮なく」


 まあ、実際最終的にとどめを刺したのは俺が変身したデュランダルだったがこいつも結構動いてくれていた。口だけの冒険者じゃないってわけだな。


「なぁ、ホマレ。その人形……」


「ああ。これが『ローゼンドール』だがどうした?」


「いや、その人形のつけているブローチ……」


 言われてみれば人形には真っ赤なブローチが付けられていた。


「これは……後からつけられたものだな。これがどうかしたか?」


「いや、何て言えばいいんだろうな。ふと気になっただけだよ」


 何だ?変な奴。

 かくして俺達は巨大ゴーレムを討伐した上でローゼンドールを入手することに成功した。


□□


 後日、俺達はギルドの応接室で依頼主であるカリスト家の元ご令嬢と会っていた。

 旧領を出てから彼女は商家の人間と結婚したらしい。

 彼女は想い出の品を回収してくれたことを大変喜んでくれた。

 そして……


「この子がつけているブローチですけど、お譲りしますね」


 彼女は人形が身に着けていたブローチを譲ると言い出した。


「え?でもこれ、高価なものなんじゃ」


「鑑定してもらった所、魔道具の一種らしいんです。それで、ウチには冒険者は居ませんしあなた達にお譲りした方が役に立つんじゃないかと思って」


 魔道具か。

 我が家は物理主体なんであんまり使った事無いんだがなぁ。


「ところで、どういった効果が?」


「それが……よくわからないらしいんです」


 となると『性能解放』が必要な品物か。

 意外な掘り出し物かもしれんな。

 俺達は依頼主に礼を言い、『謎の魔道具』を受け取った。



□□□

 

 ギルドからの帰り、フリーダが呟いた。


「わたしさ、時々『糸』が見えるんだ」


 やはり、『糸』がこいつの能力か。


「自分でもよくわからないんだけど、色も種類が幾つかあってそれを追いかけてみたら目的地につけたり、敵の攻撃もそれで反れたり。これって一体なんだろう?」


 不安を感じている。

 そんな表情だ。


「俺もよくはわからない。だけどそれはもしかしたら『道標』かもしれないぞ」


「道標?」


「ああ、俺達ふたりの行く道を示す『道標』だ。だから怖がるな。俺が居るから」


 俺の言葉にフリーダの顔が赤くなる。

 あれ?俺何か変な事言ったか?


『ほんと、キミってそーいう所相変わらずだよねぇ』


 声が耳に飛び込んで来た。ゴーレムと戦っていた時にも聞こえた声だ。

 フリーダにも聞こえたらしく慌てて周囲を見回していた。


「いや、恐らく近くには居ない」


「え?それってどういう事だよ!?」


「姿は見せず遠くから俺達に語り掛けている。そういうやつなんだ」


「ホマさぁ、何かその言い草って酷くない?キミはナギの何を知っているわけよ?」


 前方よりの声だった。

 ああ、これは予想外だったな。

 声の主はゆっくりと俺達の方へと歩いて来ていた。

挿絵(By みてみん)


「ホマレ、この人って」


「ああ。前に言った知り合いだ。名前はウォーグレイブ・ナギ。ウチの隊長の娘さんであり、イリス王国所属の『静寂の聖女』様だよ」


 さーて、面倒な事になったな。

 こいつが何も騒ぎを起こさずに消えるとは思わない。


「あの隊長さんの?しかも、せ、聖女様!?」

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