八日目:牢獄に逆戻り
俺はあの宿屋前での出来事があって、今は騎士達に連行されて、また牢獄に来ていた、と言うよりは入れられた。
俺は罪状としては、王女を連れ去った罪と、人殺しの罪と言うことになっている。だが実際は、それに加えて騎士達への侮辱もあると思う。俺が裁かれるのは三日後だと騎士の一人が俺に言った。
「三日後ねぇ…… まぁ考えてもしゃーないわな。寝るか。」
俺は独り言を言ったつもりだった、しかし、それに返す言葉が何処からか返ってきた。
「ケホ……ケホ…… 貴方は……いったい、何をしたのですか?」
「ん……? 誰だ?」
「私は貴方の隣の牢にいる者です。 ここに来る人は、大概死刑かそれに等しい罪を犯した人なので。ケホ……」
「へぇー、って死刑!? 嘘やん……」
「いや、死刑と決まった訳では無いですよ? ただ、ここは滅多に人が来ないので……ケホケホ……」
「ってあんた、大丈夫か? さっきから咳出てるぞ?」
「大丈夫……です…… ケホ……私は……長い間……ここにいたもので、それが原因なだけですよ……ゲホゲホ……」
「いや、多分大丈夫じゃねえだろそれ…… 何とか出来ねえかな……」
「無理だと……思いますよ。 私の病気は、治らないと言われたので……」
「うーん……直接見れないのが辛いなぁ…… 何とかこの壁壊せねえかな……」
「壊す……? 何をするつもりですか?」
「壊したらあんたの体見て、何とか出来ねえかなぁってね。俺はちょっと特殊なんでね。」
正直半分嘘だ。俺に他人の状態を見るなんてことは出来ない。けども回復魔法さえ使えたら、何とかなるんじゃないかと考えた。
俺は自分自身のスキルの中に、状態異常無効化があるのを思い出していた。なら、それを使えば何とか出来ると考えたのだ。
「あ、そうか、壊さなくても大丈夫だったわ。」
「いったい何をするつもりですか?」
「大丈夫、危険な事はしないから。 《ワープ》」
俺は自分自身が、移動魔法を使えるのを忘れていた。上手く行くかは不安だったが、移動した後には、隣の牢の中に来ていた。
「良し…… これで大丈夫だ。何とか成功したか。」
「え……魔法……? 何でここで魔法が使えるのです?」
「え……?使えないの? 普通に使ったんだけど……」
「普通なら牢獄では、魔法禁止の鎖を首につけられるはずなので、使えないのが当たり前なのですが……」
「ああ、その辺は多分俺のスキルだな。多分……」
俺は自分のステータスを確認した。
《ソラ:レベル∞、体力40万5000、攻撃力230万5000、魔力19億5000万、スキル、言語理解SS、隠蔽S、神と魔王の加護S、対神と悪魔S、自動回復S、根性A、回復魔法A、状態異常無効化、魔法、呪い無効化、レベル上限無し、特殊、神と魔王の加護を受けし者、(バーサク)》
また上がってるし……てか回復魔法増えてる……
ん?良く見たらジョブが無くなって、特殊になってるし。しかも神と魔王の加護を受けし者? 何だこりゃ? てかバーサクって何だろうな本当に……
「あー、多分だが俺、そういう類いのやつは、効かないみたいだわ。俺のステータス見るか?」
そう言って、俺は自分のギルドカード(一回もギルド行ってないけど、王女に貰った)をその女?に見せた。勿論、隠蔽無しの方だ。 正直、どんな反応をされるか不安だった。
「こ、これは……?」
「あー、うん、まぁそうだよなー。これ見て驚かないのって、ゼウスぐらいなもんだからなー。」
「ゼ、ゼウス?」
「まぁその辺は置いといて、てことで俺のステータスは確認したな? 俺は回復魔法があるから、多分あんたの病気?も治せると思うぜ? とりあえず……《セイントヒール!》」
俺はとりあえず王女が使っていたセイントの位のヒールを使ってみた。実際、この世界では、ノーマルからセイント、そしてホーリーとあるので、ホーリーを使えるかは分からないけど、セイントまでは使えると思ったのだ。 だって王女使ってたじゃん? 使えるかは分からなかったが、ほぼノープランで、ぶっつけ本番でやってみた。
「セ、セイント……? 貴方は何故それを使えるのです? 普通ならば、ノーマルまでしか使えない方が多いと言うのに……」
「うーん……わからんっ! ただ王女が俺にしてくれたように、使っただけなんだ。それで……どうよ?身体は?」
「それが……私の身体にあった傷すらも、治っているのです。まさか……治る日が来るなんて……」
思ったよりもセイントは凄いようだ。てか、そりゃそうか。俺の無くなった足が元に戻るくらいだものな。
「あの…… もしよろしければ、貴方の名前を聞いてもよろしいでしょうか?」
「んー?俺の名前? 俺はソラ。 ソラ エンドウって言うんだ。めんどいから、ソラでいーよ。」
「ソラ様ですか。 私はルミアと申します。」
「おー、ルミアって言うんだ。 よろしくなー。 って言っても、俺がここにいるのも三日間だけなんだがな。」
「そうでしたか。ですが、私の身体を治して頂いたので、お名前を覚えておきたいのは、当然なのです。」
「そっか、なら三日間だけど、よろしくなー」
俺は良く分からないがルミアと言う女子から名前を覚えられた。たまたま王女のセイントヒールを見たから良かったけど、それが無かったら、ただのバカだった。 ん……?良く考えたら俺って元々バカじゃね? そーかそーか、だからあんなに身の程知らずなんだよな。 全く、俺がバカなのは何処でも変わらねえみたいだな。 そんな事を考えつつ、俺は自分の牢に戻って寝た。
(あぁ、そー言えば、俺の処分どーなるんだろーなー。 死ぬのかな? ってこっちで死んだら笑えねーな。 ムト達に何て言われるやら…… まぁ、その時はその時だな。)
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