「そ、そんな顔されたら、俺、本気になっちゃう・・・」
「きゃー、水が!しょっぱいっ!!晴斗ー水顔面にかけないでくれる?」
「夢羽がよけないのが悪いんだよー。バーカバーカ!」
「スキありぃ!!ばっちゃーん!」
「うわっ三好、それはせこいぞ!」
夢羽、栞奈、そして晴斗は、3人で海で遊び中。
「みなさん、はーい集まって!」
「はーい」
ぞろぞろと先生の近くにみんなは集まってきた。
「今日は波も穏やかだし、遊べてよかったですね。じゃあ、更衣室へ行って着替えて!更衣室のシャワーを賢く使ってくださいね。それでは、行動開始」
「えーもう終わり?」「早いよー」「たのしかったぁ!」「砂だらけなんだけどー」
いろいろな声が聞こえる中で、夢羽、栞奈、晴斗は歩いていた。
「じゃあ、晴斗。うちら、午後の散歩もグループ一緒だし!栞奈と3人で回ろ」
「いいけど、夢羽。俺は夢羽と二人っきりが・・・♡」
「ん、なんか言った?私いやだよ?栞奈と一緒じゃなきゃ☆」
「・・・何も言ってません。はい」
晴斗が男子更衣室の方へ行ってしまうと、栞奈はもじもじしながら言った。
「あの、夢羽、私に気使って、3人で回ろうとしてくれてるけど・・・朝のこともあったんだし、それに佐々木っちも2人きりがよさそうだし、それに・・・」
栞奈はちょっとだけ止まって、でもやっぱり言った。
「晴斗、夢羽。名前呼び。私より先にもう一個先の段階へ・・・」
「栞奈!朝のことはもう解決したし、佐々木っちがどう思おうと私は2人っきりは嫌だし、それに、何よ!もう一個先の段階って!行ってないから!」
夢羽はため息をつくと、栞奈を見つめた。
「いーい?栞奈と私は親友だもん。親友の恋を応援するのは当然だよ!」
「・・・ありがとう」
栞奈はいつもの笑顔にパッと戻ると、「おーい!七海に春香に六華ー!!」と叫んで、夢羽を連れて走っていった。
――――――――男子更衣室。
「晴斗。加藤と良い感じだったじゃん?仲直りもしたみたいだし~」
「加藤、晴斗のこと名前呼びだったじゃん!」
「いいな~。俺も七海様と恋した~い♡」
七海のことが大好きな男子、リクっち、それに晴斗の親友のとーふとはがね。(もちろん全部あだ名ですが)
とーふはお豆腐メンタル、はがねは鋼メンタルだから、このあだながついていた。
「リクっち、朝日に告れ。いちいちここで大好きって言ってるだけじゃ、気持ちは伝わらない!わかるかーー!」
「お前何様だよ」
「は?俺?晴斗様だよ。それから、とーふ。いちいちぎゃあぎゃあうるさい、お豆腐~つーんつーん!」
「やめてぇぇ・・・はがねには言わないで、僕にだけ言うとか。イジメだ、イジメだぁ」
「はがねに何言ってもムダなんだよ!わかれとーふ!」
「・・・ねえ、晴斗さ。もしかしてほんとに加藤のこと好き?」
突然はがねにそう言われて、晴斗はえ!?と声を上げた。
「・・・それは、えと」
「好きなんだ~。晴斗が、あの加藤を」
「は?・・・あの・・・でも・・・あ、最初は、違った。冗談だったけど・・・」
晴斗は口ごもった。
「今朝、夢羽怒らせたとき、ほんとに後悔したんだよね。どうして傷つけたんだろうって。それから、ずっと夢羽のこと考えてた」
「それって、好きになったんじゃ・・・」
「謝れた時は、すごいスカッとして!よかった、って思えた。・・・で、それで、誤解してた、ごめん、って言われたとき・・・」
晴斗は顔を赤くした。
「・・・そ、そんな顔されたら、俺、本気になっちゃう・・・って思っちゃった」
「かんっぜんに恋してんね~~!!」
とーふがツンツンして、晴斗はとーふをぐしゃっとつぶす真似をした。
「俺・・・恋してんだ」