十二日目:エンカウント
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盗賊を倒した所で、俺はルミアを確認した。
「大丈夫か?ルミア?」
「ええ、大丈夫ですよ、と言うより何もされていませんでしたからね。」
「あ、そう?なら良いんだけど……」
「と言うより、気付いていないのかも知れませんが、ルークさん、あなたが全員倒していたので、私何もしてませんよ?」
マジかおい…… 知らん間に賊全員倒してたらしい。 てか最初の爆破でボス以外倒してたのか? 無意識って怖いな……
とそこで、馬車の方から、何人かがこちらに来て、
「助けて頂き、ありがとう。私はこの馬車の護衛の者だが、貴方達は一体どこのどなたですかな?」
「えーっと……」
困った。どこのどなたと言われても、俺異世界から来たし、そう言える訳が無い。ギュンターと言った所で、それも嘘になるからなぁ……
「私達は各地を転々としているので…… 定住はしていないのです。」
と、ルミアが答えてくれた。
「そうでしたか。 ところで、これからどちらへ?」
「とりあえずの目的地は、エルドアですかね。」
「でしたら、お願いがあるのですが…… 私だけでは少し護衛が難しいので、ご助力頂けたらと…… 勿論、報酬は払わせて頂きますので!」
「うーん……別に良いけどさ、俺達徒歩よ? 馬車に追い付けねぇと思うけど……?」
「いえ、そこは貴方達にも馬車に乗って頂きますので……」
「なら良いか? ルミアはどうだ?」
「私は、ルークさんについて行くと決めておりますから。 貴方が望むままに……」
うーん………… 重い、重いよ、ルミア。 俺そんな事言われたこと無かったんだから。 まぁ、嫌われるよりましか。
と言うことで、俺達は、護衛と言う形で、馬車に乗れることができた…………のは良いんだが…… まぁ、護衛対象に驚いた……
「お、王女!?」
「あら、誰かと思えば貴方でしたか。とは言え、私のことは未だに王女呼びですか?」
「い、いや……あの、何で外に?ローザ?」
「あら、私だって人ですわよ?お出掛けくらいしますわ。」
「普通、もっと従者の人とかいるだろ?何で二人しかいないんだ?」
「実は今回は特殊なのですよ。エルドアにいる、ある人達に会いに行くのです。」
「ふーん…… ちなみに、誰?」
「……貴方には遠慮……いえ、なんでもありません。 私が会うのは、貴方も知っている方達ですよ。」
いやーな予感がした。だって、この世界で、俺が知っている奴って限定されるし、ましてや違う国となれば、知りあいなんていない。そこから出てきた答えは……
「まさか……ムト達か?」
「その通りです。」
「やっぱりか…… でも、なんでわざわざ外に? 国で会えば良いだろ?」
「それが、彼らが動けないようで、私から行くことになりましたの。 誰かが大怪我をしたらしく……」
「そっか。なら納得だわ。 ローザは回復魔法得意だもんな。お陰で、俺も使えるようになったし。」
「なら良かったのですが…… 」
と言って、ローザは俺の右腕と右目を見て少ししょんぼりした。まだ責任を感じているらしい。気にしなくて良いのになぁっと思ってはいるのだが、回復魔法の使い手としては、治したかったのだろう。
だが、目に関しては、もはや原形すら無く、右腕も抉れていたので、むしろ今、この状態でいられるのが、俺にとっては嬉しいのだ。 だって、生きていられるんだもの。
「あー、別に俺の身体は気にするなよ。むしろあの状態からここまで治してくれて助かったんだから。」
「それはそうと、ソ……いえ、ルーク様でしたか、このままだと、彼らと会うことになりますが良いのですか?」
「あー、本音は会いたくないよ、と言うより、会ってもあいつらに俺だって分かってもらえるかが、心配だな。目と腕は無いし、髪の色も変わっちゃったしな…… まぁ俺は自分から正体を現すつもりは無いよ。あいつらが気付いたら、説明するさ。それまでは、ローザの護衛と言うことにしといてくれ。」
正直、俺は不安だった。まず、今の俺と異世界に来る前までの俺では、違いがありすぎる。右腕と右目は無い、おまけに髪の色は黒から白混じりの茶色になった。しかも、目が無いからか、若干だが、顔も変わってしまったのだ。そんな奴が急に、久し振りーとか言っても、誰?ってなるのが予想がつく。それぐらい俺は変わってしまったのだ。
「……ルークさん? ルークさん? 大丈夫ですか?」
「ん、あぁ、ルミアか。悪いな、考え事をしてた。」
どうやら、かなり悩んでいそうな顔をしていたらしい。ローザもルミアも心配してくれた。 あまり心配かけないようにって思ったんだけどなぁ…… 無理か。まぁしゃーないわな、だってバカなんだもん。
と、考えていると、
「さあ、ルーク様、着きましたよ、エルドアへ!」
と、ローザが言ってきた。約半日で着けるとは、馬車ってスゲーなーと、考えてしまう。 俺は、約一週間ぶりに、異世界でクラスメイト達と再開するようだ。 どんな反応するんだろうなぁ、あいつら。
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