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【Web版】どうも、勇者の父です。~この度は愚息がご迷惑を掛けて、申し訳ありません。〜  作者: 赤金武蔵
第二章 勇者と父

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第19話 勇者の父、門番長に会う

 アプーの街を出て数日。

 クロア、ウィエル、ミオンの三人は、ようやく王都ニルヴェルトへやって来た。

 アプーの街より巨大で、堅牢な塀。相手を威圧するかのような巨大な門。まさに王都を守る鉄壁の守護。

 クロアとウィエルにとっては十数年ぶりの門だが、ミオンにとってはつい先日来たばかり。しかもいい思い出がない。



「ミオンちゃん、大丈夫ですか?」

「やっぱり近くで待っていた方がいいんじゃないか?」

「い、いえっ。平気です……!」



 笑顔が辛そうで、全然平気そうに見えない。

 二人も、ミオンから王都ニルヴェルト騎士団の対応は聞いていた。

 だから正直ちょっとだけ虫の居所が悪かったのだが、二人も立派な大人だ。腹を立てて、関係が拗れるようなことはしない。



「わかった。でも辛いようだったら、すぐに言うんだよ」

「はい。お気遣いありがとうございます」



 気を引き締めたミオンを見てから、門に向かい歩みを進める。

 門の前で立哨している若い騎士が、クロアたちを見て首を傾げる。

 すると。



「ヒッ……!?」

「おやおや。人の顔を見て悲鳴を上げるなんて……失礼デスネ」

「こらこら、ウィエル。あんまり笑顔で威圧するのはよしなさい。──可哀想ジャナイカ」

「ヒイィッ!?!? ぁ……」



 笑顔の圧と、無表情の圧。

 相反する圧に負け、若い騎士は立ったまま気絶してしまった。



「なんだ、情けない。修行が足らんな」

「この程度の圧で気絶するなんて、騎士団のレベルも下がりましたね」

(今のは同情します。ドンマイです)



 ミオンは心の中で手を合わせた。

 その騒ぎを聞きつけたのか、駐屯所から続々と騎士が出てきた。

 全員武装していて、手には剣が握られている。



「な、なんだ!?」

「貴様、何をした!」

「騎士に手を上げるなど、極刑に値するぞ!」



 仲間が気絶させられ、三人組が近くにいる。勘違いしても仕方ない。勘違いではないが。



「ん? お、おい、そこの兎人族は……!」

「あの時、門番長に食い下がった獣人か!」

「確か村が襲われたとか言っていた……」

「まさか、助けてくれなかったのを恨んで巨人族の助っ人を……!?」



 騎士のヘイトがミオン個人に向けられる。

 怯えたミオンはクロアの後ろに隠れ、体を震わせていた。

 ミオンを庇うように腕を上げ、クロアが一歩前に出る。



「待て。モーラを……門番長を呼んでくれ」

「門番長を得体の知れない男に会わせるわけないだろう!」

「貴様は我々の手で殺す!」



 完全に頭に血が上って、聞く耳を持っていないようだ。

 ここで本当に殺してしまったら、本当の犯罪者になってしまう。それだけは絶対に避けなければならない。

 だが、明らかに訓練の足りていない騎士だ。どれだけ加減しても、間違いなく殺してしまうだろう。

 どうしたものか悩んでいると、背後の扉が開いて一人の男が姿を現した。



「なんだ、騒々しい」

「も、門番長!」

「それが、不逞な輩が仲間に手を上げたようで……!」

「何?」



 門番長、モーラの眉間に深いシワが出来る。

 騎士団は国を守る剣であり、盾である。

 そんな騎士に手を出すということは、国に仇なすと同義。

 国に忠誠を誓うモーラは、燃え滾るような目を相手に向け――



「よ、モーラ。元気か?」

「……………………え。く、クロア……さん……?」



 ――冷水を掛けられたかのように、全身から血の気が引いた。

 同時に、十数年前の記憶が走馬灯のように脳裏をよぎる。

 周りを見渡すが、クロアたち以外に人はいない。

 ということは。



「あ、あの、クロアさん。その……き、騎士に手を出した、というのは……?」

「気絶させたのは俺らだが、手は出してないぞ。圧を掛けたら勝手に気絶しただけだ」

(ですよね……!)



 モーラの体は震えあがり、目が超高速で動く。

 しかし騎士の一人はクロアの言葉を信じていないのか、嘲笑した。



「圧で気絶させただと? はっ、何を馬鹿なことを――」

「黙らんかあああああああああああ!!!!」

「ほべっ!?!?」



 モーラの拳が騎士の顔面を打ち抜き、数メートルも吹き飛ばす。

 なぜモーラが殴ったのかわからず、騎士たちは唖然とした。こんな拳、訓練の時でも受けたことがない。



「き、貴様ら勉強不足がすぎるぞ! この方は約二十年前、国王陛下から『並ぶ者なし』と称えられた最強の男にして、勇者様の父君! それを貴様らは……恥を知れ!!」

「え……えっ?」

「ゆ、勇者様の父君ですか……!?」

「し、し、失礼しましたーーーーッッッ!!」



 事の重大さに気付いた騎士たちが、土下座する勢いで地面に膝をついた。

 モーラもクロアの前に跪き、深々と頭を下げた。



「く、クロアさん。お久しぶりです」

「久しぶりだな、モーラ。悪ガキが今では門番長……出世したな」

「あの時、クロアさんに殴ってもらえたおかげです。それで、どのようなご用件で……?」

「ああ。用事は二つあるんだが……まず、この子を知っているな?」



 クロアが後ろに隠れていたミオンを前に出す。

 と、モーラの顔が絶望に染まった。



「え、と……」

「知っているな?」

「は……はぃ……」

「お前に突っぱねられた彼女が、偶然にも俺に助けを求めてな。そっちの方は解決したから安心しろ」

「そ、それはよかったです」

「はっはっは」

「あ、あはは……」






「じゃ、二十年振りに性根を叩きなおしてやろう」

(あ、今日が俺の命日か)






 その日、王都ニルヴェルトに謎の絶叫がこだましたのは、言うまでもない。

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― 新着の感想 ―
[一言] まあ相手の圧に気付くだけ一応騎士か、下手したら気付かんで気絶だろうし。 悪夢の子弟再会。 20年ぶりの元気ですかーーーーー。by猪木。
[一言] 対勇者征討軍(3人)王都襲来。
[良い点] まあ門番も完全に腐りきっていたわけではないとはいえ、 結果的としては奴隷オークションに繋がるような案件を握りつぶしたと いう事になるからこれ位で済んで良かったかもしれない。
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