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七日目:また……

「名前ねぇ……」


 俺は王女が名前が無くて、着けてくれと言われたので考えていた。 けども、名前ってどうすりゃ良いんだ? こっちの名前とか知らねえぞ?俺? どうしよ……


「……ソラ様?」


「うーん……どうしたら良いんだ―…」


「……ソラ様?ソラ様っ!」


「っおおっ!? ど、どうした?何かあったか?」


「い、いえ、ソラ様が何やら考えていらしたので、どうなさったのかと……」


「……いや、何でもない。ただおまえの名前を考えていただけだ。」


 どうやら、考えていた間に随分と時間が経っていたようだ。日頃頭を使っていないからか、結構悩んでしまっていたようだ。こんなときはあいつらを羨ましく思った。ムトとかなら直ぐに決断出来そうだからなぁ。


「名前はまぁ考えるわ、とりあえずここから移動しよう、追手に来られたら面倒だ。」


 と、考えた限界ギリギリの案を王女に言うと、


「……そうですね、街の方へ移動しましょうか。宿を探さないといけませんね。」


 と、言って、俺を街の方へと誘った。


 ―――――――――――――――――――――――――――――


「とりあえず街に来たは良いんだが、宿どーするよ? 俺無一文だからな?」


「私が持っておりますのでご心配無く、では行きましょう。」


 そう言って王女は一件の宿屋の前で止まり、その宿の中へと入っていった。すると、


「お、王女様!?いったいどうしてこのようなところに?」


 と、中から声がしたので入ってみた。


「私はもう王女ではありませんよ、ただの市民として泊まりに来たのです、迷惑かも知れませんが、部屋は空いておりますか?」


「も、勿論です!って……え?王女では無い?」


「はい、私は王女の座を放棄して、一人の冒険者として、このソラ様と一緒に生活していくことに決めたのです。」


「そ、そうでしたか…… わかりました。お部屋は二部屋でよろしいでしょうか?」


「いえ、一つで構いません。」


「……はい? 王女、今なんつった?」


 何ていった今? 一部屋? 俺はベッド無しってか? 何?それとも雑魚寝か? 部屋すらねえのか? 俺はそう思った。が、


「二つベッドがある部屋で良いのです。 ありますか?」


「え、ええ、ございますよ、それでよろしいのですか?」


「構いません。部屋の方へ案内してください。」


 何だろう。周囲からの視線が痛い、そして重い。確実に嫌われたぞ俺。何もしてねえのに…… 王女、マジで勘弁してくれ……

 俺はそこから逃げるように王女の後についていった。


 ―――――――――――――――――――――――――――――


「なぁ王女、何で一部屋にしたんだ? 一応俺も男であんたも女だろうによ。 普通なら別々が良いんじゃねえのか?」


「それは……私、1人で知らない所で眠るのは怖いのです。」


「ふうん……怖いねぇ…… まぁそれならしゃーないか。」


 俺は考えたく無くなったのでそのまま部屋のベッドに寝転んだ。

 だが、王女が、


「ソ、ソラ様、よろしければ私が眠るまで見張っていて頂けませんか? 不安で不安で……」


「えー、うーん…… まぁいっか。 寝るまでだな、わかった。それまでは俺は起きとくよ。だから安心……は出来ねえかもだがゆっくりと眠りな。」


「あ、ありがとうございます。 ではお休みなさいませ、ソラ様。」


 と言って王女もベッドに入って寝た。てか寝ころがった。 まぁ見張っててって言われたから寝たのを確認するまで起きとくかぁ…… と思った。


 正直色んな事が起こりすぎだ。教室で授業があって、めんどいから寝てたら、知らない間に、どこかわからない場所に移動してて、さらにゴブリンやらが出てきて襲われるし。


 挙げ句の果てには城で王女と会って、能力見られて、禁忌的なスキル持ちで自ら投獄、拷問され目と右腕と左足を無くされ、気付いたら死んでて天界とらやに行って、また戻ってきて、城から脱出してだもんなぁ……。 考えすぎたようだ。眠気が俺を襲ったので、俺はそのまま眠った。


 ―――――――――――――――――――――――――――――


 目が覚めると早朝だった。まだ王女は眠っているようなので、起こさないようにそっと部屋を出た。


「……眠いな、でも起きたからとりあえず飯でも食うかな、って早すぎたかな?」


 俺は部屋から出てこの宿屋のロビー兼食堂に降りた。けど早すぎたのだろうか、まだ誰もそこにはいなかった。なので俺は宿屋の外に出ることにした。 すると外で、


「この辺りに王女がいるはずだ!探せっ!」


 と何やら騎士みたいな鎧を着た男?達がこの辺りを捜索していた。 どうやら王女を探しているらしく、かなり必死になっていた。 すると一人の騎士が俺に近付いて来て、


「おい、貴様、この辺りで王女を見なかったか?」

 と聞いてきた。 なので、


「俺は最近ここに来たばっかりだから良くわかんねぇな。」

 と言った。


 すると近付いて来た騎士がもう1人別の騎士を呼んで、


「団長、この者はもしかすると、あの異世界人の1人かも知れませんよ。」

 と言ったのだ。


 何で知ってやがる?国の重臣が何か言いやがったのか? にしても早すぎる。これはヤバイかもな…… 何でだ一体…… するとその団長らしき人が、


「おい、貴様、お前は牢獄にいた奴では無いのか?何故ここにいる。」

 と、聞いてきたので、


「知りませんね、そもそも人違いではありませんか?」


「嘘をつくな。お前を投獄した奴の一人に私の部下がいてな、その時にお前の素性は聞かせてもらったよ。」


「………」


「ふん、何も言えないだろうな。 だが何故牢獄にいない?貴様、脱獄でもしたと言うのか?」


「自力で出てやったよ。拷問野郎が部屋をぶっ壊しやがったからな。それで出たまでた。」


「貴様、嘘をつくのか。あいつは死んでいたのだぞ?なのにどうやって鉄柵を破れると言うのだ!貴様が殺したのだろう!」


「……殺したのは否定しませんよ、そりゃあ人間、自分の命が惜しければ他人をも殺しますよ。そもそも俺は奴に殺されかけた。」


「何を言っている…… 殺されかけた?ふざけるなよ?あいつは拷問官だ。けども奴がそんなことをするはずが無い!」


「……別にあいつのことはどーでもいーんすよ、俺にとっては。けどな、あいつは途中で狂った。もはや人では無くなったんだよ。その証拠がこれだ。」


 俺は自分の右腕と右目を見せた。と言うかそれらがあった場所を見せた。 今俺は右目には眼帯のようなものを着けていて、右腕は袖から見えないようにしてある。 それを前にいる騎士達に見せつけるように見せてやった。


「なっ……あいつが……信じられん。今迄は拷問とは言っても傷をつけるだけで、腕を切ったり目を無くしたりはしなかったはずだ。」


「もう一つ言ってやる。今はもう戻ってるが俺は左足も切られた。あいつは俺を殺しに来てた。」


「ならば何故お前の足があるのだ。……まさか、王女はお前がっ!……」


「あながち間違っちゃあいねえよ、あいつはここにいる、それで、俺に再生魔法をかけてくれた。そしたら、あいつは俺と一緒に来ると言った。それだけだ。」


「そんな訳があるかっ!おおかた貴様が王女様を脅して無理矢理に連れて来たのだろう!? 王女様が自ら外に出るなどあり得ぬ! 貴様は捕まえさせて貰おう!」

 と言って騎士達が俺を捕らえた。どうやら拘束魔法の一つらしい。 俺は、


「はぁ……またかよ……んで、今度もまたこの怪我人に拷問かい? この国はどーなってんだか……」


「きっ、貴様あっ! 我が国を侮辱するか!何も知らぬ分際で!」


「何も……知らない……ねぇ……」

また頭痛がしてきた。何だと言うのだろうか、何かがあった時に必ずと言って良いほど頭痛がする。


「な、何だ。何だと言うんだ!」


「俺はお前らの国なんざどーでも良いんだよ、ただな、王女の話を聞いてる限り、この国はもはや国じゃねーんだよ、国ってのは信頼出来る王がいて、その下にはそいつに誠心誠意従う奴がいなけりゃ、成り立ねーんだよ。」


「あんたらの中にどれだけ王女を信じてる奴がいる?てめーらのトップが信じてたら普通はそれに従わなあかんわな、だったら内心はどーだ?実際はそう思ってない奴らしかいねーだろ? だから王女はお前らよりも、こんな他の所から来た見ず知らずの俺について来たんだろーがよ!それが分からねえのか?」


「貴様!これ以上の侮辱は許さん!我らをも冒涜するとは!貴様なんぞ牢獄に永久に入ってろ! こいつを牢獄に連れていけ!」


 一体俺は何を言っている? 頭がズキズキと痛む。やっぱり何かおかしい。俺が頭痛がした時には俺が俺で無いようだ。そもそも、俺はそんなことを言える様なキャラでは無かったはずだ。何かあるのか……?


「あんたらが騎士だって言うなら、ちゃんと王女守ってやれよ。 王女にはよろしく伝えてくれ。」


 そう言って、俺は騎士に連れて行かれた。 王女には申し訳無いが、ここまでのようだ。名前……考えてやれなかったなぁ……


  結局、俺は自分から牢獄に入ったようなものだ。 やっぱり俺ってバカなんだろうなぁ…… 外に出れたと言うのに、またムト達に会え無かった。 もう……会うことはないだろうな…… 永久牢獄入りとか笑えねえな、異世界来てとか尚更に……


読んで頂きありがとうございます。


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