「俺、夢羽に好きって言われてないなぁ~?」
校外学習の帰りのバス。
「夢羽、あそぼーーぜーー、じゃんけん!あっち向いてホイでもいーけど、まあ、何でもいいからあそぼーぜ、ヒマだぜぇぇ」
「眠い。無理」
夢羽はバッサリと言った。
「ひどくね!?最近俺に対しての態度冷たくね!?」
「元からですけど?」
「余計にひどい!俺ら、カレカノでしょ!?もっとラブラブしようぜ!」
「そういうのいらないよ・・・ふぁ~ぁ」
夢羽は眠たそうにあくびをして、ふいっとそっぽを向いて寝始めた。
「ごめん、寝るわ」
「・・・」
晴斗はぶすっとほっぺを膨らませた。晴斗はかまちょなのだ。
「俺らカレカノなのに、全然カレカノっぽくない」
「・・・」
「あ!」
「・・・何、うるさくて眠れない!」
夢羽ががばっと起き上がると、晴斗は夢羽のことを思いっきり指さした。
「俺!」
「人に指をさしてはいけません!!!」
「そうだよ!」
「なんなの!指さすのやめんかい!」
「俺は夢羽に好きと言われていない!!」
「・・・は?」
夢羽は言葉の通り、「は?」という目をして晴斗をガン見した。
「あっれ~?俺、夢羽に好きって言われてないなぁ~?」
「だから何?」
「え、わかってくれよ。言ってほしいんだよ」
「やだ」
晴斗がは!?という目で夢羽を見ると、夢羽はフンっといった。
「今、ここどこかわかってる?どういう状況かわかってる?」
「わかってない!あは」
「あはじゃない!ここは校外学習帰りのバスで、クラスのみんなと先生とバスガイドさんと運転手さんがいる!おまけに副校長も乗ってるし!」
「じゃあ、俺ら、二人っきりなら言ってくれるってこと?」
晴斗はまっすぐに夢羽を見つめた。
「・・・・・・そんなこと言ってない」
「今の間!おかしい、ウソつくときにある間だっ!!じゃあ、二人きりになればいーんだろ」
「だから、そんなこと言ってないってば!話を聞けばかっ!」
「きーてますー!!」
晴斗はそう言ってから、ぼそりとこういった。
「・・・不安なんだよ・・・俺でいいのかな、って・・・」
「え?なんて言ったの、聞こえなかった」
夢羽が不思議そうに晴斗を見る。
「・・・っ」
「な、何よ。いつもいつも、私に何かいえいえ言ってくるくせして、自分は何も言わないっての?」
「んなこと・・・!つーか、何かいえいえ言ってきたのはお前だ!」
「え!?言ってない!」
「いーや言ってた!好きな人誰!?教えて!?ねねねねねーーーーって、お前の方が聞いてきてた!」
「たっ、確かに言った・・・けど!でも!晴斗ほど質問のバリエーションは多くない、私言ってたのはその質問だけ!」
「数の問題だろ数の!質問のバリエーションとか関係ねー!!」
「ある!」
「ない!」
「あるし!!」
「ねーよ!!」
「あるってば!!!」
「ないに決まってんだろ!!」
「はーい!終わりーっ!この問題、私が解決して差し上げよう☆」
そう言って現れたのは、七海に春香に帆夏に六華。
「「ええ?」」
「さ、明日、二人で遊園地でも行ってこい!」