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居眠り戦争  作者: 毬禰
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1戦目 人間嫌いな少女と親友ちゃん番外編


「なんでいい感じに終わらないかなー。今回は何もフラグ立ててないのに。」


「さっきーの日頃の行いのせいじゃない?さっきも必要ないくらいの魔法弾撃ってたし。」


「あれは念のためだし、笹本とか止め差したと思っても普通に生きてそうだっただけだし、決していつも撃てないのを撃ってストレス発散したんじゃないんだからね!」


「よくわからないツンデレをありがとう。意外と余裕だったんだな、おい。」


沙紀にジトッとした目で見つめながら兎は答える。


そんな二人の様子に困ったような顔を浮かべながら1人の男が話しかけた。


「そろそろいいかな~、お二人さん?」


笹本を倒した後もずっと抱きついてくる兎の相手の沙紀がのんびりとしていたときのこと。


目の前の男が空からゆっくりと二人の前に降り立ち、


「笹本先生を倒したみたいだね、君たち。1年なのに生き延びているなんて、ね~。」


そう鋭い眼差しを向け二人に話しかけてた。


まぁ、当然二人のほんわかした空気がそんなもので壊れるはずもなく、マイペースに会話を続けていた訳である。


「ねえねえ君たち、もう少し僕に感心を持ってくれてもいいじゃないかな?ほら、何奴!とか。」


それでも健気に話しかける男に対して面倒くさそうに答える兎と沙紀。


「いや、だって普通に知ってるし。原田先生の使い魔3号きらきらぷりんす(はーと)でしょ?」


「やめろー!その名で僕を呼ぶな!主殿のネーミングセンスは少々、かなり、大分崩壊しておられるのだ!」


自ら名前を促したのに悶えるきらきらぷりんす(ハート)に更に沙紀が追い討ちをかける。


「ぷりんすって言ってるんだからもう少しまともな格好したら?なんでメイド服?」


「これは僕の趣味じゃない!主殿に強制的に着せられただけだ!」


更に悶えるメイド服のきらきらぷりんす(ハート)。


「それに身長、150㎝の女子と殆ど変わらないし。」


「殺気出てないから睨まれても怖くないし。」


「声高いし凄まれてもなんにも怖くないし。」


「普通にメイド服似合ってるし。」


「わかった、わかったからもうやめてくれ!僕が悪かったから!」


二人の容赦のない言葉を浴び、戦闘が起こっていないというのに殆ど瀕死の状態にされ涙目できらきらぷりんす(ハート)は訴える。


「僕っ娘、男の娘、更に涙目とかどこかに需要ありそうね。」


「ぐはっ。」


「……さっきー。」


瀕死の状態にきっちり止めを差し、満足そうな顔をする沙紀の兎はまたジトッとした目で沙紀を見つめた。


こほん、と一息いれ、兎は場空気を一先ず戻すと、きらきらぷりんす(ハート)に問いかける。


「それでここに来た理由は?私達と戦うっていうのなら疲れたから勘弁してほしいんだけど。」


「……それは大丈夫だよ。ここにいる人達宛に伝言を頼まれただけだから。結局君たちしかいないみたいだけど。」


まだ立ち直りきっていないのか沈んだ声できらきらぷりんす(ハート)は問いかけに答える。


その伝言とは?と視線で促す沙紀。


その視線を受けきらきらぷりんす(ハート)は顔を引き締めなおすと伝言の内容を伝える。


「第三戦場は落ちた、と。」


「だって、帰ろうか兎。帰りに駅前のゲーセンでも行かない?」


「まだ今日2戦残ってるんだから帰れるわけないでしょ?」

 

自分たちの防衛場所が落とされたというのにそれでも自分たちのペースで話す二人に諦めたようにきらきらぷりんす(ハート)はため息を吐いた。


「……君たちさ、もう少しなんかないわけ?」


「自分達の仕事はやったし特にはないね。とりあえず全体的に勝ってたらいいからね。」


「あとは他の人達の仕事だし、やることやったから文句言われる立場でもないし帰って寝る。」


「さっきー、逃がさないよ~。まだまだ余裕でしょ?」


「さっきの魔法で残りの魔力使い果たしたから無理。治療区で休んでおくわ。」


相変わらずおいてけぼりを食らうぷりんすは彼女達になにか言うことを諦め、1人天を仰いだ。


「治療区の場所忘れたしきらきらぷりんす(ハート)案内してくれる?どうせ暇でしょ?」


これ以上こいつらに構いたくないときらきらぷりんす(ハート)は涙目で思った。


それから数分後。1戦目の時間が終了し二人と一体は治療区の院の前にいた。


「案内ご苦労。人間じゃないからまた相手をしてあげよう。またねー。」


「色々とさっきーのせいでごめんね。またね~。」


「もう2度とお前達に構うか~!願い下げだよ!」


そんな恨み言を吐いてぷりんすは足早に去っていった。


「さてと、治療院で今日は寝るぞ~。」


そう言ってがらがらと治療院の扉を開けた沙紀の元に保険教諭がよってきた。


「ごめんなさい、今治療院のベットが一杯で使えないの。見たところまだ元気そうだしもう少し頑張ってきてもらえる?。なんでも味方に残り少ない魔力奪われて魔力切れで倒れている子が多いの。一体誰がやったのかしら?」


ニヤニヤと兎は沙紀に話しかける。


「フラグ回収お疲れ様です~。」


「……こんなところでフラグ回収なんてしたくなかったよ。」


一陣の空風が沙紀の心中を表しているかのように吹いていた。




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