表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/146

第23話 ゴ-レム撃破!!

【ホマレ視点】


 嫌がらせに来たという魔法剣士だが中々どうしていいやつではないか。

 やはり男同士だとロマンがわかるというものだ。


「よし!ここはお互い協力して切り抜けようぜ!!」


「何だと!?誰がお前なんかと!!」


 ああ、折角わかり合えたと思ったがそこはダメなのか。

 どうしたものだろうか。


「なあニョッキ!あんた魔法剣士だよな?わたしもホマレもそんなの使えないからどんな技が使えるか見てみたいなぁ」


 フリーダがニョッキを持ち上げてみる。確かに俺も魔法剣は使えない。

 いや、だけど流石にこれで『それじゃあやってやるぜ』ってなるやつは居ないだろうよ。


「仕方ねぇな。見せてやるぜ」


 ここに居たわ。チョロいな、おい。

 とりあえずフリーダが意外と有能と言いたい。

 視線を送って彼女の健闘をたたえておく。


風魔剣(ウェント・ラディウス)!!」


 掛け声と共にニョッキの剣に風属性が付与される。

 ああ、思った以上に素早い属性付与が可能だな。

 もう少し時間がかかるかと思っていたが、こいつは意外と出来る系かもしれない。


 風の力を纏った刃をゴーレムの足に叩き込むとゴーレムがわずかにのけぞる。


「あれ?ホマレあの反応って」


「ああ。どうやら風が『弱点属性』らしいな。弱点を突くことが出来れば能力的に不利な相手でもある程度有利に立ち回ることが出来る様になる」


 まあ、それでも限界はある。

 わずかながらものけぞらせることが出来ているのは弱点属性をついている事と純粋にニョッキの実力が一定以上の水準にある証拠だ。


<チッ。こんな雑魚如きに!!>


 ゴーレムが腕を振り下ろす。

 緩慢な動きなのでニョッキはそれを避け振り下ろされた腕に剣を叩き込むが弾かれてしまう。


「おおっ!?」


「そうか。4体合体だから部位によって弱点が違うのか!本格的だなおい!!」


「マジかよ!そいつは燃える展開だな。それなら、炎魔剣(フラナ・ラディウス)!!」


 ニョッキは素早く火属性を付与させる。

 ほう、こいつは中々。大抵の場合は自分の得意属性がメインになる。

 なのでこの男の場合だと風属性で魔法剣を使えるなら他の属性は魔法剣として使える程の練度で無い事が多い。


「ニョッキ、お前さん何属性を魔法剣で使えるんだ?」


「ああん!?4属性だ!火、風、土、光!!」


 この魔法剣士、思った以上に優秀じゃねぇか。

 俺が昔組んだことがあるやつでも2属性までしかその水準じゃなかったぞ?

 

 ニョッキの攻撃はまたしても腕に弾かれる。

 どうやら腕の弱点は火でもなかったらしい。

 となると残り2属性が弱点だとラッキーなんだが……


雷鳴(らいめい)ッッ!!!」


 そんな中、フリーダが槍を構えると穂先から雷が迸りゴーレムの右腕を貫いた。

 ダメージが通った瞬間、大きく手を跳ね上げるゴーレム。ああ、これは……


「ナイスだ!フリーダ。どうやら両腕は雷が弱点らしい!」

 

 ゴーレムの腕は元々同じゴーレムが分離変形しているので左右共に同じ弱点だ。

 しかもダメージは結構通っている雰囲気だ。

 だが何よりもナイスなのは……即興で技名を叫んでいるという点。作法がよくわかっている。


<くっ、その雷攻撃……まさか私のかわいいペットちゃんの……>


 気づいたか。

 そう。フリーダが持つ槍に使われている素材はこの女のペットという巨大ウナギから取られたものだ。

 後はボディと頭部の弱点が分かればかなり有利に進められるはずだが……


<許さないッ!!>


 キュレネが叫んだ瞬間、ゴーレムの身体から生えている棘が数発上へと発射され降り注ぐ。


「危ない!避けるんだ!!!」


 俺達は棘を避けていくがその内一発がフリーダに直撃コースだった。

 マズイ、あれに当たたらタダじゃ済まないパターンだ!!

 だが叫ぶより前に奇妙な事が起きた。

 明らかに避けそこなって直撃コースだった棘がフリーダに着弾する直前、露骨に軌道を変えて少し離れた地面に突き刺さった。


「え?な、何だ今の?明らかにわたしに当たるような軌道だったのに……?」


 一瞬、フリーダの周囲に何か『糸』の様なものが漂っているのが見えた。

 もしかしてあれ、こいつの『能力』なんじゃないのか?

 完全には使いこなせていないけど防衛本能が働いて攻撃を反らした?


 そんな事を考え足を止めていると……


<隙ありだよ!!>


 一気に接近して来た巨大ゴーレムの薙ぎ払いが俺目掛けて……

 

「しまっ!!」


『よそ見とかダメじゃん。下手したら死んでるよ?』


 腕が激突する瞬間、聞き覚えのある声がした。

 更にはダメージが軽減されるように『ある障壁』が鎧の様に俺に貼られていた。

 この声は……まさか『あいつ』がどこかに居る?

 だとしてもあいつの『能力』の性質上、『近くとは限らない』か。

 

 だが助かった。障壁のおかげでダメージは相当軽減されつつも俺はそのまま空中を舞い大きく飛ばされる。


「一見ピンチだが、そう、これがいい。丁度いいってやつだ」


 生身の状態でギリギリまで頑張った。

 そして飛ばされた俺が落ちる先は小さな小屋。実に理想的だ。

 これで一時的に周囲の『視線から消える』事が出来る。

 屋根を突き破って小屋の中に叩きつけられる瞬間、身体の奥底から力が沸き上がり変身していくのを感じた。


 俺はデュランダルに変身するとそのまま突き破った屋根の穴から飛び出す。


「よし来たっ!!」


 フリーダが勝利を確信して拳を突き出す。

 やっぱりこいつは俺=デュランダルと『認識出来ている』な。

 一方でニョッキだが……


「何だよあれ!?」

 

 当然、概念レベルで俺とデュランダルの関係は『認識出来ていない』。

  

「やべぇ、かっこいいじゃねぇか!!!」


 うん。このかっこよさがわかるって事はあいつ……むちゃくちゃいい奴だな。仲良くなれそうな気がする。

 だが今すべきことは別にある。


「ここからは、俺のターンだぜ!!」


 あいさつ代わりに空中から急降下キックを放ち先ほど俺を飛ばしてくれた右腕を破壊する。


<なっ!?>


「まだだぁぁぁぁ!!」


 ゴーレムの巨体に飛びかかるとボディ部分にチョップを連打。

 棘を飛ばして反撃に転じてくるが全てチョップで落としていく。

 お返しとばかりに頭部パーツに力いっぱいパンチを叩き込む。

 それによりゴーレムが大きくのけぞり頭部パーツからは煙が上がった。

 更には残った左腕を掴み一本背負いでその巨体を投げる。


「な、何じゃありゃぁぁぁ!!?」


 目の前で起きている光景にニョッキは理解が追い付いておらず慌てふためくのみ。

 俺の正体を知っているフリーダはと言うと……ああ、なんかすごく苦笑してる。


 む、巨大ゴーレムの一本背負いはやり過ぎたか?

 それならばと俺は倒れているゴーレムを持ち上げると飛び上がり。


「デュランダルバスター!!」


 ブレーンバスターで投げた。


「そうじゃなぁぁぁいい!!」


 フリーダが叫んでツッコミを入れた。

 え?違うの?

 ていうか俺が考えていたこと伝わってた?

 

 だがどうやら今の一撃でゴーレムは機能停止したらしく動かなくなった。

 そしてボディの一部が分離して射出される。

 脱出カプセル型ゴーレム!?おいおい、どんだけロマンに満ち溢れた事をしてくれるんだよ。


<お、覚えていなさい。変な戦士!!!>


 『変な戦士』扱いされたのは心外だがある意味テンプレートな捨て台詞と共に脱出ゴーレムは高速移動で姿を消していった。

 同時に巨大ゴーレムの合体が解かれガラガラと音を立てて崩れていく。即ち決着というやつだ。

 結局キュレネという女が何で襲って来たかなどはわからないまま逃げられてしまったが……あーいや、もしかしたらだけどあいつの『運が悪ければ』逃げた先でアウトになるかもしれないな。

   

 俺は光の玉になるとさっき変身した小屋へと高速で戻っていく。

 客観的に考えれば明らかにバレバレだけど、不思議な事に現状フリーダ以外にはバレないんだよなぁ。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ