十六日目:再会……その後
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俺は王女の護衛と言うことで説明がついた。と言うよりも、鏡花と美羽がムトが助けられると思っているのか、そちらに気が向いていた。そんな時に、鏡花が王女ことローザに、
「王女様、質問しても良いですか?」
と言った。それに対して王女は、
「どうぞ?何かしら?キョウカさん?」
「あの、さっき助けてもらったあの方って何で片目片腕なんですか?」と聞いていた。
うん……それは王女に聞いたら駄目な奴だろ……と言うかむしろ俺に聞かないのね?と思ってしまった。王女には詳しくは伝えていないが、何があったのかは伝えてある。どう答えるんだろうと思っていると、
「実は……私にはわからないのです。」
「……分からない? それはどういう事ですか?」
「彼は私直下の者ではありませんので、詳しい事は知らないのです。今回、彼を連れて来たのも、彼が治癒魔法を使えるからと言うだけなのです。」
「なるほど……そう言う事でしたか。」
確か鏡花は学校ではクラス副委員長をしていたな。しかも成績優秀だったから、良く授業終わりにムトとかと話しをしていたなぁ。だったら余り深くは質問しなくても理解してくれると良いなぁ……と、考えていたら、
「ではあなたに聞きます。何故片目片腕なのですか?」
……ずっこけそうになった。 聞いてくるんかい……
「まぁ少し訳有りでね……聞かない方が良いですよ。」
「何故です。それでは質問の答えになっていません。」
「答えないと駄目か……?」
俺はやや鏡花に向けて威圧をしてみた。この威圧はさっきの三人に向けたグラビティと同系統のだある。
「っ……」
「キョウカさん?どうかしましたか?」
と王女が聞くと、
「い、いえ、何でも無いです。」とやや表情が強張った状態で返事をしていた。
これで質問は来ないだろう、と思っていたら。
「あの……そう言えば、あなたのお名前は?」と来たので、
「ルークです。私と一緒にいるのはルミアと申します。」と、護衛っぽく敬語をいれてみた。
「ルークさんにルミアさんですか……私は鏡花と言います。よろしくお願いします。」
「ええ、よろしくお願いします、鏡花さま。」
と、そんなこんなをしていたら、王女が、
「着きましたよ。ここにムト様はいらっしゃいます。」と言って、その先にある街の宿がいっばいあるうちの一番豪華そうな建物の前で止まった。
「うわぁ……また豪華な……」
その宿屋は恐らくこの街の中ではトップであろうと言わんばかりに、ほぼ豪邸と言っていいくらい大きくて外装も派手なのだ。
しかしまぁ……でかいな。他の宿が普通のマンションだとすると、ここだけ一軒家の豪邸かと思えてしまう。これもすべて勇者と言う権力のおかげなのかそれともクラスメイト達の誰かの只の趣味なのか?
「ここも宿なのか?」
「はい、ここは上流階級の方やギルドSランク以上の方のみが使えるのですが、ムト様達は勇者なので、ここに泊まることが出来るのですよ。」
勇者すげーな。勇者って言うだけでこんなとこ泊まれるんだもの。俺にはもう一生無理な話しだな。
「では、ムト様がいる所に案内しますね。」
と言って、王女と鏡花が入って行ったので、その後をルミアと一緒について行った。因みに内装も、勿論高級ホテル並みであるのは言うまでも無かった。
暫く歩いていると、
「こちらです。」
「ここに、ムト様はいるんですか?」
「はい、こちらの中にます。」
「じゃあ、入りますね。」
鏡花とやり取りしてから部屋?に入ると、そこはかなり広い大広間だった。
「あれ?ここにムト様がいるのでは?」
「いいえ、こちらは私達勇者が皆いる場所なのです。ここからまた個別に部屋があるのですが……」と、鏡花が何か歯に物が詰まったような言い方をしたので、
「何か問題でも?」
「いえ、問題と言いますか……ムト君の部屋は地下室にあるのです。」
「地下室?何でまたそんな所に……?」
「王女様の話しだと、ムト君の体から何か良くない物が見えるらしくて……それで、」
「それで隔離したってことですか。」
「はい、なので普段は私達ですら近寄らないようにしているのです。」
「へぇ……」
地下室か……俺は牢獄に入れられていたことを思い出して、少しばかりうつむいた。ムトの考えそうな事だなぁ、とも思っていた。何故なら、ムトは人助けはするが、自分の事は自分で背負い込む奴だからだ。
「あ……では、ご案内しますね。」
そう言って、案内された場所にあったのは、生活用品一式と、ベッドやトイレなど、そこだけで生活が出来るようになっていた。
しかし、肝心のムトはと言うと、怪我を負った三日後からずっとベッドで寝たきりで、起きてすらいないのでのだとか言う。ローザが治癒魔法を使っても、目が覚めなかったらしい。
「お願いです……ムト君を助けて下さい!」
と、鏡花が勢い良く言ってきたが、その声は震えていたし、何よりも、目から涙が溢れていた。
取り敢えず、ムトの容態を見ようと近付くと、ムトの体に何か黒い靄のようなものが見えた。
「……これは」
「ルークにも見えましたか。それが私では治癒出来ない原因なのです。」
「何なんだこれは……?」
「それが分からないのです。それさえ分かれば……」
うーん……こういった類いの奴は大概呪いとかなんだろうけど、この世界にもあるのか?
「ローザ、こっちの世界には呪いとか呪詛とかってあるのか?」
「は、はい、ありますが……と言うより、言葉使いが……」と、ローザが小声で言ってくれて気付いた。バレてないかな……?
「なら、試しに解呪の奴を試してみます。因みに王女様は使えますか?」
「いえ、私は使えませんが……と言うよりもルーク?あなたは使えるのですか……?」
「使うと言うよりも私のは創るですかね。」
と言って、俺はムトの身体に向かって、
「彼の身に宿りし呪いよ、解けよ《ディスペル!》」と唱えてみた。因みにこれも俺がはまっていたゲームの中にあった奴だ。すると、
「む、ムト様にあった黒いものが消えて……ルーク、あなた何をしたのです?」
「いや、単純に呪いを解いただけですけど?それが何か?」
「い、いえ、何か魔法のように見えましたが……」
「いや、ですから魔法ですよ。正確には俺が創りましたが。」
「つ、創る……?それは固有魔法と言うことですか?」
質問だらけだな。まぁ俺のオリジナルと言ってもゲームのコピーに過ぎないんだけどね……
「ちょっ……創るって……どういう事?」と鏡花と美羽が驚きの表情で聞いてきたので、
「言葉のままですよ。 私は少し特殊なものでね、そういったものが出来ると言う事です。」
「ちょっと待って……ねえ、あなた本当に何者なの?」
「ですから、今回の為に呼ばれた王女様の護衛ですが?」
「ううん、それはおかしいよ。だって私お城に居た騎士さん達全員と会ったことあるけど、あなたはその中にいなかったもん。」と、美羽が言った。
もうバレたか……さすがに早すぎるだろ。
まぁ良いか、ムトの治療は終わったしな。後は治癒魔法で何とかなるだろ。
「……だとしたら何だと言うのです?」
「私ね、人の顔とか表現とか覚えるの得意なの。さっきあなたは王女様にローザって言ってたよね、あなた……本当は誰で何なの?」
「……答える必要は無い。」
また俺は威圧を放った。しかし、
「答えて!どこの誰なのあなたはっ!!」
美羽は威圧に怯むこと無くまた言った。俺はローザを見て、
「良いか?ローザ?」
「……そうですね、仕方が無いですねこれは。」
ふぅ……まさかここでバラすことになるとはなぁ……しかし、本当に鋭い洞察力だよ。俺は息を一度吸ってからこう言った。
「その通り、俺は騎士でも何でもない。只の冒険者さ、嘘だと思うならこれを見てみなよ。」
と言って、持っていたギルドカードを見せると、
「ルーク……?さん?これは本名ですか?」
「あのさぁ……嘘つく意味あるの?」
「い、いえ、ただ少し気になっただけです……」
「何が?」
「私達と同じように召喚されたソラ君にあなたが似てたので……」
「へー、そうなんだ。でも俺は違うよ。ルークであってソラじゃ無いんだ。もう良いか?俺の仕事は終わったから冒険の続きしに行きたいんだが。」
「あ、はい、どうぞ。ありがとうございました、ルーク。」
「ん、そんじゃあな、ローザ。後は治癒魔法頼むわ。」と言って、俺はルミアと一緒に地下室を出た。
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そして宿を出たと思ったら、後ろから
「待って下さい!」
と声がした。
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