十八日目:罪と償い
久々の更新で2万PV突破していたのに気付きませんでした。
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この世界の人にとって死って何なんだろう?終わり?それともまた始まり?この異世界に来た今の俺にとっては死は一度経験したものであり、かつ他人を守るためには仕方の無い犠牲だと感じている。
こちらの世界に来て数日で、俺は死んだ、いや死んだはずだった。なのによくわからんが加護とやらで助かったのかまた生き返った。そしてまた倒れた。今回は致死性のダメージだろう。けど俺は今何をしているんだろう?子供の時に守ったけど守れなかったあの子の事を考えていた?それともさっき守ったと思う鏡花達の事?
(考える必要はありません、貴方にはまだ守ってもらわないと困ります。)
と、何やら声がした。
(答える必要はありませんよ、貴方の心に語りかけていますから。)
誰なんだ?そしてここはどこだ?真っ白でふわふわした空間だが……
(ここは貴方の心の中でありかつ私が創った場所です。安心してください、貴方に害はありませんし、加えるつもりもありません。)
どういうことだ?創った?あんたは一体……
(私は貴方の中にいる加護であり、かつ神と魔王の知りあいですよ。貴方が死んでも死なない理由の一つとでも行っておきましょうか。)
加護だと?確かに俺は神と魔王の加護を持っていた、けどそれは一度死んでから発現したものだ。つまりこれはすべてあんたが計画していたのか?
(計画……ではありませんが、偶然にも貴方の心に呼ばれたのですよ。)
呼ばれた?俺が?一体いつそんなことをした?俺には全く覚えが無かった。召喚魔術等覚えているはずが無いし、あったとしても使っていないはずだ。
(貴方は気付いていないだけでしょうが、貴方が無意識に心で使ったのでしょう。私を呼べる人なんてもう現れないと思っていましたがね。)
もうってことは、一度呼ばれた事があったのか?
(ええ、とは言えどももう何千年も前のことですがね。その当時゛勇者゛と呼ばれていた存在に呼ばれましたが、彼は私を完全に使いこなせませんでした。)
俺はこの加護の言う事は本当なのかわからなかった。加護が意識を持っていること自体が不思議すぎる。昔の勇者が呼んだのだとしたら、何故俺が呼べた?
確かに、今の俺は能力値が桁外れではあるが、それよりも前は農民より低いかそれぐらいだったはずだ。普通ならムトとかに宿るだろう。
俺は加護に、加護には条件があるのか?と聞くと、
(条件……条件では無いかも知れませんが、加護にはそれぞれ力が有り、その個人に適している物が加護として適応されます。たとえば、農民には農作業に適したもの、商人には商業の加護と言うように適材適所なのです。)
なら尚更何で俺だ?俺以外にも勇者はいるぞ?
(貴方が言う勇者は単なる神輿扱いの人ですが、私たち加護の゛勇者゛は別です。我々の゛勇者゛は自己犠牲を問わず他人の為に行動し、他人の幸せを願い日々戦う者の事を指します。ここまで言えばお分かりですね?)
つまり……それは今の俺と言うことだな? なるほど、だが分かっていたかも知れないが、俺はこの世界に来てすぐは能力が低かったぞ?
(ええ、ですがこの世界の能力値には種類がありまして、一つは生まれた時から能力が高いα型、二つ目はレベルが上がると能力が上がるβ型、そして最後に何らかのきっかけで能力が上がるΩ型の三つです。恐らく貴方は最後のΩ型なのでしょう。)
なるほどね。まぁ俺の能力が異常に高くなった理由は分かった。それで、あんたが俺に望む事は何だ?
(それを言う前に、一つ聞いておきたい事があります。もし貴方以外の呼ばれた人達が危険な目に逢っていたらどうしますか?)
今更俺にそれを聞くのか?俺は何があろうとも変わらないよ、あいつらが危なけりゃあ助ける。たとえ俺がそれで犯罪者になろうが人殺しになろうがね。俺の目的はあいつらを元の世界にちゃんと戻すことだ。……俺が力を得た変わりに戻れなくなったとしてもな。
そうだ、何を悩む必要があるんだ。俺はあいつらを守りたい。けども表からは無理だろう、あいつらに正体が気付かれないように守る、つまり゛裏゛から支援することが俺の今の最優先事項だろう。
(貴方は……一体何を背負っているのです?私にもわからない……そのような゛罪゛があるのですか?)と加護が聞いてきたので、
俺は向こうには゛帰らない゛よ。向こうには俺を必要とする人が居ないからね。ついでに言えば、俺はもう人を゛殺した゛んだ。戻る資格は無いよ。元の世界だと人殺しは犯罪だ。まぁこちらの世界でもそうかもしれない。
けど、俺はあいつらを人殺しにはさせたくない。人を殺した感覚は嫌でも覚えてる。そんなトラウマはあいつらには背負わせない。人を殺すなら俺がやってやる。人でなくとも、人型の者であれば殺した感触が手に残る。そう言う思いはさせたくないんだ。もう一度言う。なぁ、あんたは俺に何を望む? 無理な事でなければ何だって望むままにやってやるよ。完全に使いこなす為に何をすれば良い?
(貴方には゛裏゛からこの世界を守って頂きます。私が提供するのは゛全ての知恵゛と゛生命゛。代償は魔力2億です。前の゛勇者゛には代償が大きすぎました。貴方でも……)
これで良いのか?
俺は加護の話をぶった切って、魔力およそ2億を出した。前にステータスを見た時には魔力は30億だったはずだ。なら2億なんて俺にとってみれば15分の1程度痛くも痒くもない。これは俺にとっての゛償い゛だ。元の世界で助けてもらった借りを返さない訳には行かない。
(っ……ええ、十分です、では貴方が私の新たな゛契約者゛です。貴方が私の名前を呼べば全てを貴方に捧げましょう。私の名前は……)
心の中で名前を囁かれた。
じゃあ、行くか……俺はここから゛裏゛の勇者となる!
《我が元に顕れし加護よ、この身に宿りその力を示せ!〇〇〇〇〇〇!》
唱えた途端に目の前が真っ白になり、ホワイトアウトした。
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