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四日目: 死の経験?

  俺が監獄に入れられた翌日の朝は最悪の朝だった。


―――――――――――――――――――――――――――――


  俺が朝、目覚めたらそこは先日入れられたはずの部屋では無かった。 と言うより俺は寝ていなかった、鎖で磔にされていたのだ。しかも、とても生臭い、なんて言うのか……血のにおいだ。 それに、この世の景色とは思えないほどの地獄絵図のような光景が目の前にあった。死体のようなものが、腐っているのだろうか、そのまま放置されていた。

  

  いつやられたのかはわからない、だが寝ている間にされたとしか考えられないのだ。 するとそこへ誰かが来る足音がした。


 「……目が覚めたか。」と、見たことのない男がぶっきらぼうに言った。

「……誰だ?」俺は普通に誰か知らないので聞いてみた。すると、


  「俺はお前のような奴らにとっては最悪な輩だろうよ。」と何やら意味深な事を言ってきたので、

「……うーん…………尋問官か?」と、とりあえず拷問ではないだろうと思って聞いてみると、


  「外れだ、俺は尋問官ではなくて拷問担当だ。」と聞きたくなかった単語を言った。

「マジかよ…… 俺が何したって言うんだ?」


  「お前は隠蔽持ちと聞いている、どこでどう手に入れたのか聞かねばならぬのだ。お前に拒否権は当然無い。」


  「はっ、ふっざけんなよ、おっさん、俺は異世界から突然召喚されて、能力見られたら隠蔽あっただけだぞ?他に何があるってんだ?」

「貴様のような輩の言葉なぞ信じぬわ‼ 誰が隠蔽持ちを信じる!? お主のような小僧の戯言なぞ誰も耳を傾けぬわっ‼」


  俺はこの世界のルールに関しては全く知らない、だが、俺が持つ隠蔽とやらは嫌われており、持つだけで重罪なことだけはわかる。


だけど、何故に俺が拷問を受けないとだめなんだ? 異世界にクラスごと召喚されて何もわからないまま隠蔽持ちと判断されてわざわざ自分から監獄に入ったと言うのに……なぜなんだ? 王女が命令したのか?それとも王女の下にいる重臣たちがこいつに命令したのか?あぁ、頭使ってなかったからか頭痛がする……


  「何ぼやっとしてんだ! さっさと答えろ‼どこから隠蔽を手に入れた? それとも誰かを殺してスキル強奪したか?言え‼」

と言いながら男は手にもった細剣で俺の右手を切った。


  「ぐあっ、あぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼ あがっ、てめ、何……」

「さっさと吐け‼ どこで手に入れた‼ 答えぬかっ‼」

一言一言言うたびに俺を切りつけて来る。暫くしていると、俺の右腕が血だらけになってもはや力も入らなくなっていた。

  

  俺はひたすらに耐えていた。いつかは終わってくれるという期待を持っていたからだ。だが、男は続けた。俺がどうなろうと最早関係無いようだ。 ただ情報を俺から聞き出そうとするためだけに剣をふるい続けた。


―――――――――――――――――――――――――――――


……どれくらい時間が経っただろうか。俺的には二時間くらいといったところか。男が諦めたかのように、


  「……ふん、まぁ初日だからな。これくらいにしてやる。だが、明日は必ず情報を掴んでやるぞ‼」と言って俺の全身を切りつけて帰っていった。


  「はぁ……何でこんな目に…… 王女……あんたの命令なのか……?」と、全身傷だらけなった状態で考えていると、

「ソラ様っ!? こ、これは一体どういうことですかっ!?」と、俺の姿を見て驚いた王女が目の前にいた。


  「よう、王女さま、お前がそこまで驚くとは意外だなぁ? 命令したんだろ?俺に拷問しろって?」と、半ばキレながら言ったところ、


「わ、私ではありません‼ 知っていたら止めさせますもの‼あなた様を殺させはしないとムト達様と約束しましたもの‼それに、そんなことをするぐらいなら私が…」と、何やら訳ありのような感じで答えた。


「……まぁ良いや、お前がそう言うなら信じるさ。…だが、何で俺はこんなところで磔になってるんだ? 訳わかんねぇよ…」


  「ソラ様、申し訳ありません‼」となぜか王女が謝罪した。

「何で王女があやまんだよ? 別に何も悪くねぇだろ?」


  「はい、ですがソラ様をこのような目に合わせているのは私の力では重臣達を抑える事が出来ていないからなのです。私が忌み嫌われていなければ…」


「……あー、王女さん? 別に俺はお前の責任にするつもりはねぇぜ?只単にお前が命令した訳じゃねえよなって聞いただけだ。俺はお前を責めるつもりはない。 これは俺が招いた責任だ。王女、お前が落ち込むことじゃねぇ。だから泣くな。俺はもう…誰かに泣かれたく無いんだよ…」


「ソラ様……」王女の目は半ば真っ赤で、泣いているかのようだった。いや、泣いていた。なぜ、なくのだろうか?王女が泣く理由なんてないはずなのに。


  「とにかく、お前じゃ無いってことがわかっただけで十分だ。お前まで拷問されちゃぁかなわないからなぁ…… 安心しろ、死ぬなら王女の前で死んでやるよ、だから安心して王女は王女の仕事をしてな。あ、あと、このことはあいつらには言うなよ、面倒だから。」


と、半ば無理矢理に会話を終わらせた。俺は切られた箇所があまり深く無かったから良かったと思いつつもこうやって話している時にも腹や右腕は軋んでいた。どうやらあまり腹と右腕の状態は良くないらしい。とりあえず寝て回復をしたいのだ。


  「王女、もう行きな。俺は眠いから寝るわ。また来週ぐらいに俺が無事なら会おうぜ。」と強引に話を終わらせた。


「……わかりました。ですが、どうかご無事で‼」と短めの言葉を残して王女は去っていった。


「…………はぁ、俺は一体どうなるのやら……」と考えてつつも俺は眠りに落ちた。


―――――――――――――――――――――――――――――


  次の日も、また次の日も俺は俺をいたぶっていたぶっていたぶったが俺が情報を吐かないので、やや焦りを見せていた。


しかも、体罰では吐かないと思ったのか、薬を使われた。恐らく毒か何かだろう。体から力が抜けて、ぼんやりとしてきていた。どうやら俺の拷問には期間があるらしく、あと一週間らしい(男が誰かと話をしていたのが聞こえたのだ。)一週間耐えたら俺は解放されるのだろうかと期待していた。


だが、とうに俺の全身はボロボロで、特に右腕はもはや死んでいると思うくらい動かなかった。腹のほうはそれほどでは無いが、やはり呼吸がし辛くなっていた。おまけに薬だ。もう全身が滅茶苦茶になっているかのようだった。


 「貴様ほど吐かなかったのは初めてだ、ちょっと手を抜いていたようだ、これからは本気でいかせてもらおうか……」と言って男が手に細剣ではなく先端を火で炙った鉄を持ってそれを俺の腹へと殴り付けた。


 「ぐふっ、てめ、それはないだろ……」

「何を言っている、これは拷問だ。何を使おうが俺の自由だ。これでも吐かなければ次は腕をへし折ってやろう、その次は目だ。答えるなら今のうちだぞ?」と、半ば脅しを言ってきた。


「……答えることなんてねえよ、異世界に召喚されて知らないうちにステに隠蔽が書かれてただけだっての。そもそもこのせ…」


「その話はもう聞きあきたわっ‼」と言って男は再度鉄を俺に殴り付けてきた。だが、男が感情的になっていたせいか、腹には行かず、俺の右目に先端が直撃した。


  何かヤバイ音がした、なんと言うか、抉れるような感じだ。すると俺の右目を開けようとしても開かない。真っ暗で何も見えないのだ。と言うより目が抉られていた。


「がっ、ぐわぁぁっ」

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁっ」「ぁあっ、俺の、俺の目がぁっ!」


目が抉れた衝撃に耐えられる訳もなく、おれは磔にされているから動けないが、全身を震わせて叫んでいた。しかも抉ったあとに熱による熱さでさらに全身に衝撃が走った。


 「……き、貴様が悪いのだぞ‼ 情報を言わずに異世界から来たの一点張りだからだ! 答えぬからそうなるのだ!」と、悪いのが俺だと言わんばかりに言ってきた。


俺は左目で男を見たのだが、目を抉ったことは無かったらしく、やや男も慌てていた。 俺の右目は床にベチャッと言う音をたてて拷問室の床へ落ちた。もう床は俺の血だらけと言っても良いほどにベトベトだった。


―――――――――――――――――――――――――――――


  俺の目が取れてから暫く時間が経った。男は半ば放心状態で、拷問を続けれそうな状態では無かった。俺はこいつのことを不思議に思った。だって拷問する奴は大概されるやつのことなんて気にせずに拷問を続けるものだと思っていた。だがこの男はどうやら拷問担当とは言っても普段は騎士のようだ。身に着けている防具や剣などが見張りの男たちと同じだったのだ。そう俺が思っていた時だった。


  ズシュッ……グシャッと言う音が俺の左足付近でしたのだ。

何だ?と思って見ると……


  左足が根本から切られていた。

「ぐあぁぁぁぁぁぁっ⁉」


  俺は一体何があったのかわからなかったが、どうやら男が狂ってしまったようだと気付いた。何故ならば男の目が狂っていたからだ。


  「ヒヒッ、ヒヒヒッ、ヒヒヒヒヒッ、そうだ、抉れば良いんだ。抉れ、抉れ、抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ」「抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れ抉れっ‼」と男が意味不明な事を声に出して言った。


 男は俺の左足を切断したであろう斧のようなもので俺の右腕を


 「抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ」「抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ抉れろ、抉れろっ‼」


と言って右腕にその斧を振るって、骨が切断されたところで自らの手で俺の右腕を抉るようにもいだ。


  「ぐがっ、ぎいゃぁぁぁぁぁぁぁっ⁉おま、お前、一体……?がふっ、げふげふっ……」

と、もう俺も良く分からない感じで男に言った。男はもう狂っていて、何を言っても通じないようだった。すでに俺の出血量はヤバい、目からの血と腕、足を合わせると恐らくシャレにならない。もう意識が飛びかけているのだ。俺は死ぬ前に王女やムト達クラスメイトへの謝罪を心の中で思った。


  (すまねえな、王女、約束……守れそうにないや……)と思いながら左目で男の方を見ると、男が剣を持って俺の胸を突き刺そうとした。

 

 「あ、俺死ぬのか……何にも出来なかったなあ……」と言ったところで俺の意識は途絶えた。その時に、


「ステータス《○○○○○○○○》を取得しました。」と頭の中で聞こえた気がしたが、もう分からなかった。


―――――――――――――――――――――――――――――


  目が覚めた。俺は何やらふわふわした辺り一面真っ白なところにいるようだ。うーん、よく分からんけど、これがいわゆる死の世界かな?と思いながら辺りを見ていると、


 「あなたは誰?何の用?」と、騎士のような銀の鎧を着た女が聞いてきた。

「えーっと、俺はソラって言うもんだけど、あんたは誰なんだ?て言うかここ何処だーっ?」と叫びながら聞いた。


 「あら、ソラなんて聞いたことの無い名ね、ここは天界よ、そして私は天使にして戦士のヴァルキリーよ」


「……はい?今なんて?天界?天使?ヴァルキリー? 何いってんの?頭おかしいの?」


俺はもう何が何だかわからないので正直な事をいってみた。

「ぷっ、あははははっ! おかしいのはあなたよ、ここは天使か神様しか普通入れない世界なのよ?あなたの方が変よ?そもそも、何であなたはここにいるのかしら?」と、ヴァルキリーと名乗った女が俺に剣を向けて聞いてきた。


 「あー、出来れば剣はやめてくれるかな?俺、剣にはちょっとしたトラウマがあってなぁ…… 剣で拷問されて右目、右腕、左足と切られて抉られて死んだ気がするんだよなぁ……」


 「っ……あなた死んでるの!? だとしたら尚更におかしいわね……ここには死者なんて居てはいけないのに……あなたはいったい?」とヴァルキリーが何やら困惑しながら聞いてきたので、


 「俺は死んだ世界とは別の世界にいた人間なんだよ。わかる?異世界に召喚されて、その国で死んだの。説明終わり! あ、頭いてぇ……」


「……にわかには信じれないけどまぁそれしか無いわよね……良いわ、とりあえず私の主に伝えたいから一緒に来てくれる?」とヴァルキリーが聞いてきたのでおれは二つ返事で付いていくことにした。


「さて、俺には一体これから何がおこるんだか……」と小声でヴァルキリーには聞こえないように言った。この先のことは俺には予想がつかない。だがどうやら天界にいるということだけはわかる。 と、考えていると、ヴァルキリーが、


 「着いたわ、ちょっと待ってなさい。」といってある建物の前で俺を止めて中へ入っていった。


読んで頂き感謝です。

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