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第13話 闇のアイテム
血を吐き、胸が鮮血で染まる。
勇者はその場に倒れ込んだ。
仲間の悲痛な叫び声が聞こえる・・・。
ぼやける視界の中に、邪悪な笑みを浮かべる朔夜が見えた。
自分が”勇者”であった為に、利用され、闇に囚われてしまった旧友が・・・。
(君を、このままにしては、逝けない・・・。)
薄れる意識の中で、勇者は再びメスを握った。
これが闇のアイテムなら。
勇者の力を付随する事で、“何物をも切り裂く刃”となるなら・・・。
薄れ行く精神を集中し、対象を強く念じる。
そして。
「僕との絆を・・・総て断ち切れッ!」
白い刃が走った。
見えない何かを、切り裂いていく。
勇者はそのまま意識を失った。
暗く深い闇の淵へと誘われる・・・。
(続く)




