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第14話 何か見た事あるビームを撃ってます

【ホマレ視点】


 隊長の言う通り、フリーダは見事なまでに『乱入』に遭ってやがった。

 乱入自体は珍しい事じゃないのだけど実際の所同じ地域に生息するモンスターが出てくる程度。

 とんでもない奴が現れてだとかそういう乱入はほとんどなくゲームの中くらいなのだ。


 だが今回の乱入は本来この地域に居ないモンスター、バイコーン。

 はっきり言おう。目の前ではゲームの中でしか起こらない様な特殊イベントが発生していた。


 昔の俺ならともかく中級でも上の方のランクに位置する危険度を持つモンスターだ。

 ここは速やかに撤退、かと思っていたら『いや、そうはならんだろ』的な偶然の積み重ね+俺のツッコミが原因となって見事、敵にマークされてしまった。

 うん。俺のバカ!!


「おいおいおいおいおい、気づかれちゃったぞ!!?」


「ああ、クソ。こうなったら奥の手だ!!」

 

 俺に隠されたヒーローとしての力、デュランダルに変身して戦うしかない。 

 なのだが変身にはある条件がある。

 その為……


「とあっ!!」


 俺は勢いをつけて湖へと身を投げた。


「…………いや、何で!?えぇっ!?何で飛び込んだの!?」


 変身の条件。

 それは……『誰かに見られていない事』である。

 やっぱり変身ってそういう奇妙な『様式美』があるんだなぁ。


 デュランダルに変身した俺は湖から飛び上がりフリーダの前に立つ。


「んんっ!?」


「待たせたな!!」


 まあ、普通ならバレバレなのだがデュランダルに変身さえすればどれだけバレバレな登場をしても正体が俺だと認識を出来ない不思議なフィルターがかかるらしい。

 おかげでデュランダルが出ている時、俺は『いつも居ない奴』って事になるんだけどな……

 まあ、ヒーローというのはそういう宿命なんだろう。


「えっと……ホマレ、だよな?」


「我が名はデュラン…………ええっ!?」


 え?ちょっと待って。

 こいつ今、俺の名前を呼んだ!?気づいてる!?

 あれ?フィルターはどうした?ヒーローのお約束じゃないのか!?


「な、何の事だろうか」


「ホマレだよな?だって湖に飛び込んだ直後に出てきたし……」


 これってもしかして正体がばれて故郷に帰らなくてはならなくなるフラグ!?

 嫌だぁ。姉さんや妹達と離れるなんてぇぇぇ……


「と言いたいところだったがよく考えたら俺の故郷はここだな。となると問題ないのでは……」


「何訳の分からない事を言ってんだよ!ていうか後ろ、後ろ!!」


「え?」


 直後、背後から突進して来たバイコーンに突き上げられた俺の身体が宙を舞った。

 ああ、バイコーンの事完全に忘れてたよ。


「何やってんだバカぁぁ!?」


 バカとはなんだ。

 お前が正体に気づくから驚いてこうなったんだろうが!!

 俺は空中で体勢を立て直すとそのまま急降下してバイコーンの首を極めブルドグヘッドロックで地面に叩きつける。

 だがやはり中級モンスターとなるとこの程度ではびくともしない頑強な首の持ち主。

 起き上がると首を振って無理やりロックを外して角で突き倒されてしまう。

 そして身体を大きく上げると前脚を使い何度も俺の身体に強力なスタンピングを叩きつけてくる。

 変身前なら即死レベルの攻撃だがこの姿なので何とか耐える事が出来ている。

 とはいえ、いつまでも喰らっていられない。だが、攻撃の間隔が短すぎて反撃の転じることが出来ずにいた。


「うぉりゃぁぁぁっ!!」


 側面に回り込んだフリーダがボーンサーベルでバイコーンを斬りつける。

 あのバカ!相手は攻撃を喰らったら即死レベルの攻撃力もちなんだぞ!?

 と言いたいがバイコーンが少し怯んでくれたおかげで隙が出来た。

 

 立ち上がると前脚をホールドして空中へ飛びあがる。

 そして空中で回転し勢いをつけて近くの岩場目掛け投げつけた。

 同時にエネルギーを溜める。

 鎧の至る所が展開。右腕を横に左腕を縦にして十字を組む。

 ちょっと絵面がアレだが大丈夫。俺は『左側が縦』だから。


「ゼピュロォォォスビィィィィィィム!!!!」


 暗紅色のビームがバイコーン目掛け炸裂。

 バイコーンの身体がスパークし、小さな爆発を何度も起こす。

 一度はよろめきながらも立ち上がろうとするバイコーンだが耐え切れずそのまま力なく倒れ沈黙した。


「やった!倒した!!」


 小さく拳を固め軽く突き出すフリーダの傍に降下する。


「な、なぁ……あんた、その……ホマレ、なんだよな?」


「…………」


 どういうわけかわからないが彼女は俺とデュランダルが同一人物だと認識できてしまっているみたいだ。


「………ああ。そうだ。俺だよ」


 変身を解いていく。

 それを見て、フリーダは息を呑みつつ『やっぱり』と呟くのだった。

 

 

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