第31話 勇者の加護
勇者は衣服の水を絞りながら、マリンへ歩み寄った。
「・・・ごめん、僕が井戸に落ちていたせいだね。」
マリンの顔にみるみる生気が戻り、安らぎの表情が戻る。
濡れるのも構わず、マリンは勇者に抱きついた。
「ここは闇の影響が強い。精神感応力があるマリンには堪えるんだよ。
元々制御出来ていないから・・・。」
誰よりも顕著に”闇”の影響を受けていたマリン。
勇者が傍にいる事でその加護が得られ、影響は極限まで軽減されていた。
知らぬ間に守られていた事に気付く。
「傍にいるだけで、とはいっても、そう広範囲じゃないんだ。
だからあまり離れない方が良いんだけど・・・今のは僕が悪いね。」
出来るだけ濡らさないように気を払いながら抱き止めていたマリンに、詫びる勇者。
マリンはようやく落ち着きを取り戻し、勇者から離れた。
「これ・・・何?」
勇者の肩、マリンの目の前に水色楕円形の物体があった。
目を凝らしてみると、もぞもぞと動き出す。
マリンは悲鳴と共に掌底を喰らわした。
(続く)
マリン「キャァアアア!」
ドガッ!!
何だか判らなくても、ぶっ飛ばすマリン(驚愕)。
勇者ごとじゃなくて良かった・・・。




