「・・・ねえ、佐々木っち、絶対夢羽のこと好きでしょ!」
「たっだいまぁ~!どう?佐々木っちと仲良くなれた?」
「春香・・・べ、別に、特にいつもと変わんないけど」
そう言いながら、夢羽はちらりと栞奈の方を見た。
栞奈は夢羽のことをじっと見つめている。
「あの、栞奈。・・・佐々木っちは本気じゃないよ?栞奈が何か思うことなんて、何も—―――――――」
「・・・ねえ、佐々木っち、絶対夢羽のこと好きでしょ!」
「・・・はぁ!?」
夢羽は思わず声を荒らげる。
「何言ってるのよ栞奈まで!あのねぇ・・・」
「しっ!もう消灯時間は過ぎてるんだよ。もう少しこのボリュームを下げて?」
まじめな六華に言われ、夢羽はため息をついた。
「ごめん。だけどね、佐々木っちはあれは、冗談だって。そもそも最後の最後まで好きな人を教えてくれなかったんだから、もうあきらめてダマそうとしてるんだよ」
「ううんそんなわけない!最後の最後まで教えなかったのは、好きな人が、夢羽!あなた本人だからだよ!」
「コラ114号室!明日も早いんだから早く寝なさい!」
先生の声が響き、あわてて5人とも黙った。
次の日の朝。
「夢羽、夢羽!もう朝ごはんだよ!」
「ん~・・・って、え!?朝ごはん!?」
夢羽が慌てて飛び起きると、七海に春香、六華・・・そして、晴斗がいた。
「あれ、栞奈は?・・・って佐々木っち!?なんでいるの!?寝てるとこ見たの!?最っ低!」
「み、三好は食事係だからもう食堂行ってる!俺は遊びに来たの!ごめんね夢羽、でも寝顔もかわいかったけど♡」
「ほんと最低!きもい!マジでヘンタイ!付き合ってもいない女の子の寝顔見るとか、ほんとありえない!」
「そんなこと言ってないで、早く準備しな!もう朝ごはんだってば!」
七海の声で、夢羽はあわてて、パジャマの上と下を同時に脱ぐ神技を見せた。
「・・・ッ///!」
「・・・って・・・」
晴斗が思いっきり、夢羽の下着姿を見る。
「いやぁぁぁぁぁ~!!!早く出てけよヘンタイィィィィ!!!ガン見すんなし!!!」
「うわぁすみませんんんん!!!」
晴斗は慌てて部屋を飛び出していった。
食事の席は、バス席と同じ。・・・ということは、晴斗と向き合って食事を食べることになっていた。
「・・・」
「・・・」
お互い目も合わせない。
「え、どうしたのそこ?何かあったの・・・って聞くまでもないね、分かるもん。やな雰囲気だねぇ・・・」
「こいつが全部悪いんですぅっ!!」
夢羽が晴斗を指さすと、晴斗は顔を赤くしてそっぽを向いた。
「晴斗お前何した~?いつもと違うな~」
「・・・さ、さては!もうキ・・・」
「ちちち、ちげーよ!・・・ただあれは・・・」
「もう言わなくていい!ほかの人もこのことに触れないで!言っとくけど七海に春香に六華、誰かに言ったりしたらあとで処刑ね!以上です!」
夢羽の大きな叫び声に、あの場にいなかった栞奈はきょとんとした。