十七日目:過去からの原罪
すいません、リアルが多忙過ぎました……m(._.)m まだ読んでくれている方々いるのかなぁ……(不安)
「そー君そー君、黒色と白色だとどっちがいい?」
これは俺が昔言われた事だ。 小さかった頃に一緒に遊んでいた一人の女の子が、突然こんなことを聞いてきたのだ。
その当時は何も考えていなかったのだろうが、俺はこう言った記憶がある。
「えー、どっちもじゃだめ?」と。
その当時は、近くに住んでいた女の子と男の子の三人で遊ぶ事が多かった。三人でほぼ一日中、近くの裏山で秘密基地を作って、そこで色んな事をした。
俺ともう一人の男の子とで協力して、女の子を喜ばせたり、時にはケンカもしたりした。俺達はずっとこんなに楽しい日が続いたら良いのにねとお互いに笑いあっていたのだが、ある日ちょっとした事故があった。
俺がいつものように秘密基地まで行こうとしていると、途中の短い信号の所で女の子が反対側にいたのだ。女の子が信号を渡ろうとした時に、車が信号無視をして突っ込んできたのだ。俺は何を考えたのか、とっさに女の子の方へと走り、女の子と場所を入れ替わるような形で突っ込んだ。
ドンッ、グシャッと、何かが潰れたような音がした。目を開けてみると、自分の左の手足がグチャグチャになっていて、真っ赤な血だらけになっていた。
声は不思議と出なかった。とりあえず女の子は無事なのかを確認しようとして、立ち上がろうとしても、当然立ち上がれない。むしろ意識が飛びそうになってきた。でも、俺はやるべき事があった。そう、あの女の子を守ることだ。もう一人の男の子と約束していたのだ。
「絶対に俺かお前のどっちかがあの子を守るんだぞ!」
この約束は頭の中にずっと残っていたし、今でも残っている。そうだ、守らないと男の子との約束が嘘になる。女の子がいる方向を見ると、彼女は無事だった。多少の擦り傷はあるものの、俺みたいに酷い怪我にはなっていなかった。
「良かった……守れたよ……〇〇くん。」
ここで意識が途絶えた。気を失う前に女の子が何かを言っていた気がしたが、全く覚えていない。男の子の名前もだ。気が付いたら、そこは病院の個室で、事故から一週間が経っていた。それ以来、男の子達とは連絡が途絶えた。何故なら両親がこんな事故があったから引っ越すと言うことで、少し離れた場所に移ってしまったのだ。
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頭の中で、昔の事が浮かんでいたが、今の俺がするべき事はムト達を死なせずに無事に元の世界へと帰す事だ。自分勝手かも知れないが、俺にとっては最重要案件であり、俺が一人になった理由でもあった。ムト達は向こうの世界で生きて欲しい、あいつらにはこの世界は似合わない。
だけど俺は既に人を殺した。直接的でないにしろ、一人の人を殺めているのだ。そんなことさせたくない。いや、させる訳がない。人を殺すと言う感覚は非常に重い。俺はあいつらにそんな感情を持たせたくない。と、そんなことを考えていると、
「待って下さい!」
後ろから声がした。
「待って下さい……ルークさん、貴方はまだ何か隠していませんか?」
鏡花だった。鋭い目線をこちらへと向けている。彼女はそもそも俺の事は信用していないと思う。鏡花は元は副委員長だったから、美羽に比べて勘も鋭いのだろう。
「何を隠していると言うのです?確かに俺は貴方達に嘘をつきました。ですが、それ以上の事はありませんよ。」
「嘘です。貴方は私達に何か隠しています。」
「隠してませんって。さっきも言いましたが、何を隠していると言うのです?」
「貴方は美羽や夢吐君を見ている時に表情が変わりました。何かあるのでしょう?」
鋭い人だ。彼女はわかっている。俺はムトや美羽を見るときに、自然と表情が変わっているらしく、王女からも言われていた。そこに気が付くとは本当に油断が出来ない。
「答えて下さい!一体貴方はどこの誰で、私達と何の関わりがあったのですか!言わないと……」
その時だった。
彼女に向かって、何らかの攻撃性の物が飛んできた。俺はとっさに彼女を突き飛ばして、入れ替わるような形でそこに立った。入れ替わった瞬間に、俺の身体に金属が突き刺さって来た。矢や槍の類いを投げてきたようだ。血が溢れて、俺は膝から崩れ落ちた。倒れはしないものの、ダメージは酷いものだった。
「え……?ルークさん?嘘ですよね……?」
鏡花はこちらを見るなり震えていた。それはルミアも同じのようで、必死にこちらへと駆け寄ってきた。
「クソッ、一体誰が……」
俺は自分の身体を見た。鏃は刺さり、槍はほぼ貫通していて、さらに火系統の魔法も飛んできていたのか、火傷していた。これは誰がやった?っと、その前にルミアと鏡花は無事か……?あぁ良かった、二人とも無事だが震えている。守らないと、彼女達に危害は加えさせない。させるものか。
すると何処からか声がして、
「あっちゃー、外しちゃったか?ざーんねんっ!」と子どものような声がした。
「何事だっ!」
宿の中で警護をしていた騎士や巡回していた騎士も街で騒ぎになっていたのか宿の前に現れて相手の姿を確認すると、
「バカなっ!なぜここに魔族がいる!」
「ここには結界で入れないはずだぞ!」
と言ったが、
「へへへーん、あんなもの結界なんて言えないよーだ!簡単に入れたもんねー♪」と魔族?が言っており、どうやら結界とやらは効かなかったようだ。するとその魔族がこちらを見て、
「あっれれー?女の子を狙ったのに男の子に当たってるよー?なんでだろー?」と言ったので、
「ふん……下手くそなんだろうよあんたはさ」
「何よー、このあたしが下手くそだって言うの?私は魔族でも上位三位には入るくらい強いのよ?」
「なら魔族全体が下手くそってことだろうよ……」と言った所、
「ムカつくわねー!あんたなんか死んじゃえっ!」と言ってまた俺に色んな物を投げてきた。と言うか、何もなかった空間から出てきた槍や矢が飛んできて、俺の身体に直撃した。
「「ルークくん」さん!」二人の声がシンクロしたが、既に俺に刺さっており、俺は今度こそ倒れた。鏡花が、
「何で……何でこんなことを?何で私なんかを庇って……」
庇うのが当たり前だと俺は思った。俺は俺以外のクラスメイト達を守りたい、守る為なら何だってするつもりだし、仮にそれが俺が死ぬことになってもだ。俺は鏡花に、
「守るって……約束したからな……あんたが無事なら良かった……」と言って、また意識を失った。
読んで頂き、ありがとうございますm(._.)m