「晴斗のこと、誤解してた。ごめん」
「・・・あのね!だいったいあんたは、あんなところにいて、私の寝顔まで見たんでしょ!その上・・・とか!ほんとありえない!付き合うとか絶対無理!女子のプライバシーってもんを考えろ!」
「じゃあ言わせてもらうけど、夢羽?ねえ!男子がいると分かっていながら自ら服を脱いだのは誰?ねえねえ?俺だって見たくて見たんじゃねーし!」
「はぁ!?見たくて見たとか言ったら私はもうあんたを暗殺しかけてるからね!?それにそんなことはどうでもいいの。いつもいつもプライバシーの侵害っていうかさ!」
「・・・もういいよ。早く自分の部屋で海水浴の準備してこい」
朝食後のちょっとした空き時間。
夢羽と晴斗は今朝のことでもめていた。
「・・・あのぉ・・・佐々木っちと夢羽、何があったの?」
「あーそっか、栞奈はあの時いなかったもんね。えっとね・・・」
六華は栞奈に朝のことを伝えた。
・・・と、夢羽が入ってきた。
「夢羽!何してたの、遅いじゃん・・・!」
「・・・ごめん。あいつムカつく!ホント最低。自分のことちっとも反省しないし!」
夢羽は言うだけ言って、水着に着替えると水泳道具を持って外へ出ていった。
「夢羽・・・あの」
「一緒に遊ぼ~♡とか言っても無駄だからね。ホントあんたって空気読めないし」
夢羽は話しかけてきた晴斗に向かって冷たい言葉を投げかけた。
「夢羽ーーー!一緒に遊ぼ―!」
「あ、うん!・・・って栞奈は?」
きょろきょろとあたりを見回すと、顔を赤くして晴斗に話しかけている栞奈の姿が目に入った。
「あの、佐々木っち。・・・夢羽たちのグループ入って、一緒に・・・遊ばない?う、うちらのグループ、ボールゲットしたしさ。ボール持ってないでしょ?そっち。だから一緒に遊ぼ!」
できる限りの笑顔で栞奈は晴斗にそう言った。
「・・・ねー三好さ?」
「ん?」
「俺のこと好きっしょ」
「・・・は?」
栞奈は慌てる様子を一切出さずに、そう言った。
「そうだそうだ!ぜぇ~~ったいそうなんだ~♡ありがと。でもね~、俺は夢羽を・・・」
そこまで言うと、晴斗は止まった。
「夢羽を愛してるんじゃないの?」
「・・・だけど、今そんなこと言ってられない・・・。人傷つけちゃったんだもん。ねえ三好今の、変な発言撤回!ね!」
「あんたってほんと、調子のいいヤツだね(笑)」
「それどーいう意味?三好。・・・でもさー」
晴斗は栞奈の耳元に近づいた。
「もしも、ほんとに俺のこと好きなら。俺はありがとうって思うよ☆」
その時だった。
「・・・晴斗」
「え?・・・その声は夢羽・・・今、名前呼びで・・・」
「・・・晴斗のこと、誤解してた。ごめん。・・・今の栞奈との会話聞いてて、許してあげたの!」
夢羽はニコリと笑う。
晴斗は顔をリンゴのように真っ赤にして・・・ばれないようにと、後ろを向いて、「こっちこそ今朝はごめん」と言った。