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第39話 狙われる理由
水晶の橋を渡り”魔の山”の領域へ入ると、それまで感じていたものとは明らかに次元の違う”闇の波動”が一行を襲った。
勇者の加護があるにも関わらず、精神が蝕まれていくような感覚。
少しでも気を緩めたら、一気に闇に呑まれてしまいそうだ。
しかしこれだけ強い闇の波動を感じていながら、魔物の気配が一切なかった。
第二の魔界と謳われる”魔の山”に、魔物がいない筈はない。
また、あれだけ執拗に勇者を追っていた謎の”組織”が、水の街以来、全く音沙汰がないのも気掛かりだった。
「奴らの最終目的は、お前と同じく”闇の石”だ。
”闇の石”の強大な魔力を使い、世界を我が物にしようとしている。
勇者捕獲はその前提だ。”勇者”は、この世で唯一”闇の石”に対抗出来る力を持つ、と言われているからな。」
朔夜が、”組織”に勇者が狙われている理由を述べた。
「だからこそ”勇者”を逃す訳がない。なのに、この違和感は何だ・・・。」
闇の波動で精神が不安定になって来ているからだけではない、何か底知れぬ恐怖を感じていた。
魔物の猛攻に足を止められる方がよほどマシなのでは、と思う程の静かさが気味悪かった。
(続く)




