第14話 闇からの解放
気が付くと、そこはベッドの中だった。
傷は深く痛むが治療の跡が伺える。
目覚めた事を知ると、仲間が寄って来て、容態を気遣った。
血の滲んだ包帯だらけとなった、無残な仲間たちの姿を見て、勇者は深く懺悔した。
全ては自分のせいだと・・・。
「違う、俺のせいだ。」
低く冷たい透った声が聞こえた。
朔夜が、換えの包帯を持って部屋に入って来たのだ。
皆が見守る中、朔夜は勇者の寝ているベッドへと歩み寄っていく。
勇者と仲間達の手当てをしたのは、他でもない朔夜だった。
闇を滅する勇者が力を込めるという事は、闇のアイテムの浄化を意味していた。
勇者が切り裂いたのは”絆”ではなく、朔夜を捕らえる闇の鎖となり、解放された朔夜は本来の自分を取り戻したのだ。
「お前を殺そうとするなど・・・俺は馬鹿だ!!」
自責の念に打ちひしがれる朔夜に、勇者は、それも全て自分のせいだと言った。
手段を選ばぬ何者かが”勇者”を追っているのを知っていたのに、自分の不注意でみすみす朔夜を利用されてしまったのだと。
朔夜は大声で否定した。
「それは違う!俺の心が弱かったからだ。だが敢えて、この状況に感謝しよう。
こうしてお前に、また逢う事が出来たのだから・・・。」
朔夜は、熱い視線で勇者をみつめた。
(続く)
(=▽=;)朔夜のせいで、BL表記なんです…。




