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第2話 謎の少年
せっかく気付かれずに忍び込めたのに、変に物音を立てられるのは厄介だ。
仕方なく少年の拘束を解いてやる。
すると少年は笑顔で礼を言い、そのまま無作為に部屋を出て行ってしまった。
「ちょっ・・・!」
当然の如く、部屋の外では大騒ぎ。
武闘家(男)は追い掛けると、少年は既に盗賊の男達に囲まれていた。
掴みかかる男に、たまらず武闘家(男)は攻撃を加える。
畳み掛けるような電光石火で、そこにいた全員を倒していった。
少年は自分とは関係ないかのように、武闘家(男)の鮮やかさに感嘆の拍手を贈った。
「誰のせいでこんな事になってると思ってるんだよ!」
騒ぎを聞きつけて、大勢集まって来てしまった。
総勢、じゃなかろうか。
何の為に忍び込んだかもう判らない。
武闘家(男)は色々後悔した。
どうしてあのスマキのまま転がしておかなかったのか・・・。
(続く)