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第22話 男の夢

【ホマレ視点】

 

 やべぇぇ!

 合体変形ロボとかヤバいだろ。

 正確にはゴーレムだがこんなすげぇものに出会えるなんて。

 心が躍りすぎる!!!


「よくわからないけど戻って来てくれよ。あれは敵だから!ヤバい状況だから!!」


 フリーダは俺と対照的に慌てており俺の肩を揺さぶっている。

 いやいやそう言うけど、あれはな、男の夢なんだぞ?


 とか考えていると巨大ゴーレムが右腕を振り上げ叩きつけてくる。

 流石にあれを喰らうとヤバイな。

 

「かっこいいけど、潰されちゃかなわん!反撃させて貰うぜ!」


 俺はナイトサーベルを構えると飛びかかる。


王左門(キングサーモン)ッ!!」

 

 放ったのはアリス姉さんが得意としていた技。

 振り下ろされた右腕目掛け力の限り斬り上げる!!

 金属がぶつかる音が響き弾かれるようにゴーレムの腕から離れた。


「チッ、予想以上に防御力が高いな。やはり姉さんみたいにはいかないか」


「てか今のでサーベル壊れないのかよ!?」


「まあ、色々あってな」


 サーベルに『闘気』を纏わせたからな。

 こいつを纏わせることで肉体は恐ろしく頑丈になるし武具の性能や耐久力は飛躍的にアップする。

 ただ、闘気を操るにはある程度の『素養』が必要だ。 

 幸いにも俺にはそれがあった。


 我が家で闘気を使えるのは親父、おふくろ、三女のアリス姉さん、四女であるメール、そして俺くらいだ。

 万能系である長女のケイト姉さんやリリィ姉さんが使えないのが意外だ。

 一番得意なのはメールで1歳くらいから使えていたからな。

 逆に俺はかろうじて使える程度でしかない。アリス姉さんが同じ技を使っていたらゴーレムの腕は綺麗に吹っ飛んでいただろう。


「それにしても攻撃が通らないのはまずいな。仕方ない。ここは奥の手を使うとしよう」


「まさかデュランダルになるのか!?」


「いや、ちょっと事情があって今は変身できないんだ。その辺も話しておかないといけなかったな。とりあえず今考えている策って言うのはな、この脚を使うんだ」


「脚だって!?まさか何か強力な武器を仕込んでるとか……」


 俺はフリーダの腕を取るとゴーレムに背を向けて走り出す。


「逃げるんだよ!!」


「ええっ!!?」


 ほら、『三十六計、逃げるに()かず』って言葉があるくらいだからな。


「な、何で変身できないんだよ!?」


「条件があるんだよ。ひとつめは誰かに見られていない事。何かお前は色々例外っぽいからお前の前でも変身は出来そうだけど、今は敵さんがこっちを見てるだろ?」


「わ、わたしは例外……へ、へぇ……えっと、ひとつめって言ったって事は他にもあるの!?」


 何だか嬉しそうだな。


「ああ。ギリギリまで頑張ってギリギリまで踏ん張って気持ちが高まらないと変身できん。この前はお前を助けるためにギリギリ限界まで走ってたから湖に飛び込んで即変身出来た!!」


「何だよその面倒くさい仕様は!!?」


 確かに面倒くさい。だけどさ、変身ってそういうもんだろ?


【フリーダ視点】 


 ホマレに手をひかれながら逃げる。意外に紳士的なんだよな。

 ちょっぴりドキドキしてしまうシチュエーションだけど背後から迫ってくる脅威は命の危険がある巨大ゴーレムだ。

 確かにわたしより遥かに強い彼で歯が立たないなら確かに逃げるしかない。

 しかもデュランダルに変身するにも面倒な『条件』が必要らしい。

 どうするんだよこれ!?


「おや、あれは……」


 ホマレが何かに気づく。

 見ればわたしたちの向かう先では両腕を胸の前で組んだ男が立っていた。


「ククク、よぉ、また会ったな」


 あいつは確かさっき冒険者ギルドで嫌がらせをしてきた……何か美味しそうな名前の。


「えっと……ペンネだっけ?」


「違うぞ、フリーダ。マカロニだ」


「どっちも違うわ!ニョッキだ!期待の新人魔法剣士ニョッキだ!!!」


 ああ、そうだ。ニョッキだ。


「それで、ニョッキ。お前さんどうしてこんな所に?」


「ふふっ!さっきは俺の事をバカにしただろ?」


「ああ、わかってたのか」


「フフフ、仲間に言われて気づいたのさ。だから借りを返しにきてやったのさ」 

 

 うわ、面倒くさい男。

 ていうか仲間に指摘されるまで気づいていなかったのかよ……大丈夫かこいつ?


「なるほど、それなら是非とも中級冒険者様の実力であれをどうにかしてくれ!!」


「ん?」

 

 ホマレが指す先には追いついてきた巨大ゴーレム。


「どえぇぇぇ!?な、何だあれは!?」


「聞いて驚くなよ。あれは、変形合体機構を持つゴーレムだ!!」


 ホマレの説明に魔法剣士の表情が険しくなる。


「何、変形して合体……だと」

 

 ごくりと生唾を飲み込むのがわかった。

 ああ、やっぱりとんでもない相手なんだな。


「やべぇ、無茶苦茶カッコいいじゃねぇか!!!」


「お前にはわかるか、きょうだい!!」


「当り前だ!男の夢じゃねぇか!!!」


 こいつもバカだったぁぁぁぁ!!!

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